第196回
本日7/19発売のNVIDIA新ミドルクラスをレビュー
新ミドルレンジ「GeForce GTX 1060」ベンチマーク VR元年に相応しいお手頃&ハイパワーGPUなのか?
2016年7月7日、NVIDIAは同社の最新アーキテクチャ「Pascal」をベースにした新ミドルレンジ「GeForce GTX 1060(以降GTX 1060と略)」を発表、本日7月19日22日より販売を解禁した。つまり本稿がアップされている頃には秋葉原などで深夜販売が開始されていることだろう。
ミドルレンジGPUはそれほど重くないゲームをフルHDで遊ぶためのゲーマー入門GPU的存在ではあるが、今年注目の“VR”では片眼あたり1080×1200ドットの液晶を常時90fpsで描画できるようなパワーが求められる。VR元年にはそれにふさわしいパワーのミドルレンジが必要なのだ。
“ミドルレンジでVR”路線で先手をとったのがライバルAMDの“Polaris”ファミリーの第1弾「Radeon RX 480」(関連記事)だ。RX 480の発表まで沈黙を破っていたNVIDIAだが、RX 480の登場に呼応するようにGTX 1060を発表した。NVIDIAのリリースによると北米における販売価格は249ドル以上、そのうえで「GTX 980並みのパフォーマンス」を売りにしている。
原稿執筆時点での正確な価格情報は不明だが、日本国内においてはオリジナルクーラー搭載モデルが主力であり、3万円~4万2000円程度で流通する模様だ。安いものはブロワーファン使用のチープなモデル、高いものは高性能クーラー(お約束の発光機能つき)搭載のOCモデルと推測される。
今回はオリジナルクーラー搭載モデルは入手できなかったが、同社の直販サイト(関連サイト)でのみ提供される「Founders Edition」を試用することができた。果たしてGTX 1060はVR元年におけるミドルレンジGPU戦争を制するだけの実力を持っているのか? 様々なテストを通じて検証してみたい。
各要素はGTX 1080のおおよそ50~75%
最初にGTX 1060の基本的スペックをチェックしておこう。下記スペックはFounders Editionをベースにしているため、実際に発売されるオリジナルクーラー搭載モデルとは数値が異なる可能性は多いにある。
まずGTX 1060はGTX 1080や1070のベースになったGP104コア(開発コード)ではなく、ミドルレンジ用の“GP106”コアがベースだ。最大16の視点(ビューポート)から眺めた映像を1回の処理で描き出す「同時マルチプロジェクション(SMP)」、超高フレームレート時におけるティアリングをなくす「FastSync」、さらにHDMI2.0bやDisplayPort1.4といった新機能はすべて継承されている。
反面、CUDAコア数は1280基とGTX 1080の半分にスケールダウンされている。メモリーバス幅やコントローラーの数は2分1ではなく4分の3になったため、VRAMは6GBとバス幅に応じて搭載メモリー量が減じられている。ちなみにGTX 1060にはCUDAコアなどをさらに削ったVRAM 3GB版の投入が噂されているが、まだ3GB版の存在は正式に発表されていない。
設計上の見どころとしてはTDPはGTX 960と同じ120Wに減少。8ピン×1で設計されるOCモデルも当然出てくるだろうが、GTX 960や760が運用できていたマシンなら、問題なくGTX 1060を運用できる訳で、これからVRの扉を叩かんとするユーザーにとっての絶好のアップグレードパスになるだろう。
もうひとつの見どころはGTX 1060は同社のGTX “X60”番台の製品では初めてSLI非対応となった点だ。後からGTX 1060を買い足してパワーアップという強化手法が封じられてしまったが、実際のところSLIに限らずマルチGPUは対応ゲームでしか力を発揮できず、さらにDirectX 12世代のゲームは(今のところ)マルチGPU対応が非常に少ない。マルチGPUでのみ発現する不具合もある。サポートが難しいソリューションではあるため、ライト~ミドルゲーマー向け(この際価格は脇に置いておく)の製品としては、SLI非対応は自然な流れなのかもしれない。
Founders Edition(FEと略)は、今のところ日本国内での正式な販売チャネルがないのが痛いが、モノは非常に良いのでぜひとも販売して欲しいものだ。
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