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キャリアアグリゲーションの組み合わせを3GPPの資料から見る

2016年06月26日 10時00分更新

3GPPでのCAの表記方法を確認する

 今回は、CA(キャリアアグリゲーション)関連で使われる「Acronym」(アクロニム)について解説しておきます。「Acronym」は辞書を引くと「頭字語」となっていますが、単語の頭文字を組み合わせて作った略語という意味です。

 「Long Term Evolution」のそれぞれの単語の頭文字を使って「LTE」とするようなものがアクロニムです。厳密には、こうした省略方法には、「イニシャリズム」と「アクロニム」があって、1つの単語として発音するものが「アクロニム」、綴りで読むのが「イニシャリズム」というのですが、3GPPでは、アクロニムは必ずしも単語として発音するものだけをアクロニムとしてはおらず、前述の「LTE」のように文字ごとに発音するものもアクロニムとしています。本来、アクロニムは「UTRA」(ユートラ、UMTS Trrestial Radio Access)のように発音できる単語のことを意味しています。

 3GPPでは、アクロニムは規格やサービスなど、3GPPで議論するものを簡単に表現するものとして使われています。実際の規格書などを見るとかなり長いタイトルが使われていたり、複数の文書が該当する場合などがあり、議論が面倒になるため、アクロニムを使い、特定のものを指定できるようにしてあるのです。

 CA関連のアクロニムとして、CAのバンドの組み合わせの表記があります。これは、「CA_」を先頭に、バンド番号を組み合わせて表記を作ります。実際には3つほど表記方法があり、1つは端末や基地局の仕様などで使われるバンド幅クラスを併記するもの(CA configuration acronym)とそうでないもの。また3GPPで議論の対象となるWork Itemで使うものの3つです。ただし、基本的なルールは、どれも同じで、「CA_」のあとにバンド番号を表記します。

CAのバンドの組み合わせによる「アクロニム」。目的などによりいくつかのスタイルがある

 このとき、「同一バンド、連続周波数」(Intraband Contiguous)のCAでは、バンド番号を1つだけ表記します。たとえば、バンド番号1で連続周波数を使う場合には、

CA_1
CA_1C
LTE_CA-B1

となります。これに対して「同一バンド、非連続周波数」(Intraband Non-Contiguous)の場合には、同じバンド番号をハイフンでつなげて表記します。たとえば、

CA_25-25
CA_25A-25A
LTE_CA_B25_B25

となります。また、複数バンドを利用する場合には、それぞれのバンドを並べて、

CA_1-5
CA_1A-5A
LTE_CA_B1_B5

といった表記になります。実際に3GPPのサイトを見るとわかるのですが、必ずしもルールに厳密に従うものだけではありません。たとえば、Work Itemの表記では、バンド番号の前にバンドを示す「B」を置くルールになっていますが、Bが省略された文書もすくなくありません。

 バンド幅クラスは、各バンドで利用される周波数/チャンネルを意味する「Componet Carrier」(CC)をどれだけ使うのかを表記するもので、このバンド幅クラスを入れた表記を「CA configuration acronym」と呼んで、端末や基地局のCAの構成を表現する場合に利用します。

 これに対してWork Itemは、3GPPで規格が成立するまでの「議題」を表現するアクロニムです。携帯電話の仕様や規格は、次々と新しいものが作られていきますが、その成立の過程では、さまざまな会議が開かれ、議論が行なわれます。

 このとき、それぞれの議題などを区別するためにアクロニムが使われます。CAに関しては、バンドの組み合わせごとに仕様を固める必要があることから、それぞれの組み合わせに対してWork Itemが割り当てられます。Work Itemのアクロニムは、階層構造になっていて、全体が大きく3つのフィールドにわかれます。

 最初のフィールドは、「Feature」と呼ばれ、いわゆる大分類になります。CAは、LTEの一部であるため、「LTE_」で始まります。

 2つめのフィールドは、「Building Block」で、Featureの構成要素となります。3つめは「Work task」で、個別の作業(議論)を区別するものです。CAの場合には、バンド番号を意味する「B」で始まるバンド番号をハイフンでつなげたものが使われます。

 この表記は、進行中の議論の結果などを追いかける場合に使います。たとえば年内にサービス開始が予定されているTDD-LTEを併用したCAに関して調べる場合、「LTE_CA」と国内で使うTDD-LTEのバンド「B42」を組み合わせがが仕様成立前のWork Itemのアクロニムとしてつかわれます。現在進行中のものに関しては、以下のURLで調べることが可能です。

●3GPP work programme
http://www.3gpp.org/DynaReport/GanttChart-Level-2.htm

 大きなページなので、開くのに時間がかかります。まずは、「select release」で3GPPのリリースを決めます。リリースについては別途解説しますが、簡単にいうと、期間を定めて、多数の仕様をある時点で固定して、開発時に必要となる一群の仕様を確定させたものです。リリースが「Frozen」となると、新機能の追加はできませんが、必ずしも、詳細な仕様が確定したわけではありません。

仕様策定作業一覧となる3GPP work programmeページ。本文で説明したアクロニムでWork Itemの検索が可能

 現在では、リリース12が「Frozen」状態でもっとも新しいリリースです。リリース13以降は、まだ「Open」状態で、大きな変更が起こる可能性があります。ざっと見ると、CA関連(LTE_CA_で始まるアクロニムを持つ)で、B42に関わるものは、リリース12、13にありました。

 探し方ですが、「select release」でリリースを選択します。このページは階層構造になっていて、表の先頭にある「プラス」記号をクリックすると、そのカテゴリに含まれるWork Itemが表示されます。なお、「Select release」の上にある「Expand all」ボタンを押すと、すべての項目が開きますが、デスクトップPCと固定接続のインターネットなどでも数分以上かかるため、スマートフォンやタブレットなどモバイル通信で開くのはあまりお勧めできません。

 まずは、ブラウザのページ内検索機能で「LTE_CA_」を捜すと「LTE_CA_Rel12」や「LTE_CA_Rel13」が見つかります。プラス記号をクリックして下位項目を開いたら、今度は、「B42」で検索すれば、いくつかのアクロニムがみつかります。見つかったら、そのWID(Work Item Description)にある「RP-」で始まる番号のところに文書へのリンクがあるので、これをクリックして文書(をダウンロードします。

RP文書は、議題となる項目について定型にまとめた文書。ソースとしてNTTドコモの名前がある

 これを見れば、作業(議論)のおおよその内容がわかります。こうした文書から日本の事業者(NTTドコモ、KDDI)関連のものを捜してみました。それが以下の表です。

 Release 12には3つ、Relase 13には、18個ありました。アクロニムとタイトルをみれば、どのバンドをどう束ねるかがわかります。おそらく、先に実現されるのはRelease 12で議論されたものになるはずです。これは、3つのCC(Component Channel)をまとめて使うもので、将来利用する予定のRelease13には、4や5のものもあります。ドコモは、現在の利用バンドであるB1、B3、B19、B21とのB42の組み合わせをほぼすべてWork Itemとしています。

 また、KDDIは、B28とB42の組み合わせを単独でWork Itemとし、B41(WiMAXのUQコミュニケーションやAXGPのWireless City Planningの周波数)とB42の組み合わせをファーウェイと共同でWork Item化しています。後者については、おそらくソフトバンクもこの組み合わせを使うと思われます。

 これらの文書からCAのCCの組み合わせを一覧にしたのが下の表です。上のグレーで網かけしている部分がRelease12、それ以下は、Release13です。今夏にスタートするドコモの3.5GHz帯のTDD-LTEの利用は、最初の3つのどれかになると思われます。つまりB1-B42-B42、B3-B42-B42、B19-B42-B42の3つです。当面、少なくとも年内ぐらいは、この3つの組み合わせ以外のB42を使うCAのサービスは行なわれないでしょう。

 ただし、これはあくまでも仕様制定の過程を見ただけに過ぎません。実際には、基地局が対応し、対応端末が販売されてはじめてサービスが利用できるようになります。ドコモは、既存のセルに対して、山手線の駅近辺など利用者が過密な地域での「アドオンセル」としての利用を想定し、まずは都内でB3-B42-B42の組み合わせでサービスを開始する予定だと公表しています。

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