週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

iMac導入は4期目12年を突破!

東大のiMacはハイパーバイザー型仮想化環境でEl CapitanとWindows 10が動く

2016年04月26日 08時15分更新

 東京大学にMacが大量導入されたのは、いまからさかのぼること12年前の2004年、かなりの話題になりましたよね。当時のAppleは、Xserveをベースにネットワーク経由でMacを起動するというNetBoot環境を提供しており、国内の大学でNetBootを大々的に導入したのが東大でした。

 「東大」「NetBoot」という強すぎるキーワードの影響は絶大で、「ほかの教育機関がこぞってNetBootの構築を切望して困った」という悩みを、某SI企業の中の人からよく聞いた記憶があります。ちなみに、快適かつ安定性の高いNetBoot環境を構築するには、ネットワーク機器のリプレース、具体的にはギガビットイーサ以上のネットワーク環境の構築が必須ということもあり、コスト高になるのはもちろん、システム構築に時間がかかります。

東京大学駒場キャンパス

 東大では、2012年ごろまではNetBootを利用していたそうですが、SSDの普及により内蔵ストレージが超高速化している現状を踏まえ、現在ではローカルブートに切り替えているそうです。

リモートアクセスには「Splashtop Enterprise」を利用

 そういった状況で最初に案内してもらったのが、東大駒場キャンパスにある情報教育A棟内のサーバールーム。現在は、本郷キャンパスをはじめとする都内に点在するキャンパスのファイルサーバーをここに集約しているそうです。

情報教育A棟は駒場キャンパスの正門を抜けてすぐのところにあります

 実際に中に入ってみると、サーバー用ラックのスカスカ感に驚愕しました。担当者に話を聞いたところ、サーバーマシンの高性能化や小型化に伴い、ここ数年に機材が大幅に減ったということでした。ファイルサーバーとして使われている機材は、EMC Isilon S210×10台,Isilon NL410×5台で、実際のストレージはHDDとSSDのハイブリッドになっているそうです。実容量は179TBで、学生が8GB、教職員が18GBを自由に使えます。

学生と教職員のファイルサーバーとして使われているEMC Isilon S210(左)とEMC Isilon NL410(右)

 その隣には、Mac miniとMac Proが鎮座していました。これらのMacの用途を聞いたところ、Mac miniは学外からのリモートアクセス用のゲートウェイとして利用されているとのこと。具体的には、この手のジャンルのアプリでは超定番である「Splashtop」のエンタープライズ版(Splashtop Enterprise)が導入されており、Mac miniには遠隔操作を受け付けるアプリとして「Splashtop Streamer」が組み込まれているそうです。このシステムにより、学外からの同時15ユーザーのアクセスが可能とのこと。

「Splashtop Streamer」が組み込まれているMac mini。学外からリモートでGUI環境にアクセスするゲートウェイとして動きます

リモートアクセスソフトには、マルチOS対応や処理速度に優れる「Splashtop Enterprise」を導入

 では、Mac Proはなんのためにあるかというと、sshでログインできるサーバーとして使われているそうです。ちなみに、ライセンスの問題からWindowsでの学外からのリモートアクセス環境は導入していないとのこと。

ssh接続用のMac Pro

 また、学外からのファイルサーバーのアクセスについては、WebDAV経由で各自のホームディレクトリーへのアクセスが許可されており、こちらは400人が同時アクセスしても大丈夫な設計になっているそうです。WebDAV経由にしたのは、セキュリティーの問題からだそうです。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります