箱根を経由すれば、タッチだけで沼津まで到達可能
小田原駅から箱根湯本駅、そして強羅駅までの間を走っている箱根登山電車は、PASMOに対応。これは以前から把握していたのだが、箱根湯本駅や強羅駅に行ったところで、その先がないのでは、と思っていた。しかし、いろいろな移動手段を考えている時に、あることをふと思い出したのだ。それは、箱根湯本駅や強羅駅から、御殿場駅までバスが運行されている、というものだ。もしかして、それを利用すればいいのでは、と思い調べてみたところ、なんと箱根を走る路線バス「箱根登山バス」はPASMOに対応していることが判明。しかも、御殿場駅はTOICAの利用可能エリア内にある。つまり、箱根を経由し、バスでJR御殿場駅まで移動することで、交通系ICカードのエリアまたぎを回避しつつ、沼津駅まで問題なく移動できることが判明したのだ。
ただ、ここでもうひとつ問題が。それはバスの時間だ。今回は土曜日に出発したが、箱根湯本駅から御殿場駅行きのバスは、土曜は午前9時10分発、または午後1時45分発の2便しかない(記事執筆時点)。同じく強羅駅からJR御殿場駅行きは、午前7時14分発と午後5時14分発の2便のみ。箱根湯本発午後1時45分の便は使いやすそうだが、できればもう少し早い時間帯でなんとかしたいところ。かといって、午前9時10分のバスに乗ろうとすると、東京駅を7時頃に出発する必要があり、同行者から「朝が早すぎる」とクレームが。
そこで今回は、御殿場プレミアム・アウトレット行きのバスを利用することにした。強羅駅から御殿場プレミアム・アウトレット行きのバスは、土曜日は午前9時から午後5時まで、1時間に1本以上運行しており、時間の融通がきく。また、御殿場プレミアム・アウトレットからは御殿場駅まで無料送迎バスが頻繁に運行されている。つまり、御殿場プレミアム・アウトレットにたどり着けば、御殿場駅にも問題なくたどり着けることになるわけだ。
というわけで、沼津までの経路が確定。まず、東京駅から東海道本線で小田原駅に移動。ここで箱根登山電車に乗り換えて強羅駅に。そして、強羅駅からバスで御殿場プレミアム・アウトレットに移動。そして、無料送迎バスでJR御殿場駅に向かい、御殿場駅から御殿場線経由で沼津駅まで行く、というものだ。熱海駅から函南駅までの歩くしかないのか、と考えていたことを考えると、まさに天国のようなルートと言っていいだろう。
小田原駅まではグリーン車で快適移動
1月某日、筆者を含めた沼津ツアー(以下、「沼津NFC検証隊」)参加者3名は午前8時30分に東京駅に集合。当然、全員スマホのモバイルSuicaを使ってタッチで改札を通過している。ここから先は現金、クレジットカードともに使用禁止だ。
さて、朝も早いため、まずは朝ごはん代わりに駅弁を購入。東京駅では、駅弁販売店はもちろん、飲食店から洋服店まで、すべて交通系ICカードでの精算に対応しているので、当然駅弁もモバイルSuicaで問題なく購入可能。筆者は崎陽軒の「炒飯弁当」とペットボトルのお茶を購入し、モバイルSuicaで支払いを行なった。
弁当は、もちろん移動の電車の中で食べる計画。とはいえ、東海道本線の電車では、通勤電車のようにロングシートのみの車両も少なくない。ロングシート座席で駅弁を食べるのはちょっと厳しいので、今回はグリーン車に乗ることにした。もともと貧乏旅行を目的としているわけではなく、可能なら特急や新幹線を使いたかったぐらいなので、普通列車のグリーン車はどうってことはない。しかも、当日は土曜日で、東京駅から小田原駅までの普通列車グリーン料金は「ホリデー料金」適用となりわずか780円。この金額だったら迷う必要なしだ。
ところで、普通列車のグリーン車では、列車乗車後にグリーン車に移動しグリーン料金を支払ってもいいが、その場合の料金は、乗車前の事前購入に比べて割高となる。たとえば、今回ホリデー料金適用で事前購入なら780円だが、車内購入では1040円と260円も割高となる。当然、ここは事前購入でいきたい。
しかし、我々沼津NFC検証隊はモバイルSuicaのユーザー。モバイルSuicaには普通列車のグリーン券「Suicaグリーン券」を購入する機能が用意されている。しかも、モバイルSuicaで購入するSuicaグリーン券は事前購入と同じ料金で購入できる。
一部スマホ利用者で、「Suicaのカードをスマホケースに入れて使えば、モバイルSuicaと変わらない」とか言っている残念な人がいるが、彼らには当然この特権は使えない。
加えて、もうひとつモバイルSuicaの大きな利点がある。それは、スマホ上で簡単に残高チャージできるという点だ。「そんなのはオートチャージ機能を設定しておけば問題ないでしょ」という声も聞こえてきそうだが、それも残念な考えだ。実はオートチャージは、その交通系ICカードの利用可能エリア内でしか機能しない。相互利用が可能でも、異なる交通系ICカードエリア内では、オートチャージは機能しないため、残高がなくなると券売機や精算機などでのチャージが必要となってしまう。
それに対し、モバイルSuicaなら好きな場所、好きな時にチャージできるので、残高切れの心配なし。これも、モバイルSuicaの大きな特権だ。
というわけで、弁当片手に午前8時53分発の小田原行き普通列車のグリーン車に乗り込んだ。普通列車のグリーン車は全席自由席で、空いている席に座ればいいが、座席に座ったら頭上のSuicaグリーン券読み取り機にスマホをタッチ。するとランプの色が変わってグリーン券を買っていることがわかるようになり、検札も省略だ。普通列車とはいえ、グリーン車の座席は広々としていて、リクライニングも可能なのでとても快適。ゆっくり駅弁を食べるなどして過ごし、午前10時21分に小田原駅に到着した。
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