東京・千代田区のKADOKAWA富士見ビルで1月27日、有料セミナー「2016Fintech最前線 進む金融イノベーションの裏側を聞く」が開催。
日本のFintech第一人者として知られるマネーフォワードの瀧俊雄取締役、マネックス証券執行役員の飯田敦氏、三菱UFJフィナンシャル・グループの藤井達人氏の3人が集まり、金融テクノロジー「Fintech」の現況について鼎談した。
Fintechはずっと昔からあったもの
元祖Fintechといえば証券業のネット取引だ。規制緩和によりネット証券が生まれたのは17年前の話。しかし「正直それは取引ニーズがある人にしか浸透しなかったのではないかという仮設がある」と、マネーフォワード瀧俊雄取締役は言う。
「マネーフォワードは自動家計簿を提供しているが、2000年から自動家計簿は存在していた。それが誰でも使えるようになったのはここ4~5年の話だ」
スマートフォンが普及したことで、家計簿や会計ツールなどの会計・決済、勘定系サービスの間口が広がった。これが現在注目を集めているFintechだ。金融系のインターフェース、いわゆる使い勝手の改善によって新規顧客を集めている。
Fintech企業によって焦らされているのは銀行だ。消費者の目にふれるサービス1つ1つを攻略されているため、海外ではアリのように小さなスタートアップが、ゾウのように大きな銀行のサービスを1つ1つ撃破にかかっている状態だ。
技術背景には、かつてCOBOLやC+といった「難しい言語」で開発されていた金融系サービスが、比較的「易しい言語」で開発できるようになったという理由もある。おかげで開発者も獲得しやすくなり、スタートアップのように資本体力がない業者でも参入ができるようになったという側面もあるというのだ。
機械学習やブロックチェーンのように、金融業界を抜本的に変えかねない新技術も出てきているが、まだ「技術検証中の段階」(瀧取締役)。今はまだユーザー体験を良くする地道な努力だけでも「果実はある」(同)そうだ。
一方、Fintech動向を受け、銀行側も動いている。
三菱UFJ藤井達人氏によれば、同行グループではすでにスタートアップと組んでサービス開発をはじめている。自分たちだけでは解決できない課題を、新規事業者とともに解決していこうという「オープンイノベーション活動」の一環だ。
2015年に実施したビジネスコンテストでは、オウンドメディアや投資の学習アプリなどのサービスをFintechベンチャーと提携してリリース。また、同行では今年からアクセラレータープログラムも実施。入居できる場所も提供し、スタートアップを手厚くもてなし、イノベーションにつなげていきたいという。
ところで、Fintechは海外発のムーブメント。日本は「やっと火がつきはじめた」印象だが、それは銀行をはじめとする金融機関の信用性に関係があるという。
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