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『ハンター・キラー アメリカ空軍・遠隔操縦航空機パイロットの証言』特別企画

戦争とテクノロジー ドローンが人類にもたらすもの

ホビー用ドローンはスマートフォン時代のテクノロジーの凝縮

 ところで、本書ではプレデターを“RPA”(Remotely piloted aircraft=遠隔操縦航空機)と呼んでいるが、海外ニュースも含めてプレデターのような軍用無人機を“ドローン”と呼ぶことが少なくない。

 それに対し2015年4月に首相官邸に無人小型機が落下していた事件を機に、日本では大いに注目をあびることになったのがホビー用ドローンである。こちらは、本体重量1キロほどで4つのローター(プロペラ)を持ち、ラジコン用のプロポ(操縦器)で操作する。1万3000キロという地球スケールで遠隔操縦する兵器としてのドローンとはまったく違うものだが、こちらは"UAV"(Unmanned aerial vehicle=無人航空機)とニュースなどでは表現されるようになってきている。

DJI Phantom 3 Standard

 また、こうした民生用ドローンでローターが複数あるものはマルチコプター(Multicopter)と分類され、とくにローター4個のものをクワッドコプター(Quadcopter)と呼ぶ。これは、プレデターがダウンサイジング時代の産物だとするなら、いわばスマートフォン時代のテクノロジーを凝縮したものだといってよい。小型・低消費電力化したCPU、加速度などのセンサー類、通信技術、そして、ソフトウェア制御のなせるワザだ。

 最初に話題となったのは、2008年にカナダのドラガンフライ・イノベーションズ社が発売した“Draganflyer X6”だが、すでに空撮・操縦用にカメラを搭載していた。2010年にフランスのParrotT社が発売した“AR.Drone”は、そもそもiPhoneで操縦するようになっていた。そして、2012年に発売された中国DJI社の“DJI Phantom 2”シリーズが、YouTubeの空撮動画ブームの火付け役となった。いまや同社は、民生用ドローンのシェア7割をにぎるといわれる。

 マルチコプターがどんな特性のものかは、1万円程度で売られているParrot社の“MiniDrones”シリーズ(本体重量65グラム)を買ってきて、自分で飛ばしてみるのがいちばん分かりやすい。


 スマートフォンの画面で“テイクオフ”ボタンを押すと、ドローンは空中の数十センチの高さまで上昇してホバリングをはじめる。ここで、操作者が何もしなければバッテリが切れるまで一センチメートル程度の精度で中空に糊で貼り付けられたかのように留まっている。ドローンは、前後左右の位置を本体下に組み込まれた小さなカメラから取り込んだ地面や床面などの画像で、高度を気圧センサからのデータをもとに安定させている。

 ほんの2~3年前まで同じ程度の大きさの模型ヘリコプターを飛ばすのに、うまい人でも一筋縄でいくものではなかったのが信じられない情景だ。

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