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会計士・税理士はなくなる仕事ではない 2016年のfreeeが目指す展望

2015年12月18日 17時30分更新

弥生との二強対決が面白くなってくる

freeeの佐々木代表取締役

 freeeが”なくなる仕事としての会計士”を説明した背景には、同社の柱であるクラウド会計ソフト拡大導入への狙いがある。

 freeeとしてはあくまでサポートと説明したが、この「自動化によって余った時間による本業の推進」での高い付加価値の提供がこれまでのビジネスユーザーだけでなく、会計士や税理士の層にまで広がってくる。

 これまでの中小企業やスタートアップでの利用だけでない部分への拡大と見てもいい。ユーザー企業の要望に合わせた機能強化によって製品も大きく育っており、「規模でいうと500人いるところまではいってきている」ということなので、そこでようやく年間予算、事業計画、経営戦略をどう持つかという話を支えていくパートナーとなるわけだ。

 国内には約600万の事業主が存在するが、会計ソフトの市場規模として実際ソフトを利用するのはじつは3割ほど。税理士・会計士に一任する大企業関連や、会計ソフトを使わずにエクセルなどで手元処理する中小がまだまだ存在する。

 そのなかでもパッケージの比率はまだまだ高く、クラウド会計の導入は10%ほどだという。強みを持っていたバックオフィス側でのシェアを押さえるのはもちろん、今後は500名以上の規模を対象とする税理士・会計士の業務をサポートし、シェアを拡大する形だ。

 当然、クラウド会計ソフトとしても進化して使いやすくなくてはならない。すでに銀行やクレジットカードの明細を機械学習で分析して自動で会計情報にしたり、経費精算のツール提供、さらには給与計算、給与明細のツールなど、サポート範囲を拡大している。

 スマホから確定申告を受け付けるようなもの個人事業主の確定申告のお手伝いや、マイナンバーに対応した従業員の勤怠管理・給与明細確認ができる「freee for チーム」 は従来のクラウド会計ソフトからの拡大だ。

 一方で、14日に発表となった「金融機関アドバイザーアカウント」では、ユーザー企業の会計情報を銀行が閲覧できるようになることで、これまで行き届いていなかった中小規模での企業に対しても、金融機関側からの適切なサービスの提供アプローチが可能となる。

 パッケージクラウド会計ソフトで圧倒的なシェアを持つ弥生会計もクラウド化を進めているが、freeeとしては企業側ではない会計士・税理士の領域にも本格的な拡大を行うというわけだ。説明会でfreeeの佐々木代表取締役は「弥生との二強対決が面白くなってくる」と語っていたのは、このような取り組みも含めてだろう。

企業価値を高めるための支援ツールとなる

freeeの東後澄人取締役COO

 そのうえで当日発表となったのが、「リアルタイム経営パートナー」という構想だ。「経営者ととに会計データのリアルタイム化を行い、意思決定を支えるパートナーとなる」として、会計事務所と顧問先企業のパートナーシップのあり方を支援するとfreeeの東後澄人取締役が発表した。

 実現の要素は大きく4点。1番目の「フロント業務の効率化」は高いUI/UXでのクラウド化であり、freeeではすでに実現済み。

 2番目の「バックオフィス業務 」効率化についても、今後より進めるつもりだという。「ニュージーランドの会計事務所では5人の従業員で1600の顧客を扱っている、日本の平均から1人当たりで10倍の違い。効率化による多くのお客様対応ができる世界はある」というのが同社の見立てだ。

 3番目の「新しい付加価値を提供」では、レポーティングや分析・アシスト機能といったより高い価値、複雑な分析ができるツールの開発を目指す。顧問先とのコラボレーション機能では、別途メールを送る手間をはぶくなど、リアルタイムだけでない部分での省力化を予定している。

 4番目は「その点をしっかりとお客様に伝える」部分。顧問先とのマッチング支援をするアドバイザー検索などのプロダクトを開発予定だ。2016年の1年間を通して開発を進めていく予定だという。

 さらに、freeeは2000を超えた認定アドバイザーの制度刷新を発表した。

 freeeの「認定アドバイザー制度」は、freeeユーザーをサポートする税理士や会計士などへの各種特典を提供する制度で、実質的には、会計士・税理士事務所での利用者数といっていいものだ。freeeによれば、国内シェアではライバルとなる弥生会計は5000人という市場規模。2年間での2000突破について自信を見せる同社は、「国内には6万人の税理士がいて、その3ぶんの1、20000人での使用を目指している」という。

 国内40万を突破したクラウド会計ソフトナンバーワンのシェアをより伸ばしつつ、一方でユーザー企業価値を高めるための支援ツールとして会計士や税理士側の業務効率化を進めるfreee。国内Fintech企業の動きが活発化しているなかで、その目線の底堅さを改めて感じた。

■関連サイト
freee

 

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