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事前情報出まくりでも期待以上だった「Pixel 4」 【石川 温】

2019年10月16日 12時20分更新

 「お漏らし通りだけど、期待を超えた」

 グーグルが10月15日(米国時間)に発表した新ハードウェア製品発表会は、まさにそんな印象であった。

 グーグルは今年6月にすでにPixel 4に関して自らツイート。背面カメラはデュアルであることを明らかにした。その後、Pixel4に関する情報は流出しまくった。

 アップルのiPhoneもかなり前からデザインなどの情報が流れるが、こちらは中国方面からの流出がほとんどだ。iPhoneの発売と同時にケースを売ろうと思うと、どうしても事前にケースメーカーにデザインを教える必要がある。結果として、カメラがどの位置にあり、大きさはどれくらいという情報が世界に流出することになる。

 しかし、グーグルの場合は、自ら率先して流しているところに「男気」を感じる。

 発表会が始まる前から「Pixel 4が出るんでしょ」という雰囲気の中、事前情報通りのデザインで発表になったわけだが、意外にもネット上では盛り上がりを見せた。

 1つは、ボイスレコーダーでありながら、同時にテキストを起こしてくれる機能だ。すでにグーグルでは音声からテキストを起こしてくれるアプリを提供中だが、これをスマホのボイスレコーダーに取り込んでくれた。15日23時からグーグルの生中継を熱心に視聴し、SNSに参加している人は、普段からインタビュー取材でボイスレコーダーを使っているメディア関係者が多かったせいか、とにかく、SNS上は歓喜に包まれた。

 もう1つの盛り上がりがカメラ性能。前モデルのPixel 3でも定評があったが、Pixel4ではデュアルカメラになって、星空撮影やポートレートがさらに進化した印象だ。残念ながら、昨今のトレンドである超広角に非対応なのが残念なところだが、ぜひともグーグルのAIを使ったカメラ撮影は試してみたいものだ。

 また、日本では今のところ非対応で2020年春に使えるようになると思われるのが、Motion Senseだ。Soliというセンサーを使い、スマホの前でジェスチャーすることで操作が可能となる。これまでもスマホのフロントカメラに向かってジェスチャーすることで、操作ができるスマホがあったが、どれも反応がイマイチでイライラさせられることが多かった。果たして、Soliセンサーがどれくらい使い勝手がいいものか試してみたい。

 ちなみにSoliは60GHzの周波数帯を使っており、これが日本では今のところ使えないらしい。だが、現在、総務省では検討が進められているようなので、グーグルとしては「日本は2020年春対応開始」という言い方にしているのだろう。

 今回のPixel 4の発表会、見た目のデザインなどは「お漏らし通り」なのだが、やはり、グーグルのAIを活用したあたりに驚きを感じた。

 グーグルの立場とすれば「ハードウェアデザインはどんなに情報統制を図っても、どこからか漏れる。ならば自ら漏らしてしまえ。Pixel 4の凄さは見た目じゃない。中身のAIなのだ」という意気込みがあるのではないだろうか。

 もはやスマートフォンの価値は、ハードウェアやデザインではない。AIが、カメラやマイクで集めたデータをどう処理して、ユーザーに伝えるかが勝負になろうとしている。

 まさにグーグルからのメッセージは「スマホの価値はAIにあり」とでもいいたいのだろう。


筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。

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