2013年05月20日10時30分

ハフィントンポストは流行るか?ローンチ後の投下記事を分析してみた

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 米国で最も勢いがあるとされるニュースサイトのひとつ『ザ・ハフィントン・ポスト』(以下ハフポスト)の日本版が5月7日より鳴り物入りでスタートした。

 アメリカ版では1日約1600、58秒間に1本のペースでニュースやブログ等の記事が配信され、月に4600万人の利用者が800万件以上のコメントを付ける巨大なサービスになっている。だが、議論を好まないと言われる日本のインターネットユーザーに受け入れられるかどうかはまだ未知数だ。

 今回は5月7日から5月13日までの7日間に配信された(※)すべてのニュースとブログ記事、それに付いたコメント数を集計し、その傾向を探ってみた。なお、ハフポストには配信されたニュース記事の一覧を見るページが存在しないため、すべて手作業で集計。見落としがある可能性もある点はご容赦いただきたい。

■ニュース記事
 7日間で配信された記事の総数は98。中にはローンチ日の5月7日以前の記事もあるが、おそらく試験期間中に投稿され、そのままアーカイブされたものだろう。1日平均にすると約14記事、他メディアと比べるとまだまだ少ないが、これはいずれ増えていくことだろう。

 各記事のヘッダーには“HUFF POST POLITICS -政治-”、“HUFF POST BUSINESS -経済-”といったカテゴリー名が表記されている。7日間の内訳は以下のとおりだ。

政治 20
経済 31
国際 18
社会 24
エンタメ 4
ライフスタイル 1

 ほかにも“マンガ”、“スポーツ”といったカテゴリーも用意されており、今後これらカテゴリーの記事も登場してくるものと思われる。

ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン

↑ハフポストのトップページ(関連リンク)。左カラムにはブログ記事、中コラムにはニュース記事、右コラムには広告やSNSのタイムライン、人気記事などが表示される。

ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン

↑HUFF POST POLITICS -政治-のページ(関連リンク)。おもに“政治”カテゴリーの記事が表示される。

 ハフポストのトップページにはすべてのカテゴリーに属する記事が並ぶが、必ずしも最新の記事から時系列順に並んでいるわけではなく、アクセスの見込める話題のニュースが目立つようになっている。独自CMSによって動的にレイアウトしているのだろう。

 また、“政治”、“経済”、“国際”、“社会”の主要4カテゴリーにはそれぞれトップページが用意されており、当該カテゴリーの記事を集中して読むことができる。おもしろいことに政治カテゴリーのページには、政治カテゴリーに属する記事だけではなく、少数だが“社会”や“経済”カテゴリーの記事が並ぶことがある。たとえば社会カテゴリーに属する記事でも“政治タグ”が付けられているものは、政治カテゴリーのページにも表示されるというようなシステムになっていると思われる。

ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン

↑単独記事ページ。ヘッダーに“HUFF POST POLITICS -政治-”とあるので、この記事は“政治”カテゴリーに属しているとわかる。また、写真の下に青文字で表示されているタグの中に“社会”があるので、“HUFF POST SOCIETY -社会-”のトップページに表示されることもあるのではないか。

 ニュースの供給元だが、現在のところおもに以下のとおりだ。

ハフィントン・ポスト日本版の独自記事 60
ハフィントン・ポスト海外版の記事を翻訳したもの 9
ロイター 18
朝日新聞デジタル 10
getty 1

 5種類が確認されている。現在のところ全体の7割、朝日新聞デジタルも含めると8割強のニュースを自前でそろえていることになる。今後、外部のニュースソースを増やしていくのか、それとも自前で用意する路線を続けるのかは今のところまだわからない。

 また、“ハフィントン・ポスト”名義の記事の中のいくつかは署名記事となっている。ブログ記事だけではなく、ニュース記事にも発信者が顔を出していくという意思の現われだろうか。

ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン

↑記者の署名があるニュース記事。ブロガー同様ファンになったりフォローしたりできる。

■ブログ記事
 7日間で配信されたブログ記事総数は62、ブロガーは59名だ。今のところ複数の記事を書いているブロガーは少なく、平均的な更新頻度はまだ見えてこない。

 ブロガーの顔ぶれは政治家、学者、弁護士、ジャーナリスト、スポーツ選手などバラエティに富んでおり、堀江貴文氏、田原総一郎氏、野田聖子氏などビッグネームも散見される。現在まだ投稿はないが、安倍晋三首相の参加もアナウンスされている。米国版ではバラク・オバマ大統領やヒラリー・クリントン氏など寄稿しており、著名人の起用は今後も期待できそうだ。

 一方、硬派なドキュメンタリー映像で知られる森達也氏や、メディアアクティビストの津田大介氏、高速増殖炉のもんじゅ君など、ネットならではの人選もあり、バランス感覚を取ろうとしているところも伺える。

ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン

↑ジャーナリスト、田原総一朗氏のブログ記事。憲法改正についての意見を述べている。

ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン

↑高速増殖炉、もんじゅ君のブログ記事。かわいい自己紹介文になっている。

■SNS連携による拡散
 ハフポストに投稿されるすべての記事には、ニュース記事、ブログ記事に関わらず主要SNSやメールによる拡散のためのボタンが用意されている。現在のニュースサイトでは標準とも言える機能だが、朝日新聞デジタルなどの新聞社サイトより、はるかに積極的な姿勢が感じ取れる。

 ただ、肝心のソーシャルでのシェア数に関しては、多いものでもせいぜい300、ほとんどが2桁程度。オープン直後でまだネットユーザーへの周知が十分でないという面もあるので、1ヵ月、2ヵ月してどうシェア数が変わってくるかが気になるところだ。

■ニュース記事“いいね!”ベスト5(以下、集計は5月15日22時)
日本人が、声を上げ始めた 1678
みんな、民主主義に飢えている 1569
“こどもの城”存続を訴える署名運動 1009
ディズニーが『スターウォーズ』テーマパークを開設か 545

■ニュース記事“Facebookシェア”ベスト5
安倍首相、ハフィントンポスト参加へ 356
日本人が、声を上げ始めた 268
“みんな、民主主義に飢えている” 252
“こどもの城”存続を訴える署名運動 111
ソーシャルメディア時代に育つ“評判を気にする子供たち” 91

■ニュース記事“Tweet”ベスト5
安倍首相、ハフィントンポスト参加へ 836
“みんな、民主主義に飢えている” 399
日本人が、声を上げ始めた 231
“こどもの城”存続を訴える署名運動 197
“育休3年”って誰のため?安倍首相の子育て支援策に批判噴出 147

■ブログ記事“Facebookシェア”ベスト5
被災地はクレジット審査が通らない?(番場さち子) 204
日本人は、なぜ議論できないのか(小笠原泰) 113
オタクと変態はモテる(堀川大樹) 103
21世紀型 マスメディアとパブリックアクセスの可能性(堀潤) 97
東京初、直接請求で実現した小平市の場合―住民投票から考える民主主義の諸問題(1)(國分功一郎) 97

■ブログ記事“Tweet”ベスト5
なぜTOEFL義務付けなどという発想が出てくるのか(山口浩) 417
オタクと変態はモテる(堀川大樹) 335
ハフィントンポスト日本版スタート!(松浦茂樹) 298
憲法の良し悪しと96条の改正は別の問題だ(田原総一朗) 212
ハフィントンの上陸は、日本のメディア空間を変えるか?(佐々木俊尚) 179

ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン

↑ニュース記事のSNS連携欄。Facebookのシェア、Twitter、はてなブックマーク、メールによるシェア、コメント数、メルマガ登録機能が用意されている。

ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン

↑ブログ記事のSNS連携欄。Facebookのいいね!、Facebookのシェア、Twitter、メールによるシェア、はてなブックマークが用意されている。

ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン

↑ブログ記事の著者名の右側には“ファンになる”ボタン、RSS、メール、Twitterのフォロー、Facebookのいいね!が用意されている。

■コメント欄は機能しているか
 ハフポストのすべての記事にはスレッド型コメント欄が用意されている。コメントは誰でも(匿名でも)投稿可能で、確認のためのタイムラグはあるが、概ね10分ほどで反映される。

 ハフポストではコメント欄による“ネット論壇を形成する”と、ローンチイベントでも盛んにアピールされていたが、コメントの品質管理が重要だ。
 自動、手動によるチェック機能は今のところ順調に働いているようで、ヘイトコメントも激しい論争も見当たらない。だが、裏を返せば個人が勝手に感想を述べているだけで、議論が成り立っていないとも言える。また、コメントの絶対数もまだまだ少ない。日本では定着している“2ちゃんねる(の一部の板)”や“はてブコメント”、“Togetterのコメント欄”などでは、不適切な発言も多いものの、活発な議論や発言が行なわれていることを思うと、少々さびしい気もする。
 良質なコメントを投稿するユーザーにバッジを付与したり、コメントユーザーのファンになることができたりと、新しい試みも多いだけに、今後どう発展していくのか、今のところはなんとも言えない。

■ニュース記事“コメント”ベスト5
安倍首相 ハフポスト参加へ 107
7日のイベント、全文掲載中 99
“限定正社員” 働きやすさのモデルか、安易な解雇の誘発か 65
息子の就職先は“グローバル企業”か“ブラック企業”か? 62
“自分で最後にして欲しい” 声は届くのか 56

■ブログ記事“コメント”ベスト5
日本人は、なぜ議論できないのか(小笠原泰) 149
ハフィントンポスト日本版スタート!(松浦茂樹) 71
憲法の良し悪しと96条の改正は別の問題だ(田原総一朗) 59
民主党再生への道(岡田克也) 56
なぜTOEFL義務付けなどという発想が出てくるのか(山口浩) 48

ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン

↑コメント投稿欄。コメントすると同時にSNSやブログにシェアすることも可能だ。

ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン

↑コメントに“返信”を書くことによってスレッド掲示板のような議論を展開することも可能。また、コメントユーザーのファンになり、その人のコメントを追いかけることもできる。

■まずは1ヵ月後を見てみなきゃわからない
 以上考察を続けてきたが、これはあくまでもスタートから1週間のデータにすぎない。実際ここ数日でニュース記事の数も着実に増えてきたし、2回目となり筆が乗ってきたブロガーも多い。現段階ではまだまだネット上での存在感は薄い。とは言え現段階ではまだまだネット上での存在感は低く、ディープなネットユーザーの嗜好をある程度反映していると思われる“はてブホットエントリー”にもハフポストの記事は見えない。

 だが、ハフポストの想定するターゲットは従来のディープなネットユーザーではないのかもしれない。ネットにはそれほど慣れていない、ヤフーや新聞社系サイトのみでニュースを読んでいるユーザーが真のターゲットなのだろう。いずれにせよ強力なCGMのシステムまわりや著名で幅広い執筆陣により高いポテンシャルを保っていることは確かなので、今後しばらく注目して見て行きたいと思う。

■関連サイト
ザ・ハフィントンポスト・ジャパン

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