WQHDまではしっかり伸びる
「Call of Duty: Modern Warfare II」
では、ここからは実ゲームにおける検証を再開するとしよう。検証方法はゲーム内ベンチマーク機能の有無に関係なくすべて「FrameView」を用い、ディスプレーに表示されたフレームレートを計測した。また、ビデオカードは例外なくNVIDIAの電力測定デバイス「PCAT v2」を経由して接続され、ベンチマーク時のカードの実消費電力(TBP:Total Board Power)の平均値も同時に取得、さらにそのベンチマークで得られた平均フレームレートとTBPを利用して、1Wあたりのフレームレート、つまりワットパフォーマンス(Perf/Watt)も比較する。
「Call of Duty: Modern Warfare II」では画質は“極限”、アンチエイリアスは“ウルトラ品質”に設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
フルHD〜WQHDまではRTX 4070は3080に対して優位に立つが、4Kになると逆転を許してしまう。同じメモリーバス幅192bitのRTX 4070 Tiが終始RTX 3080に対して大差をつけていることを考えると、RTX 4070の性能が伸び悩むのは、SM数を大胆に削ってしまったためであると推測される。
このゲームはDLSSに対応しているので、WQHDと4KではDLSS“パフォーマンス”設定を追加した際のフレームレートも検証する。
DLSS SRを利用することで、解像度を上げてもRTX 3080以上のフレームレートを出せる、という点は注目に値するが、DLSS SRであれば必ず勝てるわけではないということは次のゲームで明らかになるだろう。
解像度が低いほどベンチマーク中のTBPも低くなる、というのはRTX 4090の初出時から観測されている結果と一致するが、恐らく大量のL2キャッシュのおかげでVRAMアクセスの頻度が減っているためではないかと推察される。Turing/Ampere世代の70番台よりも最大2倍近いワットパフォーマンスを出しているのもこれまで観測されたデータと一致している。
また、フレームレートではRTX 4070 Tiのほうが4070を圧倒しているが、ワットパフォーマンスで見るとほとんど差が出ていない。つまりTGP 200Wの中でやれる仕様を模索した結果が、RTX 4070のスペック(特にSM数)に落ち着いた理由なのではないだろうか。
DLSS無しでは厳しい戦いを強いられた
「Dead Space (2023)」
「Dead Space (2023)」では画質は“ウルトラ”をベースに、アンビエントオクルージョンを“RTAO”、アンチエイリアスは“TAA高”に設定。ハンガーエリアの無重力空間を移動した際のフレームレートを計測した。
前編でも観測された通り、フルHDの段階でもRTX 4070よりもわずかにRTX 3080のほうがフレームレートが出ている。解像度が高くなるほどRTX 3080と4070の差は拡がっていくが、4KではRTX 4070 Tiのすぐ後にRTX 3080が迫っている点にも注目したい。ただ、旧世代のRTX 2070 SUPERやRTX 3070に対してはRTX 4070は常に優位性を保っているなど、RTX 4070は新世代の70番台無印としてはしっかり仕事をしていると言えるだろう。
続いてはDLSS SR“パフォーマンス”設定を利用した際のフレームレート比較だ。ちなみにDead Space (2023)のDLSS SRやFSR 2はTAAと排他利用となっている。
WQHDでは、DLSS SRを利用するとフレームレートは激増するが、RTX 4070が3080を大きく上回るまでには至らない。4Kでは再びRTX 3080にリードを許した。アーキテクチャー的に進んでいても、ゲームの設計によっては奮わないこともある、ということだ。
フレームレートでは精彩に欠ける結果に終わったRTX 4070だが、ベンチマーク中のTBPやワットパフォーマンスという点ではやはりRTX 3080よりも良好といえる。特にRTX 3070や2070 SUPERといった旧世代70番台を基準にすると、2倍近いワットパフォーマンスを出せている。
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