高い色再現性と黒の美しさ、精緻な解像度
本機は広い色域を誇っており、高い色再現性を実現している。具体的にいうと、DCI-P3を98%カバーする。DCI-P3というのは、アメリカの映画業界団体が用いているデジタルシネマ向けの色域の規格だ。つまり、本機はシネマに迫るほど、多彩な色を映し出せるということだ。
ディスプレーの色域を表現する基準として、sRGBという規格がよく使われるが、これを100%カバーしたとしても、DCI-P3に置き換えると80%未満に過ぎない。sRGBを100%カバーする機種は多く発売されているが、DCI-P3のカバー率が高い機種となると限られてくるので、この点は本機の明確な長所だ。
さて、本機の液晶パネルがSS IPSなのは前述の通り。応答速度がIPS液晶の欠点だと語ったが、欠点はもうひとつある。それがコントラスト比の低さだ。これは、画面内で明暗の差を作り出すのが苦手であることを示しており、漆黒の表現は特に不得手。IPS液晶が映し出す黒は、どうしても“明るい黒”になってしまうので、陰影のある絵を映し出すのには長けていない。
この欠点はSS IPSでも克服はできていないのだが、本機はその対策として、ブラックイコライザーという機能を搭載している。これは、暗部を明るく補正して視認性を高める機能だが、黒の発色をユーザーの好みで調整できるので、暗部をより暗くすることで明るい部分をより際立たせることも可能だ。これはGIGABYTEの他機種にも搭載されている機能で、同社製品が人気を博している理由のひとつだ。下の画像を見れば、その違いがわかるだろう。
解像度がWQHD(2560×1440ピクセル)である点も見逃せない。マシンのスペックが必要条件を満たしており、ゲームの美しいグラフィックを体感したい場合、出力する映像の解像度を上げたくなる。だが当然ながら、ディスプレー側がその解像度の表示に対応していなければ、それを叶えることはできない。
本機は4K(3840×2160ピクセル)とまではいかないまでも、その手前のWQHDに対応する。4K映像を出力しようとすればマシンのGPUに大きな負担がかかり、フレームレートも下がってしまうので、実践的にはWQHDがバランスの良い選択といえると筆者は考えている。
WQHDの映像の美しさは、フルHD(1920×1080ピクセル)と比べて明らかに体感できるレベルの違いがある。ゲームのタイトルにもよるが、ミドルハイのGPUでもWQHDのグラフィックを楽しみつつ快適にプレイできるケースは多い。本機を導入するのなら、お手持ちのマシンのスペックとも相談しつつ、ぜひWQHD画質でゲームを楽しんでほしいところだ。
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