目立った存在感を示したマスク生産
2020年度を振り返ったときに、シャープのブランド力を最も引き上げたのが、シャープ製不織布マスクだろう。
シャープの不織布マスクが発売された2020年4月は、マスク不足が社会的問題となるなか、異業種からの参入でありながらも、液晶ディスプレイの生産を行っている三重県の同社三重工場のクリーンルームで、国産マスクを生産するという品質の高さに注目が集まり、販売初日には、アクセスが集中し、購入手続きができなくなったほか、同じデータセンターのプラットフォームで運用していたシャープのAIoT家電向けクラウドサービスが一部で利用できなくなるという事態も発生した。
同社では、販売方法の変更や、体制面、技術面の見直しに着手。抽選での販売方式に変更し、毎週水曜日に抽選を実施。その後はトラプルがなく、抽選販売を継続。2021年5月19日には、54回目の抽選を行う予定だ
同社では、ふつうサイズに続いて、2020年9月からは、子どもや女性に最適な小さめサイズを追加。現在、三重工場では、ふつうサイズ用に9台、小さめサイズ用に2台の生産設備が導入しており、合計11台の設備でマスクが生産されている。
これまでの応募総数は、ふつうサイズが921万2826人、小さめサイズが27万8225人。 累計生産枚数は、2020年11月6日に累計出荷が1億枚に到達。2021年3月25日に累計2億枚に到達した。
決算発表のなかでは、マスクに関する実績については明らかにしていないが、1年間で約2億枚という実績から逆算すると、約100億円の売上規模に達していると推定できる。
なお、マスクの売上高は、セグメント別では「8Kエコシステム」に含まれている。液晶ディスプレイの生産を行っている三重工場でマスク生産をしていることも、その背景にありそうだ。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります