2014年05月07日17時00分

Windows情報局ななふぉ出張所

VAIO株式会社にどんな新PCを期待する?

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 ソニーはPC事業の謙譲について正式に契約したことを5月2日に発表し、7月1日に事業開始予定の新会社“VAIO株式会社”の概要を明らかにしました。VAIOの名前を冠した新会社は、ほぼ2月に発表された通りのもの(関連記事)でしたが、今後は約240名の体制で日本国内向けのPC事業を展開するとのこと。

 今回のPC事業撤退により、スマートフォンとタブレットはソニー本体に残る一方、Windows製品はVAIO新会社に移行し、さらに”Windowsタブレット”についても、新会社が扱うことになりそうです。

 果たしてVAIO株式会社にはどのようなPCが期待されるのか、改めて考えてみましょう。

■価格で勝負した場合、必ず競合するSurface

 VAIOシリーズのWindowsタブレットとしては『VAIO Tap 11』がありますが、これはマイクロソフトのSurface Pro 2と競合しています。VAIO Tap 11は省電力なCoreプロセッサを搭載し、LTEモデルも用意するなど、スペック的な違いはあるものの、自立するスタンドや専用キーボードといったコンセプトは似通っています。そして何よりもSurface Pro 2は、「実質、WindowsとOfficeの無料添付では?」との疑いをもたれるほど割安な価格設定が強みです。

VAIO株式会社にどんなPCを期待する?
↑Surface Pro 2とコンセプトが似ている『VAIO Tap 11』。実売10万3000円前後のSurfaceと近いスペックで比較すると16万円前後のVAIOのほうが多少割高な印象は否めなかった。

 現在、Surface Pro 2には在庫不足という問題があり、半年近くも入手困難な状態が続いています(関連記事)。まるでマイクロソフトがOEMメーカーに配慮して意図的に在庫調整をしているのではと思えてくるほど、異常な状態です。今後は在庫改善が期待されるため、VAIO新会社としてもSurfaceとまともに競合することは避けたいところです。

■国産の小型タブはプレミアムクラスに勝算あり?

 では、小型のタブレットはどうでしょうか。こちらも今夏のトレンドは低価格が焦点となり、具体的にはAndroidで100ドル前後、Windowsでは200ドル前後という、かなり低いレンジに突入することが予想されます。

 一方、プレミアムクラスの製品についてはThinkPad 8がフルHDのディスプレイを搭載した程度で、まだまだ未開拓です。ここにiPad miniに対抗できるようなVAIOブランドの小型タブレットを投入するのは、十分にあり得るといえます。

VAIO株式会社にどんなPCを期待する?
↑レノボの『ThinkPad 8』(実売8万円前後)。iPad miniに対抗するプレミアムクラスの小型Windowsタブレットは、まだまだ少ない。

 特に日本ではWindowsタブレットが例外的によく売れており、根強い『艦これ』人気がそれを牽引しているといわれています。しかし8インチクラスに参入している国内メーカーは東芝のみで、NECや富士通の名前はありません。ネット上での人気はレノボに集中しており、スペック的にも優れているように思われるものの、郊外の家電量販店では馴染みのある東芝ブランドを指名買いするユーザーが少なくないという声もあります。

 懸念されるのは、5月20日(現地時間)にニューヨークで発表されるのでは、との噂が高まっているSurface Miniの存在です。しかし9インチ未満のタブレットではWindowsのライセンス価格が無料になることから、比較的“フェア”な競争が期待できます。ただしグローバルに展開するSurfaceとはコスト競争で不利になるため、防水やカメラ、LTE対応などソニー時代からの特徴を引き継いで差別化を図りたいところです。

■2-in-1やタッチではなく、オーソドックスなノートに期待

 今後のPC市場の見通しとして、タブレットなどのスマートデバイスによりPCは徐々に置き換えられていくというシナリオが有力となっています。しかし4月25日には、2013年度の国内PC出荷台数が過去最高の1210万台に達したというデータをJEITAが発表。昨年後半から続いてきた、Windows XPからの移行や消費税引き上げに備えた法人市場の盛り上がりを裏付ける結果となりました。

 そこでVAIO新会社としても、今後の伸びが不透明なタブレットだけでなく、法人向けPCにも注力したいはずです。そのためには、安くて壊れにくく、Webアプリやデスクトップアプリが使いやすい、Windows 7搭載PCの充実が求められます。

VAIO株式会社にどんなPCを期待する?
↑技術的に評価の高かった『VAIO Duo 13』(実売16万円前後)。

 ただし法人市場では、セキュリティや省エネ、保守やクラウド連携などのソリューション全体での提案を求められる場合も少なくありません。すでに法人市場で地位を確立している他社と比べて、VAIOは何を強みとして対抗していくのか、なかなか難しいところでしょう。

 最新の『VAIO Fit』シリーズはメインストリームの価格帯に2-in-1とタッチを採用するという意欲的なものでしたが、やや先走りすぎたという結論になりそうです。現に「売れているのはタッチ非対応が8割」と言う国内メーカーの中もあるほどで、コンシューマー向けPCにおいても、まだまだタッチ非対応モデルが求められています。

 さらに今後のトレンドとしては、高齢者層の取り込みが考えられます。というのも、既存のPCユーザーはPCを使い続けながら高齢化する一方、若年層の新規ユーザーは最初からスマホやタブレットを活用するという“若者のPC離れ”がいっそう進む可能性があるからです。富士通の『GRANNOTE』シリーズが「メインターゲットを60歳前後に設定した」と聞いたときには、「さすがに高齢すぎるのでは?」といぶかしく思ったのですが、まさにこのトレンドを見越した戦略といえるかもしれません。

■“差別化”と“フォーカス”でコアなVAIOファンの期待に応えられるか

 VAIO新会社の課題は、“日本を中心にする”という展開地域の縮小です。これではグローバルに展開するレノボやアップルに対し、スケールの面で大きく不利になります。コスト面の優位性を得られないのならば、残る戦略は“差別化”か“フォーカス”しかありません。

 差別化という面では、独自の多層塗装技術による“red edition”(関連サイト)は非常に印象的でした。最近のVAIOではシルバーやブラックのモデルが増えていますが、原点回帰してパープル色を復活させるというのもどうでしょうか。パーソナライズという面では、VAIOオーナーメードモデルにおける天板の選択やメッセージ刻印といったサービスも魅力的です。

VAIO株式会社にどんなPCを期待する?
↑圧倒的な存在感の“red edition”。Xperiaと合わせてコーディネートできるパープル色にも期待したい。

 さらに突き進めて、VAIOファンにフォーカスするという方向性も考えられます。VAIO type PやC1のような機種はいまでも復活を望む声があるほか、タブレット時代を先取りしていたtype Uも根強い人気がありました。『ソニーが基本的に好き』サイトを運営している君国泰将氏が挙げるような(関連記事)歴代の名機を、現代の最新技術で復刻するという案はどうでしょうか。

 もちろん、いずれもコアなユーザーの期待に応えられる、高い品質を維持することが求められます。最近のVAIOにはWi-FiやBluetoothに関する不具合が出やすいという印象があり、実際に筆者もトラブルシューティングに時間を費やしたことがあります。VAIO Fit 11Aに発生したようなバッテリーに関する不具合(関連サイト)など、安全面に影響する問題も避けたいところです。

 まずは確実に売れるPCをラインアップすることで収益基盤を固め、VAIO事業を軌道に乗せた上で、ゆくゆくは“VAIO”という名前らしい尖った製品作りの再開を期待したいものです。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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