第700回
レクサス「LC500 コンバーチブル」
絶滅寸前のV8サウンドをオープンエアで。レクサスLCの販売終了で失われる「日本車の贅沢」
2026年11月07日 18時00分更新
日本車史上最後の、古典的なパーソナルラグジュアリーモデル
走り始めてみると、コンフォート性能の高さはさすがレクサスのフラッグシップモデルといったところ。ソフトトップを閉めた状態では、始動時に派手に目覚めたV8エンジンも、日常域の低回転では静かに仕事をこなしていくといった印象です。これは10速ATがあってこそのものです。多気筒エンジンと多段ATの組み合わせで、シームレスかつ静かな走りを実現してコンフォート性能を高めるのは、昔からあるラグジュアリーモデルの基本的な手法です。
現代ではその役割がハイブリッドなどに置き換わっていますが、実際に乗ってみると、LCは古典的なラグジュアリーモデルの手法を採用した最後のクーペ&コンバーチブルなのではないか、と思わせるものがありました。
アクセルを踏み込み、回転数を高めていくと、エンジンサウンドが徐々に官能的なものへと変化していきます。中回転域でもV8らしいサウンドが感じられて満足度が高いのですが、高回転域になると音色が変わり、もうひとつ違った顔を見せてくれました。ソフトトップを開けてオープンでエンジンを回すと、その非日常で特別な感覚はさらに増します。そのとき、「コンバーチブルにLC500しか用意されないのは、このエンジンをオープンエアで味わえということなのかな」と気付かされました。
ちなみに、スポーツモードにしてワインディングを走ってみても、「楽しい!」とはなりませんでした。このあたりが、同じエンジンを搭載する「RC F」との最大の違いといえます。RC Fがスポーツクーペなのに対して、LCはラグジュアリークーペ。ワインディングでも目の前のコーナーと対峙するのではなく、加速時の回転の高鳴りや、減速時のシフトダウンで入るブリッピングのサウンドを楽しみながら、リラックスして流す。それがLC500 コンバーチブルでのワインディングの楽しみ方なのです。
ラグジュアリーモデルとしての高いコンフォート性能と非日常の雰囲気を身にまとい、アクセルを踏み込めば、内燃機関でガソリンを燃やすという贅をこれでもかと味わえる。そんなラグジュアリークーペ&コンバーチブルの伝統的な姿を、日本車として体現した最後のモデル。それがLC500 コンバーチブルなのだと再認識した“さよなら試乗”となりました。
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