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試行錯誤を地道に続ける“業務改善術”で、年間の費用対効果3000万円を創出

「前例をなぞって楽をしていた」―― 滋賀県のkintone活用を好転させた“失敗起点のフレームワーク”

2026年11月05日 14時00分更新

失敗しても立ち止まらず、試行錯誤を地道に続ける

 他にもkintoneの推進において意識したのは「役割分担」と「仕組み化」だ。

 例えば事例集の作成では、DX推進課だけで抱え込まず、現場の職員や他の課を巻き込んだ。具体的には、庁内をヒアリングして回り、「なぜ使われないか」「どうすれば活用しやすいか」という生の声を集めた。その結果、これまでの堅苦しい技術解説中心の内容から、シンプルかつ平易な表現で、具体例まで踏み込んだ「誰もが参考にできる事例集」へと生まれ変わった。

 加えて、相談窓口への申し込みから相談対応、運用報告、事例掲載までの一連のフローを構築。これにより、DX推進課の負担を減らし、持続可能な安定した運用を目指した。

生まれ変わった事例集

 こうした施策の再構築によって、「事例集を見て相談に来ました」「前に作ったアプリをもっと便利にしたい」という声が寄せられ、自主的に業務改善へ踏み出す職員が増加。年間の相談件数は約200件にまで達した。

 当初は2年間で約520万円にとどまっていた投資対効果も、1年間で約3000万円にまで跳ね上がっている。

 中村さんは、「『基本的なことしかしてないじゃないか』と思った人もいるかもしれません」と会場に語りかけた。これに対する中村さんの答えは明確だ。「kintoneを“導入”から“活用”にするためのたったひとつの冴えたやり方は、失敗しても成功するまで試行錯誤を重ね、地道に続け抜くこと」である。

 DX推進課は、業務改善のフレームワークでの「試行錯誤」と、思考しながら動きつつ、失敗・ギャップの確認を経て見直す「地道な活動」という両輪で歩みを進めてきた。中村さんは、「行政の性質上、失敗はNGとされがちですが、大切なのは立ち止まらないこと。それで迷惑を被るのは住民の皆さまだからこそ、失敗しても挑戦し続けましょう」と語った。

大事なのは失敗しても成功するまで試行錯誤し、地道に続けること

 中村さんも、kintoneをきっかけに生まれた業務改善の考え方を、自治体の垣根を越えて広げるという、新しい挑戦を始めたばかりだ。「きんキントーン会議」という近畿の自治体が参加するコミュニティを立ち上げ、外部事業者も巻き込んだ取り組みへと発展させているという。

 最後に中村さんは、「この後もイベントで素晴らしい事例が発表されますが、それをそのまま自庁に持ち帰っても、私のように失敗する可能性が高いです。だからこそ、先ほどのフレームワークを頭に思い描きながら聞いてみてください」と呼びかけ、セッションを締めくくった。

 セッション終了後には、サイボウズ公共チームの藤原慎之輔さんとのアフタートークが繰り広げられた。

藤原さん:業務改善フレームワークは、自ら編み出された手法ですか?

中村さん:色々な知識を寄せ集めて自分なりに解釈したものですが、今回のイベントに登壇するからこそ、普段考えていることを定義できた側面もあります。

藤原さん:自治体の規模に関わらずフレームワークは刺さると思いますか?

中村さん:要は普段の業務で失敗した時にすることと大きくは変わらず、それを業務改善向けにアレンジしたものです。規模や業種も問わずに使えるものだと思います。

アフタートークの様子

藤原さん:相談件数が200件に達したとの話ですが、さばき切れていますでしょうか。

中村さん:ほんま大変です。ただ、職員の本気で変わりたいという思いを目の当たりにすると、自分たちも本気で応えないといけません。現在、DX人材も育成しているので、仲間が増え、徐々に輪が広がっていくのを期待しています。

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