第689回
750万円の水素SUV「NEXO」フルモデルチェンジ! EV時代にあえて燃料電池車を選ぶ理由はあるか?
2026年10月17日 18時00分更新
韓国の自動車メーカー・ヒョンデからリリースされているSUVタイプの燃料電池車「NEXO(ネッソ)」が4月にフルモデルチェンジ! 一充填走行距離は1014km(参考値)と、航続距離を大幅に伸ばしました。ようやく試乗する機会を得たので、電気自動車ともハイブリッド車とも違う、燃料電池車の走りをレポートします。
充填はわずか3分程度
でも水素ステーションは全国141ヵ所
燃料電池車とは、ガソリンの代わりに水素を充填し、その水素と空気中の酸素を反応させて電気を作り、その電力でモーターを回して走るクルマのこと。モーターで走るという点ではバッテリーを搭載する電気自動車(BEV)と同じですが、充電に何時間もかかることはなく、3分程度で水素を充填できるのがポイントです。
もちろん欠点もあります。それは水素ステーションが少ないこと。次世代自動車振興センターのウェブサイトによると、2026年7月1日時点でその数は全国で141ヵ所。ガソリンスタンドが約2万6500ヵ所といわれていますから、圧倒的に少ないことは言うまでもありません。高速道路の休憩施設で水素ステーションがあるのは、東名高速の足柄サービスエリア(下り線)のみという有様……。
さらに、その多くは24時間営業ではなく、日曜・祝日を定休日としているところも珍しくありません。場合によっては、遠出した先で水素を充填できずに途方に暮れる、ということも。
水素ステーションが少ないこともあってか、日本自動車販売協会連合会によると、2026年7月単月の燃料電池車の国内販売(登録)台数は、わずか34台。乗用車全体の0.01%にすぎません。それもあってか、国内で販売されている燃料電池車は、バスやトラックを除くと、トヨタの「MIRAI(ミライ)」と「クラウン(セダン)」、ホンダの「CR-V e:FCEV」、そして今回紹介するヒョンデの「NEXO」の4車種のみです。
水素価格を考えるとランニングコストは決して安くなく、そもそも水素ステーションの数も限られることから、個人的には燃料電池車は「企業や自治体の公用車」か「自宅近くに水素ステーションがあるアーリーアダプター」向けだと思っています。
トヨタがクラウン(セダン)にFCEVを用意したのも、自治体や会社役員をターゲットとする公用車需要という側面が大きいでしょう。「災害時に電気を取り出せる」「環境に優しい」というメリットが提示できますからね。
取り回しは普通のSUV
燃料代はガソリン車並み
NEXOのボディサイズは全長4750×全幅1865×全高1690mmと、一般的なミドルサイズSUVのサイズ感。ホイールベースは2790mm、最小回転半径は5.5mで、取り回しの面では普通のクルマと変わりません。見た目は同社の「IONIQ 5」や「KONA」といったEVと共通するデザインテイストで、どこか近未来的な印象を受けます。
車体には54Lの高圧水素タンクを3本搭載し、水素の充填容量は162L(重量換算で約6.69kg)。ENEOSの水素ステーションでの販売価格は1kgあたり2200円が相場なので、空の状態から満充填すると1万4718円かかる計算になります。これで1014km走れるということは、1kmあたりのコストは約14.5円。10km走れば145円ですから、燃料コストはリッター10km前後のガソリン車と同等といえそうです。
公用車目線でチェック!
広い荷室と車外コンセントが光る
公用車という視点でNEXOの車内を見ると、装備が不十分ということはありません。シートヒーターもあれば、シートリクライニングもある。ついでに言えば、助手席を前に倒す機能だってあります。ただし質感という点に限っては、750万円というプライスタグを考えると、もう少し高級感がほしいところです。
感動するのは荷室の広さ。通常時510L、後席格納時は最大1630Lの空間を確保しています。
ユニークなのは、車外にAC100Vのアウトレットを用意している点。変換アダプターを介して……とか、車内からケーブルをはわせて……といった野暮なことをする必要はありません。これはイイ!
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