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【決定版・日曜美術館50年展】大阪中之島美術館で見逃せない5つの至宝! 放送半世紀の歩みをたどる奇跡の美術体験

【特別インタビュー(1)】石内都と語る、被爆の記憶と「生きていた証」

石内都。写真左から『ひろしま#65』(2007年)、『ひろしま#37F』(2007年)、『ひろしま#88』(2010年)、『ひろしま#9』(2007年)、『ひろしま#41』(2007年)、『ひろしま#5』(2007年)、『ひろしま#36』(2007年)、『ひろしま#11』(2007年)。作家蔵

 第4章「災いと美」に出品されている『ひろしま #9』(2007年、作家蔵)をはじめとする「ひろしま」シリーズ。

 石内都は2007年、広島平和記念資料館に収蔵された被爆者の遺品——特に衣服——を静かに、しかし圧倒的な近さで撮影した。ただの「資料写真」ではなく、衣服に残るシワや染み、縫い目の痕跡を通して、そこに確かに生きていた身体の気配と記憶を鮮烈に写し出す。

 戦後70年以上を経て当事者が次第にいなくなっていくなか、当事者ではない私たちが歴史の傷跡とどう向き合うのかを、静謐でありながら力強いまなざしで問いかけてきた作品群だ。

 日曜美術館でも繰り返し取り上げられ、多くの視聴者の心に残ってきたこのシリーズが、番組50年の集大成となる本展の「災いと美」の章で改めて展示される意味は大きい。戦争や災害という抗えない歴史の傷跡に、アートはどう対峙し得るのか——その核心に触れる一作を前に、写真家・石内都氏に今回の展示の意味を聞いてみた。

玉置:今回、大阪会場のみということで、この「ひろしまシリーズ」が紹介されることになったわけですが、日曜美術館でももちろん何度も取材を受けられていますよね。こういう形で紹介されることについては、展覧会の中でもかなりインパクトのあるスペースだと正直思うんです。石内さん的には、今回この作品が選ばれて出展されることについて、どういうふうに思われていますか?

石内:いや、非常にありがたいですね。私は2007年に初めて広島に行って、そこで1年間通って撮ったものが2008年に広島市現代美術館で展示されたんです。それが日曜美術館の取材につながりました。

玉置:なるほど。

石内:だから、私が撮影した記録を全部NHKが撮ってくれたことはすごくありがたかった。番組になったことでアーカイブされたということもありますし、特にワイドの40分の大きな特集番組だったことも含めて、私がどうやって広島を撮ったかを伝える意味ではすごく貴重でした。

玉置:40分のコーナーだと、通常の紹介とは違いますよね。

石内:うん。私は広島に行くたびに取材を受けていたので、結構中身が濃くて。継続して撮ってくれていたみたいな感じでしたね。結果的に広島市現代美術館の展示のタイミングに合わせてくれたんだと思います。

玉置:そうですよね。テレビで記録するということの意味では、非常にありがたかったと。

石内:はい。そういう番組だったものが、この50周年展でこうやって紹介されるというのも、意味があると思います。美術が好きだけど近所に大きな美術館がない、という人は本当にいっぱいいますし。50年続いて内容もどんどん変わってきているとはいえ、やっぱり希有な番組かなと。

玉置:今回50年ということで、「災いと美」のコーナーがあり、また最後の章もあるわけですが、展覧会全体をご覧になって、どんな感想をお持ちですか?

石内:一種の「日本の美」みたいなことも含めて、日本人が何を作ってきたか、ということも見えてきますよね。『ゲルニカ』とかもありますし、別に日本人だけじゃないですけど。一つの時代と美術の関係性が詰まっているのがわかります。やっぱりテレビというメディアを通しているのが、通常の展覧会とは少し違いますよね。だから今回もありがたいなと思いますよ。だって全員が出ているわけじゃないですから。

玉置:本当にそうですね。広島というテーマも含めて選ばれているのかな、と。

石内:ちゃんと意味があると思います。伝えることの中身は何か、ということが大切ですよね。

 特に広島は、被爆した人たちがほとんどいなくなっていく中で、これから広島をどうするかを、当事者じゃない人たちが考えていかなきゃいけない。私も当事者ではないわけですから。当事者じゃない私が広島と出会って、こういう形で作品を作って、来年パリでも個展があるんですけども、写真をなるべくいろいろな人に見せたい、映像も見ていただきたいという思いがあります。

作品を背景に石内都氏

⚫︎広島平和記念資料館に収蔵された被爆者の遺品(衣服など)を撮影し、単なる「資料」ではなく生きていた身体のポートレートとして鮮烈に写し出した石内都。時を超えて衣服が纏う気配と記憶を写し取るそのレンズは、アートが歴史や災いとどう向き合うべきかを静かに、そして力強く私たちに問いかけている。同章ではパブロ・ピカソの傑作『ゲルニカ』を高精細映像でも紹介する。

 
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