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NVIDIA独自コア「Olympus」の真価 Vera CPUが見せたIPC全振りの重厚構造とメモリー帯域依存

2026年10月12日 12時00分更新

重厚コアゆえの周波数上限と次世代EPYC・Diamond Rapidsに対する競合優位性の疑問

 下の画像がVera CPUのスペックであり、消費電力は「1個あたり」250~450Wと決して少なくはない。

Vera CPUのスペック。ほとんどの情報はすでに公開済である。Fabricの帯域は今回初公表だ

 ArmのAGI CPUの場合、リファレンスサーバーの仕様を読むとTDP 300Wと明記されており、これに比べても少し多い。コア数が88個という事を考えればなおさらである。

 消費電力に関してはおもしろい数字が示されており、コアの数や動作周波数と消費電力の関係が下の画像に示されているが、Vera CPUは8コア動作の場合でも動作周波数は3.3MHzどまりで、それでいて120W程度の消費電力である。

88コア同士で比較した場合、Veraは動作周波数が低いわりに消費電力がそんなに変わらないことになっている。450W前後で収まっているからマシ、という見方もできなくはない

 この動作周波数がポイントで、コア数を増やすと88コアでは3.1~3.2GHz程度まで落ちるが、逆に言えばコア数が減ってもさっぱり上がらない。

 製造プロセスがTSMCの3nm(3NなのかN3なのかN3Pなのかは示されていない)というのはAGI CPU(TSMC N3P)と変わらないのだが、AGI CPUはブーストで3.5GHz/3.7GHzまで引きあがることを考えると、動作周波数が低めに抑えられていることがわかる。

 「低めに抑えられている」というより「これ以上上がらない」のではないか? というのが筆者の推測だ。理由は重厚すぎるコアの構造である。

 先にも述べたがROBが1K Unit以上なのでIn-Flightできる命令も500を超えるだろう。ということはRegister Fileも500以上用意されていても不思議ではない。Register File周りはCritical Path(CPUの中で一番高速に動かなくてはいけない経路)扱いになるが、これだけの規模のRegister Fileを設けるとなると、当然そこの配線がボトルネックになりかねない。

 IPCを引き上げるために重厚なコアにし過ぎてしまい、動作周波数が上がらないわりに消費電力が大きくなってしまった。しかも重厚にしたことでコアのサイズも肥大化し、結果的にコアを大量に集積できず、これを補うためにSpatial Multithreadingを実装した、という流れになっているように筆者には感じられる。

 それでも性能は競合を上回っているというのがNVIDIAの主張で、こういう結果になることは理解できるが、それはなぜかというとメモリー帯域が違いすぎるためだ。

Veraの性能。ちなみにTraditional CPUとはEPYC 9755のことだそうだ

 Veraは8chのSOCAMM2を実装し、メモリー帯域は1.2TB/秒に達する。一方で対抗製品であるEPYC 9755はDDR5-6400×12chなので614.4GB/秒にすぎない。メモリー帯域が倍違えば、アプリケーション性能がこの程度違うのも納得である。

 ただAGI CPUはDDR5-8800をサポートして845GB/秒の帯域だし、Zen 6 EPYCはSKUによって違うが、たとえばEPYC 9006 SP7ではMRDIMM-12800×16chで1.6TB/秒の帯域になることを考えると、Zen 5世代はともかくZen 6世代と競合するのはいろいろ厳しそうだ。

 Diamond Rapidsもまだ詳細が公開されていないが、おそらくEPYC 9006 SP7と同様にMRDIMM-12800×16chになるだろう。現行世代の競合製品にはアドバンテージがあるが、本当に競合する次世代製品と比較して優位性がどこまであるのか? というと結構疑問である。

 内部構造をIPC向上に振り過ぎてバランスを崩した構成になっており、それをSOCAMM2の帯域の大きさでごまかしている、という印象が否めない。次世代ではもう少しバランスを取る方向にシフトすることを期待したいところだ。

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