ChatGPTが「業務委託先」に? 仕事を丸投げできるAIが続々登場
2026年09月30日 10時45分更新
OpenAIが9月29日、AIエージェント「dots」を発表した。ユーザーに代わって継続的に仕事を進めるツールで、GPT-6 Astraを基盤とする。現在、対象地域のChatGPT ProとBusiness Premiumで順次提供されており、Enterprise、Edu、Healthcareでは管理者が有効化することでベータ版を利用できる。
AIエージェントとしては、Metaの「Muse」、xAIの「Grok Bot」が先行している。3社のエージェントに共通するのは、ユーザーが離席した後も仕事を続けられる常駐型のAIエージェントであることだ。
メールを読む、Webアプリを操作する、定期的に情報を収集する……といった仕事を継続的にまかせられる。AIにチャットで仕事を依頼するだけではなく、担当業務を持たせ、継続的に働かせる方向だ。
3者の違いはどこにあるのか。公式仕様を中心に簡単にまとめてみよう。
個人向けのアシスタント、Meta「Muse」
まずMetaのMuseは、3サービスの中では比較的個人向けの“アシスタント”色が強いサービスだ。
ユーザーごとに「Muse Secure VM」と呼ばれる専用の仮想マシンが用意され、ブラウザを使ったWeb操作ができる。メールやカレンダーなどとも接続でき、予約、フォーム入力、カスタマーサービスとのやり取り、買い物なども任せられる。
外部サービスの認証情報はMuseから読み取れない安全なストレージに保存され、買い物ではワンタイムカード番号を生成する仕組みも備える。メール送信や購入など重要な操作については、ユーザーに承認を求める仕組みも用意されている。
ただ一方で、MuseにFacebook Marketplaceでの販売対応を任せたユーザーが、知らないうちにMuseに値下げ交渉や住所の共有、商品の受け渡しまで進められ、実際に購入希望者が自宅を訪れるというトラブルも報告されている。AIエージェントに強い権限を与えることのリスクが早くも浮き彫りになった形だ。
料金としては3者の中で唯一無料枠があり、利用上限に達すると有料プランを利用できる。有料枠は月額20ドルと100ドルとなっている。
AIチームを作れる「Grok Bot」
次にxAIのGrok Botは、複数のAIエージェントにチームメイトのように異なる役割を与えられるのが特徴だ。
たとえば「市場調査Bot」「企画立案Bot」のように担当を分けて並列で働かせ、それぞれに役割や会話履歴、記憶を持たせることができる。各Botはユーザーに割り当てられた永続的なクラウドPCを共有し、ブラウザ、ファイルシステム、ターミナルなどを利用する。
一度作業を見せて手順を覚えさせたり、決まったスケジュールで仕事を繰り返す「Routines(ルーチン)」機能も利用できる。複数のBotを同じスレッドに入れ、仕事を受け渡させることも可能だ。
Grok Botは、CursorやSuperGrokの対象有料プランに利用枠が含まれる。CursorではProが月額20ドル、Pro+が60ドル、Ultraが200ドル。SuperGrok系ではGrok Bot対応プランが月額30ドルから用意され、上位のHeavyは月額300ドルとなる。利用枠を超えた分は追加料金で利用できる。
常駐型ChatGPT、OpenAI「dots」
そしてOpenAIの「dots」は、ChatGPTに継続的な担当業務を持たせるようなエージェントだ。
dotごとに専用のクラウドPCとブラウザが与えられ、ユーザーが会話を終えた後も仕事を続けられる。4000本以上のアプリに接続でき、複数の仕事を並行して進めることも可能だ。
ChatGPTだけでなくSlackやMicrosoft Teamsからdotとやり取りできるほか、ユーザーが許可すれば自分のPCにも接続できる。バックグラウンドで自発的に情報を調べる「proactive research」では、接続アプリを読み取り専用で利用し、メッセージ送信やデータ変更などはしない設計になっている。
料金はdots単体ではなく、対象となるChatGPTプランに含まれる。個人向けのProは月額100ドルと200ドル。Business Premiumは年払いで1人あたり月額100ドル、月払いで125ドル。Enterpriseは個別契約だ。最初の1体はProまたはBusiness Premiumの料金に含まれる。
3サービスの違いを大まかに表現するなら、Museは個人の代理人、Grok BotはAIチーム、dotsは担当業務を抱えたChatGPT……といったところだろうか。
| Meta Muse | xAI Grok Bot | OpenAI dots | |
|---|---|---|---|
| 基本思想 | 個人の代理人 | AIチーム | 常駐型ChatGPT |
| バックグラウンド実行 | ○ | ○ | ○ |
| クラウドPC | ○ | ○ | ○ |
| Web操作 | ○ | ○ | ○ |
| 継続・定期作業 | ○ | ○ | ○ |
| 複数エージェント | 基本1体 | 複数Botを並列利用 | 現在は基本1体 |
| ローカルPC操作 | 基本クラウド | 基本クラウド | ○ |
| 個人向け料金 | 無料~月額100ドル | 月額20~300ドル | 月額100~200ドル |
AIエージェント競争が本格化
3者の常駐型AIエージェントが出そろい、AIはいよいよ話し相手から“仕事相手”に近づいてきた。基本的には有料プランの利用が前提となるが、一度担当を与えれば、ユーザーがPCの前にいない時間にも仕事を進めてくれるという変化は大きい。
一方、MuseのMarketplaceでのトラブルでもわかるように、メール送信や買い物、外部サービスの操作までAIに任せるようになると、「どこまでAIに権限を与えるのか」という問題も避けられない。各社が承認機能や権限の管理に力を入れているのも、常駐エージェントならではの事情だ。
今後、同様の仕組みをオープンウェイトのモデルで構築する「OpenClaw」型のツールや、料金面で3者に対抗するサービスが台頭しても不思議ではない。モデルの性能を競うだけでなく、「どれだけ長く、どれだけ多くの仕事をAIに任せられるか」を競うエージェント競争が本格化してきたといえそうだ。
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