第895回
IBM ZがArmを取り込む衝撃! 次世代メインフレーム「z18(仮)」のネイティブDual-ISA戦略の狙い
2026年09月28日 12時00分更新
HBM4e対応の第2世代AIアクセラレータとArm採用に隠されたIBMの狙い
最後に、第2世代のAIアクセラレーターについて。こちらも名称が不明なままなので、とりあえず"Spyre II(仮)"としておくが、その構造が下の画像である。
中央の緑色がAIコアで、16コア+冗長コア×1の構成。FP4/MXFP4のサポートで、従来(おそらくSpyre)比4倍の処理性能とされる。青色がHBM4のI/Fで、トータル4スタックのHBM4eを搭載する模様だ。右上の赤い部分がPCIe Gen6のI/Fとなっている。なおCXLへの対応については特に言及がなかった。
IBMはHot Chipsでの発表と同時にリリースも出したが、こちらでも登場時期は公開されていない。それもあってあまり細かい情報は今回も出てこなかった。
例えばTelum IIのI/Oは連載816回で説明したが、z18(仮)ではどうなるかは不明である。また今回Spyre II(仮)の簡単な紹介はなされたが、z18(仮)のAIアクセラレーターの内部はこのSpyre II(仮)と同じ仕組みなのかどうかも不明なままである。
それよりも最大の疑問は「なぜArmアーキテクチャーを?」ということだろうと思うし、実際筆者もそう思う。質疑応答では以下のやり取りがあった。
Q:IBMが世界最高周波数のArmコアを開発したように見えるのは驚きだが、なぜ?
A:これが我々にとって最適なソリューションだったからだ。数世代にわたって非常に高速なコアを開発してきたが、そのコアにArmを追加した形だ。
Q:なぜArmを採用したのか? あるいはArm ISAの追加を決める前に、他の選択肢も検討したのか?
A:エコシステムの拡大という観点で、Armは間違いなく最大級のエコシステムの1つを持っており、非常に幅広い用途に適した使用事例を網羅している。また、パートナーシップやコラボレーションの面でも、彼らは卓越した実績を上げている。なので私(発表者であるDistinguished EngineerのChristian Zoellin氏)の観点からすると、Armはこの取り組みにとって完璧なパートナーである。
以下は筆者の推察だが、要するにIBM Zのエコシステムがすでに縮小傾向にあり、このままだとビジネスとして成立が難しくなりつつあることが予想されている。そこでArmを取り込んで長期的にはArmベースに移行することも念頭に入れているのではないか? というあたりだろうか。
x86も選択肢の1つにはあっただろうが、こちらは互換チップを作ることが難しい(ライセンス的にはできないわけではない気もするが)。Armの方が現実的と判断するのは妥当だろう。なかなか興味深い内容であった。
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