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その中から、今回は長谷川町子センセイの『サザエさん』をご紹介。
全巻そろえなくても大丈夫。おすすめの読み方教えます
長谷川町子センセイの『サザエさん』は、作者一家が「姉妹社」という出版社まで作って単行本を出した漫画です。ところが最初に刊行した第1巻はB5判の横綴じという変わった形で、書店の棚に並べにくかったことから返品の山。そこで第2巻から一般的なB6判に変更したところ、評判になって大ヒットしたそうです。
そんな少々不遇だった第1巻ですが、今読むなら、この序盤巻こそ面白いと断言できます。連載が始まったのは終戦翌年の1946年。サザエはまだ独身で、舞台も福岡から始まります。配給や物不足など戦後の暮らしが普通にギャグの中へ入り込み、着物やもんぺ姿の人もいる。現在のアニメで見る磯野家とはかなり違いますが、そのぶん「終戦直後の日本でサザエさんが暮らしている」という妙な生々しさがあります。現在の復刻版には新聞掲載日と注釈も付いているので、漫画を読みながら当時の生活史まで分かるという、なかなか贅沢な第1巻です。
第2巻へ進むと、サザエはすでにマスオと結婚し、タラちゃんも登場します。面白いのは、現在では当たり前になっている「サザエ、マスオ、タラちゃん」というフグ田家が、最初から用意されていたわけではないこと。新聞連載はいったんサザエの花嫁姿で終了し、再開すると結婚後のサザエになっているため、マスオとの馴れ初めや結婚式は本編の4コマではほとんど飛ばされています。後年、短編漫画「公開見合結婚」でそのあたりが改めて描かれました。
さらに序盤を読み進めると、アニメでおなじみのサザエさん一家が、少しずつ出来上がっていく過程も楽しめます。タラちゃんはまだ赤ん坊で、カツオとワカメが自分たちを「おじちゃん」「おばちゃん」と呼ぶ時期もあったりします。昭和20年代後半になっても配給や停電、戦災孤児などがギャグの中に普通に登場し、第4巻あたりでもまだ戦後の空気はかなり濃厚。
30巻、40巻あたりまで進むと時代は昭和30年代へ入り、町の風景や服装、家庭生活もずいぶん変わってきます。ちなみに40巻の収録時期は1963年。サザエの洋装も増え、家庭電化や高度経済成長期の世相が漫画に入り込み、現在私たちが思い浮かべる『サザエさん』にだんだん近づいてきます。
アニメの『サザエさん』は、登場人物が歳を取らず、いつもの磯野家でいつもの日曜日が続いていく作品ですが、原作を第1巻から読むと、独身だったサザエが結婚し、家族が増え、戦後の物不足から高度経済成長へと町の暮らしまで変わっていく様子がちゃんと描かれています。
全68巻はさすがに長いですが、とりあえず序盤だけ読んでみるのはおすすめです。国民的日常漫画というより、戦後の日本の一般的な家庭の暮らし(とはいえ、磯野家は割とお金持ちの部類だったと思います)を、サザエさん一家をモチーフに眺めているようで、これが意外と面白いんですよ。
1巻あたり110ページほどで、1ページ1本の4コマが載ってます
サザエさん
長谷川町子 (著)
全63巻(完結)
330円 +ポイント還元 9,385 pt (50%)
※価格・還元ポイントは記事掲出のものです。購入時には必ず現在価格と還元ポイントをお確かめください。
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