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Hot Chipsで明かされた「Wildcat Lake」の全貌 Foverosを捨てMCPを選んだインテルの舞台裏

2026年09月07日 12時00分更新

 Hot Chips解説の第2弾はインテルのWildcat Lakeである。Wildcat Lakeは今年4月に正式に発表され、8月に入ってからは搭載マシンのレビュー(その1その2)も掲載されるなど、本格的に流通が進んでいるプロセッサーである。

 製品の位置付けもジサトライッペイ氏の記事にあるように、Core Ultra Series 3の下(だが、Intel Processorよりは上)であり、メインストリームの廉価モデル~バリューの高価格モデルあたりを狙ったと考えるのが妥当だろう。

Foverosを捨てMCPを採用したパッケージ構成とプロセスの選定

 さて、そんなCore Series 3の特徴がこちら。絶対性能重視ではなく、性能を確保しつつ消費電力を下げることに振った感がある。もっとも絶対性能そのものが下がっていることは否めず、例えばAI性能が2.7倍の40TOPSはCPU/GPU/NPU全部を足しての数字なので、どこまで意味があるのか? と言われるとやや疑問ではある。

Core Series 3の特徴。ちなみに比較対象はRaptor Lake U RefreshベースのCore 7 150Uだそうだ

 興味深いのがパッケージ構成。Panther LakeではFoverosを利用してベースダイの上に複数のタイルが搭載される形を取っていた。Meteor Lake以降のプロセッサーで採用されている構成だ。ただこれは当然高コストになる。そもそもベースダイが必要だし、Foveros構成の歩留まりも100%ではないからだ。

左はPanther Lakeを含むMeteor Lake以降のプロセッサー構造。しかし図らずしもFoverosの構成は多少の歩留まり低下と価格高騰に繋がる事をIntel自身が公式に表明したことになる

 そこでモノリシック(全部を1ダイ)にするか、以前のインテルのモバイル向けのように、CPUダイとI/OダイをMCP(Multi-Chip Package)の形で実装するかの二択になる。そして今回はMCPを利用することにしたという話だ。

 質疑応答でなぜモノリシックにしなかったのか? に対する回答で「正確な数値は明かせないが、MCPにすることでD2D PHYの面積増加があっても、コスト面では有利な結果となった。モノリシックな設計も検討した。この場合D2D PHYは不要になるが、ダイ面積が大きくなり、これは歩留まり低下につながる。またプロセススケーリングに不向きなI/Oバッファをより高コストなプロセスノードに移行させることになる。要するにさまざまな要因が絡んでおり、このプロジェクトにおいては(MCPにすることが)正しい判断だった」という返答であった。

 次がプロセスの選択である。Wildcat Lakeの製造にあたってはIntel 3とIntel 18A、それとTSMC N6の3つが選択肢に入っていたとする。より高速な、例えばTSMC N5/N4/N3/N2などは価格および生産量の観点から不適当と判断したのだろう。

プロセスがIntel i3になっているのはIntel 3のタイプミスである

 それはともかく、CPU&GPUタイルはIntel 18Aでほぼ決まりとなった。これはPコアはPanther Lakeと同じCougar Coveで構築されており、これはIntel 18Aでの実装だったから、これを再利用しようとするとIntel 3やTSMC N6は不適当だ。

 一方でPlatform Controller Tile、つまり従来SCHなどの名称で提供されてきた部分は、Intel 3やIntel 18Aでは不適当(無駄にダイサイズが大型化して高コスト)であり、TSMC N6に任せるのが無難という判断である。

 したがって、全体的には低コスト向けに手堅く構成されたのがWildcat Lakeだが、唯一冒険をしたのがUCIeである。

 上の画像でUCIeへの対応が項目に入っていたが、Wildcat LakeではCPU&GPU TileとPlatform Controller Tileの間をUCIeで接続することになった。昔、つまりMeteor Lakeの前はDMIベースとなるOPIO(On Package IO)が使われていたが、このあたりは一度Foverosベースになったことで方式が変わったと聞いている。

 今回それをFoverosなしで利用するにあたり、I/FとしてUCIe Standardを利用するように変更された。ただUCIeを製品に採用するのはインテルとしても初めてということで、いろいろ気を使ったらしい。

Wildcat Lakeはとにかく低コストで、というのが最大の動機だった模様。唯一冒険をしたのがUCIeである

 UCIeの信号転送速度は8Gbpsに抑えられている。UCIe Standardの場合、帯域はx8ないしx16で信号転送速度は4/8/12/16/24/32Gbpsが選べるが、あえて8Gbpsに抑えている。

 この理由について質疑応答では「データ転送速度を速くして、UCIeの幅を狭くすることは検討したが、8GT/sを超えると、許容範囲を超えてビット誤り率が増加してしまう。これはリトライやFECなどの技術で対処可能だが、これにより複雑さや面積の増大、およびスケジュール上のリスクが増大する。今回はUCIeの初採用であったため、非標準のx8リンクなどと比べて多少面積が増加するとしても、安全策を講じた」と説明されている。

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