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「こだわりポータル」「捨てる勇気」でツール乱立を解消した“kintone定着の道のり”

「ツールは入れて終わりじゃない」 香川の建設コンサルが利用率1割だったkintoneを全社基盤に育てるまで

アプリの整理は「人の不安を解消する作業」

 そして最後の取り組みは、「既存アプリのkintone移行」だ。サイボウズ Officeで作成していた133個のカスタムアプリを、何とかしてkintoneに移行する必要があった。

 まずは、品質マネジメントシステム(QMS)に関連するアプリから着手。QMSの仕組みの一部として設計や測量に必要なアプリが組み込まれていたものの、使い勝手や運用面で課題があったという。そこで、アプリをそのまま焼き直すのではなく、一から見直すことを決めた。

QMSの中に多くのカスタムアプリが組み込まれていた

「当然、QMSの仕組みそのものや規定の改定にまで踏み込む可能性がありました。これを聞いて皆さん『ええー、大変そう…』と思われてるでしょう。当時の私も同じ気持ちでしたが、うまく回っていない仕組みをそのまま移行したくなかったのです」(小野さん)

 そして、小野さんの「いいきっかけじゃないですか」「私も全力で手伝うので一緒にやりませんか」といった粘り強い呼びかけにより、アプリ刷新プロジェクトが始動。さまざまな関係者で議論を重ね、無事、理想の形でkintoneに移行できたという。

 この経験を得て小野さんが得られた学びは「kintoneは魔法の杖じゃない」ということだ。「整理されていない業務の上にツールを入れても何も改善されません。業務の本質を理解し、運用を再設計した上でツールを導入すること。それが何よりも重要だと痛感しました」(小野さん)

kintoneは魔法の杖じゃない

 QMS以外のアプリの移行は、泥臭くもシンプルだった。アプリをリストアップして、使っていそうな人や部署に片っ端からヒアリングして回るの繰り返しである。ただ、「私は使ってないけど、誰かが必要としているかも…」という反応に苦労したという。結局、QMS関連の移行に1年9か月、それ以外のアプリの移行に1年3か月要したが、後者の時間の多くは「このアプリもう要りません」の一言を引き出すために費やされた。

 結果、アプリを全体の3分の1まで減らすことができ、「アプリの整理は、人の不安を解消する作業だった」と小野さんは振り返る。二度と同じ苦労をしないよう、今では月に一度のアプリの棚卸しを欠かさず実践しているという。

誰が使っているか分からない謎アプリの整理に時間を要した

「kintoneは入れて終わりじゃない」 どう定着させ・育てるか

 こうした地道な取り組みの結果、ようやくサイボウズ Officeからの脱却の目途が立った。折しも、基幹システムをkintoneに置き換えてから5年。当時、基幹システムの利用者だけだったkintoneユーザーも、全社員にまで広がった。毎日kintoneを開く社員の割合も97%に達し、今では朝の仕事の起点になっているという。

 kintoneアプリの数も増えた。当初は開発を外部委託しており、5年前の自社開発アプリの数はわずか8%だった。今では、382個あるアプリの内、6割以上を社員自らが手掛けるまでに内製化が進んでいる。

 小野さんは、「kintoneって入れて終わりじゃないんです。どう社内に定着させて、どう育てていくかが、何より大切だと感じています。私たちの導入後のリアルが皆さんの参考になれば幸いです」と締めくくった。

 セッション終了後には、サイボウズ松山オフィスの村上優さんとのアフタートークが繰り広げられた。

村上さん:まさにkintoneを入れてからの話でした。本日の発表で語り切れないくらい大変だったかと思います。

アフタートークの様子

小野さん:プレゼンで触れなかったのは、カスタムアプリの移行ですね。私だけはもちろんできないので、かなりの量があった総務関連のアプリ作成を現場の皆さんに任せています。今後のことを考えるとアプリを作れるようになってもらったのはプラスでしたが、そこに至るまではなかなか大変でした。

村上さん:アプリを作ってもらう際に工夫されたことはありますか。

小野さん:「kintoneって何ができるの?」という状態からスタートでしたので、隣で付きっきりで、実際操作して見せながら地道にサポートしました。今では総務では4人、各部署でも1名はアプリ作成者が生まれています。

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