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「こだわりポータル」「捨てる勇気」でツール乱立を解消した“kintone定着の道のり”

「ツールは入れて終わりじゃない」 香川の建設コンサルが利用率1割だったkintoneを全社基盤に育てるまで

五星 IT推進室 室長 小野奈緒美さん

 「kintoneって入れて終わりじゃないんです」 ―― と語るのは、五星の小野奈緒美さんだ。同社が基幹システムをkintoneにリプレースしたのは5年前。その後、「サイボウズ Office(パッケージ版)」のサポート終了を機に、社内で乱立していたツールをkintoneとLINE WORKSへと集約。かつては社内の12%しか使っていなかったkintoneは、今や97%の社員が毎日アクセスするほどまで定着している。

 サイボウズは、kintoneユーザーの事例イベントである「kintone hive 2026 matsuyama」を開催。3番手に登壇した五星の小野さんが語ったのは、kintone導入後に取り組んだツール集約のストーリーだ。実践的な工夫の数々に思わず来場者の深い頷きを誘った。

「宝の持ち腐れ」だったkintoneを含むツール群

 五星は、香川県三豊市に本社を構える、測量・設計業を基盤とした総合建設コンサルタント会社だ。社員数は約170名で、20代から70代まで幅広い世代の社員が活躍している。

 同社のIT推進室を率いる小野さんが語ったのは、「kintoneを導入したその後」の話だ。「『導入しました!』『社内の課題を解決しました!』というストーリーをよく目にします。しかし、それでめでたしめでたし、とはならないのが現実です」と小野さんは切り出した。

 実際に五星が古い基幹システムの置き換えとしてkintoneを導入したのが2019年のこと。小野さんが入社した当時は導入2年目で、ちょうど本番運用が始まったタイミングだった。ただ、あくまで基幹システムを扱う社員のためのものであり、日々利用するのは20名ほどにとどまっていたという。

「脱基幹システムというゴールは果たせていたため、使うのが一部の社員だけでも問題ありませんでした。ただ、他の課題が置き去りのままだったのです」(小野さん)

いにしえの基幹システムからの脱却を果たした5年前

 その問題とは「ツールの乱立」である。社員によって使うツールがバラバラなため、どこに最新の情報があるか分からない。総務関係の申請も紙と電子が入り乱れ、一度手元を離れると進捗が追えない状態だった。

 このような課題を抱えていた中で、同社に激震が走る。25年間活用してきたグループウェア「サイボウズ Office」パッケージ版が2027年9月30日にサポート終了を迎えることが発表されたのだ。

「様々なツールが社内にあるのに、どれもこれも課題解決につながっておらず、宝の持ち腐れでした。一つひとつ解決しようにも、いつ終わるか分かりません。だからこそ、サポート終了を機に、すべての課題を一気に潰すことを決意しました」(小野さん)

課題の解決につながらなかったツールたち

 小野さんが描いたのは、「記録を残すのはkintone」「連絡手段はLINE WORKS」という使い分けで、社員全員が両ツールを活用する姿だ。その実現のため、情報やツールの入り口として運用していた社内ポータルをkintoneに置き換えつつ、サイボウズ Officeで利用していた各種機能を両ツールに振り分ける移行プロジェクトをスタートした。

乱立していたツールをkintoneとLINE WORKS

「見た目も使い方も変わらない」と言うためのこだわり

 ここからは、描いた未来を実現するために小野さんらが講じた、3つの取り組みを紹介する。

 1つ目は、社員に毎日「kintoneを触ってもらう」ための仕掛けづくりだ。「既に社員ポータルで、様々な情報やアプリにアクセスするという習慣は定着していたのですが、何せkintoneを触ったことがない社員がほとんど。毎朝kintoneを立ち上げてもらうことが、最初のハードルでした」(小野さん)

 そこで、パソコンの起動時に、自動でkintoneのポータルが立ち上がる仕組みを導入。すべての社員が意識せずとも、毎朝必ずkintoneとLINE WORKSが視界に入る状態を強制的に作り上げた。

始業とあわせてkintoneとLINE WORKSが目に飛び込んでくる仕組み

 2つ目の取り組みは、「変化への抵抗をなくすこと」だ。kintoneによるポータルを、サイボウズ OfficeのUIにできる限り近づけ、各機能も再現した。具体的には、スケジュールにはアーセスのプラグイン「KOYOMI」を採用し、社内メッセージと掲示板はアールスリーインスティテュートの「gusuku Customine」で作り込み、その他のアプリはkintoneの標準機能を利用している。

 小野さんは、「スケジュールプラグインをKOYOMIに決めたのもサイボウズ Officeと見た目が似ていたからです。それだけって思われた方、それが大事だったのです。些細な変化で抵抗感を抱く社員が多い中で、『見た目も使い方もあまり変わりませんよ』と言えることはすごく大きかった」と力説する。

サイボウズ OfficeとKOYOMIのUI比較

 ただ、ポータルページのUIには頭を悩ませた。前述のように社員の年齢層が広いため、人によって見やすさ・使いやすさの基準が大きく異なるからだ。長年利用してきたサイボウズ Officeから生半可なものに切り替えれば、大混乱が巻き起こることは免れない。当時いくつかあったポータルを作り込む手段では、明るい未来が見えなかったという。

 模索を続けた小野さんがたどり着いたのは、ロジカルスタジオの「こだわり kintone プラグイン」だった。実際のUIでは、同プラグインで上から「掲示板」「スケジュール」「社内メッセージ」を組み込み、その下の「未処理・通知」にもスクロールしなくとも移動できるよう「ジャンプボタン」を配置する工夫も凝らした。

こだわり kintone プラグインで作り込んだポータルの新UI

スクロールの量を減らすジャンプボタンの工夫

 ポータル上部に配置した各アプリを別窓で開くためのボタンを配置し、アイコンを添えることで直感的に判別できるデザインを採用。左に配置したメニューバーは、外部サイトやkintoneアプリ、各部署のkintoneスペースへのリンク集となっており、クリックすることで右側の表示画面を切り替えられる。ポータル下部では、アプリを開くことなく各申請の進捗を把握できる仕組みも採用した。

文字が小さくてもアイコンで何のアプリか分かる工夫

「こだわり kintone プラグインに出会ったことで、すべてサイボウズ Officeからkintoneに移行できると確信できました。当時頭を抱えていた私にとって『神プラグイン』でした」(小野さん)

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