ANCを強化し、空間オーディオやバッテリー交換にも対応
美しい中高域はさすが、「最上の音」を更新したゼンハイザーのフラッグシップ「MOMENTUM True Wireless 5」発表
2026年08月20日 20時10分更新
Dolby Atmosとヘッドトラッキングに対応
空間オーディオ再生能力を強化
MOMENTUMシリーズのTWSとしては初めてDolby Atmos再生に対応したのも特徴。ヘッドトラッキングにも対応している。
専用アプリの「SmartControl Plus」を活用して、自分の好みの音にカスタマイズできる機能を持つのにも注目、これは従来機種と同様ではあるが、MP3や立体音響のMPEG-Hなどで知られるフラウンホーファーと共同開発しており、「いちいちガチ」な機能になっていると製品担当者も自信を示す。
装着感と遮音性がアップ、8つのマイクで高いANC性能
装着感や着け心地、遮音性についても改善しており、同社が実施したユーザーアンケートでは73%が「快適性が上がった」と回答。
ここはハウジングデザインを一新した効果が出ているポイントでもあり、フィット感と快適な装着感、耳への負担軽減を考えた結果が反映されている。イヤーチップも新設計し、軸の部分が硬く遮音性が高いものを同梱しているという。
アクティブ・ノイズキャンセリング(ANC)性能が上がった点も注目のポイントだ。本体には左右合計で8基のマイクを搭載(従来は6基)し、このマイクをフル活用することで、フィードフォワード/フィードバック式のハイブリッド型ノイズキャンセリング、環境音に合わせて最適なノイズ低減を行うAdaptive ANCといった高度なANC機能を実現している。
また、屋外の使用で不快な「風切りノイズ」を低減するために、マイクプレートとチャンバーを最適化している。従来はアプリでオン/オフの設定が必要だったが、自動調節可能な「アダプティブ風切り音防止」機能も利用できる。低ノイズマイクを搭載し、ホワイトノイズの量が減った、自然で遅延のない「外音取り込み」が利用できる点もアピールされている。
通話時には、片側2つのマイクのうち、2つがビームフォーミングマイクとして機能する。普通のイヤホンではここまでだが、本機ではユーザーの声を的確に検知するために、ノズル部分に搭載したマイクと骨伝導マイクも併用する。
口の近くで鳴っている音や頭部から伝ってくる振動も検知することで、捉えている音のうち、どれが装着している人自身の声なのか、そうでない外部のノイズはどれかを区別できるわけだ。こうして得た信号は、AIの音声分離技術を適用して「ユーザーの声」だけが切り離され、聞き取りやすい声が届けられる仕組みになっている。
連続生成時間が最大40時間に、電池交換にも対応して長く使える
本体重量は約62g(イヤホン2個とケース)。バッテリー駆動時間は本体のみで10時間以上、ケース充電併用で最大40時間(ANCオフ)。8分で最大1時間の急速充電にも対応する。従来機種は7.5時間/30時間というスペックだったので、最大で10時間の延長を果たしたことになる。ケースはUSB-Cに加えて、Qiワイヤレス充電にも対応する。
また、部品(専用の交換バッテリー)を取り寄せれば、ユーザー自身の手で電池交換できるのも長く使うための配慮だ。ネジを外した状態で専用の工具を使うと内部にアクセスでき、劣化したバッテリーを新しいものに交換できる。ユーザー自身で交換できるバッテリーの搭載はEUの規制に合わせ、業界でも先駆けて対応したもので、サステナブルで長く使える製品を作る姿勢が現れている。
ゼンハイザーらしい音がさらに進化
音については、もともと優れていたが、そんな従来機種と比べてもさらに聴きやすくなった印象だ。USBドングルの「BTD 700」を活用して、aptX AdaptiveでApple Musicのハイレゾ・ロスレス音源を再生した音はかなり印象的だった。
不思議なもので、ゼンハイザーのオーディオ機器を使うと、ただ音楽が明瞭に聞こえるだけでなく、頭がクリアになり、知覚そのものが鋭敏になったような感覚を味わえる。ぼんやりと鳴っていた音の塊が、くっきりと明瞭な輪郭を描く点には大きな刺激があって、より細かく、より深く音の世界を探っていきたいという気持ちを昂らせてくれる。
試聴では日本と海外のポップスを中心に聞いてみた。ReoNaの「Amore」では、透明感のあるボーカルが魅力でありつつ、低域を深く強く出すバランスのため、低域は出たほうがいいが、その質が悪いと声やストリングス、装飾音的なフレーズがかぶって聞きにくくなってしまったり、リズム帯とその上に乗る音が分断するなど、全体のバランス感が悪くなってしまったりする。
こういったデメリットは感じず、深くキレのいい低域と、明瞭に響くボーカルや楽器の音を感じることができた。
ちなみに、この楽曲はDolby Atmos版とハイレゾ・ロスレス版の両方が用意されており、両方を聞いてみたが、ハイレゾ・ロスレス版は空間表現の意味では、ボーカルが近くやや平板な印象もある中、Dolby Atmos版は広がりのある空間の中に、中心に配置されたボーカルと楽器の配置などが適度な距離感で聞こえて、より全体像を把握しやすい印象であった。
オリヴィア・ロドリゴのアルバム「you seem pretty sad for a girl so in love」から8トラック目の「the cure」。この曲は、アコースティックギターの伴奏の上でウィスパー調の女性ボーカルが歌う楽曲で、ギターの固く細かいパッセージとふわっとした女性ボーカルの対比が感じられる。後半に向けて、楽器やコーラスが加わり、華やかに盛り上がっていくが、個々の楽器の音色感がそこなわれず、分離よく明瞭に描き分けられてるのが良かった。
ギターのアタックなども立ち上がり早く再現していたが、高域はやや減衰している印象ということもあり、張った弦を弾く緊張感がもう少しあってもよいという印象はあった。
例えば、ボーカルとその周囲で一体となって音楽を奏でる楽器の音色の描き分け。個々の音が空間のどの位置に配置されているか、それがどう残響として消えていくかといった情報がわかりやすく把握できれば、歌詞のニュアンスや他の音に埋もれていた演奏の細部が実在感を持って浮き上がってくる。こうした新しい音との出会いは、オーディオの楽しさそのものであり、さらに良い音で聴きたいと言うモチベーションを刺激してくれるのだ。
ゼンハイザーのコンシューマー向け製品はしっかりとした低音と、伸びやかで抜け感のいい中高域の華やかさに魅力がある。これが「ゼンハらしい」サウンドシグネチャーにもなっているが、それが華美な演出にならない。本質は、聴きたいところがよく把握でき、聴くことの負担が少ないという点にあると思う。とにかく、音の細部が負担なく頭に入ってくるのが好印象だった。
MOMENTUM True Wireless 5はトーンバランス的には、すでに述べたように、中音域と高音域を細かく調整しており、声の音抜けがよく、明瞭に聞こえるようになった。特性的にはいわゆる「M字型のカーブ」に近いもので、低域は引き続き、やや強めに鳴る。とはいえ、広がりすぎて不明瞭になったり、上の帯域にかぶったりすることはなくキレの良さがあった。全体にリアルで聞く音の感覚に近いチューニングとも言える。また、高域を持ち上げていると言っても、強すぎないレベルで、超高域は自然にロールオフしていく形。歪みも感じず、聴き疲れしにくい仕上がりだった。
完全ワイヤレスイヤホンの中ではハイグレードなものになるが、それに相応しい高音質を備えた機種であるのは確かだろう。
期間限定で保証を延長するキャンペーンも実施
なお、本機種の発売記念として、保証延長キャンペーンも実施する。これは本日から2026年10月20日までに、ゼンハイザーの対応機種を購入した人が対象で、通常1年の保証を2年に延長してもらえる期間限定の施策だ。
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