SORACOM Discoveryで語られた新規事業創出の勘所
害獣・害虫駆除もDX化する時代へ RYODENが挑んだ“新IoT・AIサービス”開発の舞台裏
2026年07月28日 11時00分更新
手軽さ・シンプルさにこだわった「Pescle Lite」を今秋に
そして、最新サービスとして2026年秋の提供を予定しているのが、汎用的なトラップ監視に対応する「Pescle Lite」である。「衛生害虫のトラップを網羅的に監視したい」という声から生まれたソリューションだ。
セッションでは、プライベートで狩猟や有害鳥獣駆除に従事するソラコムの守谷宙氏による、先行レビューの様子も披露された。「罠に獲物がかかったのを検知するシステムはいくつかあるが、何がどのような状態でかかっているかを画像で確認したいというニーズがある」と守谷氏。
守谷氏は、タヌキやアライグマ用の箱罠上面にPescle Liteを設置。デバイスに備わる広角な小型カメラが罠全体を捉え、4時間ごとに自動撮影した画像がクラウドに送られる仕組みだ。そして、遠隔地から時系列に並んだ画像を確認でき、その差分から罠の作動状況や捕獲の有無を把握できる。
また、デバイス本体は名刺サイズと非常にコンパクトで、カメラマウントや結束バンドなどで固定が可能だ。このように場所を選ばず設置できることを重視しているため、LTE接続に加えて電池式を採用。乾電池で40日以上稼働することを確認済みだという。その他にも、カメラボタンを押すと1枚だけ画像がアップロードされる機能は、画角の調整を手軽に行うための工夫だ。
「Liteという名前の通り、現場の作業者にとって手軽かつシンプルで、使いやすいことに徹底的にこだわって開発しました。屋根裏や奥まった場所などに設置できるよう、電源を入れたらすぐ使える仕様にするなど、設置や運用のハードルを限界まで下げ、臨機応変に使えることをコンセプトにしています」(甲斐氏)
新規事業立ち上げの鍵は「社内外の協力者」「ミッション浸透」
最後に甲斐氏は、新規事業を軌道に乗せるまでの道のりを振り返った。「よく“IoTは総合格闘技”と言われるが、本当に考慮するべきことが無数にあり、事業計画のズレも発生しました。最初から余裕を持った計画が立てづらいからこそ、社内外での協力者の存在が不可欠だったと実感しています」(甲斐氏)
加えて、社内の障壁を乗り越える上では、新規事業のミッションやバリューを予め浸透させていたことが功を奏したという。Pescleでいえば、「IoTを活用したデータリカーリング型ビジネスを創出すること」「グローバルに広げられる事業開発にすること」がミッションだった。
しかし、現在挑戦中のグローバル展開では、通信面こそソラコムのグローバルSIMでクリアできているものの、課題はまだ山積みだ。甲斐氏は、「現地の法規制対応やサポート体制の構築に加えて、日本で培ったソリューションが海外でも刺さるかどうかが鍵になります。日本でそうだったように、協力者となるユーザー企業を見つけ出すことで、課題を乗り越えていきたい」と意気込みを語った。
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