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SORACOM Discoveryで語られた新規事業創出の勘所

害獣・害虫駆除もDX化する時代へ RYODENが挑んだ“新IoT・AIサービス”開発の舞台裏

2026年07月28日 11時00分更新

 都市化の進展や衛生意識の高まりを背景に、成長を続ける「害獣・害虫駆除」市場。一方で、アナログな業務が根強く残るこの業界に対し、IoTとAIを活用したソリューションを投入し、新規事業化を果たしているのがRYODENだ。

 2026年7月7日に開催されたソラコムのIoTカンファレンス「SORACOM Discovery 2026」では、RYODEN 新事業推進室の甲斐達也氏が登壇。新規事業立ち上げの経緯からその苦労、今後の展望までを語っている。

RYODEN 新事業推進室 事業開発部 部長 甲斐達也氏

害獣・害虫DX支援の「Pescle」はどのようにして生まれたのか?

 RYODENは、三菱電機グループのエレクトロニクス専門の技術商社だ。同社は商社の枠を超え、独自事業を生み出す“事業創出会社”への転換を図っており、その一環として2023年に菱電商事から社名を刷新している。

 実際に「RYODEN Tii!」ブランドのもと、工場やビルの環境情報を監視・制御する「Remeces」や映像データで製造現場を見える化する「FlaRevo」などの独自サービスを展開。その中から本セッションで取り上げられたのが、害獣・害虫の遠隔監視サービス「Pescle(ペスクル)」だ。

 Pescleは、ペスト(Pest:害獣・害虫)をクリーン(Clean)にするという想いで名付けられた、衛生管理会社向けのIoT・AIサービスである。現場にカメラ端末を設置して、ソラコムによるLTE通信経由でクラウドにデータ転送。クラウド上では、省人化や早期発見のための遠隔監視・リアルタイム通知機能をはじめ、原因分析に役立つレポート機能などを提供する。

害獣・害虫の早期発見と原因分析を支援する「Pescle」

 同サービスの企画が立ち上がったのは、コロナ禍にさかのぼる。「ディープラーニングによって、画像AIの商用化が現実的になり、電池式のカメラと組み合わせることで新しいIoTサービスが生み出せないかと考えました。そこから、新規事業チームで市場リサーチを始めたのがきっかけです」(甲斐氏)

 そんな折、ある食品工場の顧客から「ネズミの被害で困っている」という声が届き、そこから同社との共創が始まった。RYODENにとって、ペストコントロール市場はまったくの未知数。ただ、他にも「ぜひ使いたい」と賛同する衛生管理会社の協力も得て、“仮説検証のサイクル”を回して、企画から2年で市場展開へと漕ぎつけた。現在は、欧米市場への進出も見据えている。

Pescleの誕生までの歩み

 Pescleの第1弾としてリリースされたのが、ネズミ(害獣)検知のソリューション「Pescle Rodents」だ。AIがネズミを検知すると同時に該当部分の動画をリアルタイムで通知。これにより、侵入経路や行動パターンといった“捕獲のためのヒント”が得られるほか、生息の明確なエビデンスとしても活用できる。人間や機械の動きには反応しないため、無駄な確認作業を削減できるのがポイントだ。

ネズミ検知ソリューション「Pescle Rodents」

 2025年には、ハエや蚊といった“飛翔害虫”を対象とする「Pescle Insects」を提供開始。従来は、捕虫器の裏側の粘着シートを定期回収して、異常察知や対策計画を立てていたという。本サービスでは、捕虫器にカメラと通信ユニットを後付けし、AIが捕獲数を自動カウント。温湿度センサーによって、原因分析までサポートする。

飛翔虫カウント・監視ソリューション「Pescle Insects」

 なお、これらのソリューションには、ソラコムのIoT SIMによるLTE通信に加え、クラウドサービスへの安全なデータ転送に「SORACOM Beam」、セキュアリモートアクセスの仕組みに「SORACOM Napter」を活用しており、IoT構築・運用の負荷を軽減している。

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