フィールドの審判視点を共有する「Referee View」を可能にしたAI
VARへの不信はなぜ消えないのか? 新登場の“審判カメラ映像”の価値を考える
2026年06月19日 10時00分更新
映像にあえて揺れを残す理由
2026年バージョンの効果はどれほどか。
ホルツミュラー氏は、6月の記者説明会で「(映像の揺れは)50%以上の削減が可能であり、直近のFIFA大会でのテストでは70%削減できた」と説明した。基本ラインは50%以上、条件次第では70%削減できる、という意味だ。
興味深い説明もあった。Lenovoによると「技術的には、揺れをほぼ100%消すこともできる」のだという。あえてそうしないのは、揺れを完全に消すとかえって映像が不自然に見えてしまうからだ。映像の臨場感を損なわない程度で揺れを抑え、映像品質と配信速度も犠牲にしない――。そのバランスが、約50%という数字なのだという。
フレームごとに最適なモデルを選ぶ設計には、もう1つの効用もあったという。消費電力が抑えられたのだ。フー氏は「最も強力なモデルを選ぶのではなく、必要を満たす“最も良い”モデルを使う」ことがポイントだと説明した。最速であると同時に、より少ない電力で動作することは、設計段階から織り込まれていたという。
「正確」を超えて「信頼できる」技術へ
なお、審判カメラの映像が実際の放送でどう使われるかは、FIFAから提供する公式映像配信を各放送局がどう活用するか次第だという。日本の放送で審判映像が映ったら、その揺れの少なさにも注目してみてほしい。
VARへの不満はなぜ消えないのか? という問いへの答えは、「技術的に正しいだけでは十分ではない」ということだ。観戦しているファンが「信頼できるかどうか」――。これまで審判しか目にすることができなかった“特別な試合の見え方”が、世界60億人の視聴者に共有される。そういう意味でも、2026年のワールドカップは面白い。
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