MSI「Prestige 14 Flip AI+ D3M」レビュー
Core Ultra 9で23時間駆動、2in1スタイルを13.9mmに凝縮!タッチペンが底面に収納できる良コスパのビジネスノートは投資に見合う有力候補だ
2026年05月28日 12時30分更新
高くなりすぎず、しかし次世代ビジネスシーンを支えるには十分のスペック
性能に関する内部ハードウェアスペックを見ていこう。CPUはCore Ultra 9 386H。Core Ultra シリーズ 3でも上位グレードのCore Ultra 9だ。Pコアが4基、Eコアが8基、LPEコアが4基で計16コア・16スレッドに対応している。
Core Ultra シリーズ 3では統合GPU性能にも注目されるが、それは統合GPU名が「Intel Arc」となるモデルの場合だ。本製品は通常の「Intel Graphics」。統合GPUは年々性能向上しているので、ゲームが快適とまではいかないにせよ実用面では十分だ。
また、NPUも搭載しており、50TOPS(Int8)の性能を持つ。Core Ultra 9 386Hの場合、統合GPU側が40TOPS(Int8)とされるので、ローカルAI処理についてはNPUを活用するほうが高性能かもしれない。
メモリはLPDDR5Xで32GB搭載している。通常のアプリケーション操作、とくに本製品でメインとなるビジネス用途では十分、かなり大きな業務ファイルのマルチタスク処理も快適だ。もちろんAI処理も。本製品はメインメモリをシェアする形でローカルAIを利用するため、大きなLLMを動かす際、32GBのメモリがポイントになってくるだろう。より多くのメモリを搭載すれば、それだけ高性能にはなるが、昨今のメモリ価格高騰も考えると妥当なラインではないだろうか。
ストレージはM.2 NVMe対応SSDで容量1TB。容量的には十分で、転送速度はシーケンシャルリードで6.9GB/s、同ライトで6.3GB/sほど。こちらはPCI Express 4.0 x4接続のメインストリーム級に相当するだろう。
次世代ビジネスノートPCを感じさせる、AIを含めバランス志向のパフォーマンス
Prestige 14 Flip AI+ D3Mをベンチマークにかけパフォーマンスを見ておこう。ここでの電源設定は、統合ユーティリティの「MSI Center」から「AI Engine」を設定している。状況に応じて自動で切り替えてくれるモードだ。
まずはCINEBENCH 2024の結果から見ていこう。CPU(Multi Core)は1000ptsちょうど。CPU(Single Core)も124ptsだ。CINEBENCH 2026はCPU(Multiple Threads)が4057pts、CPU(Single Thread)が517ptsだった。十分なスコアではあるものの、Core Ultra 9 386Hにしては少し低いと感じるかもしれない。Core Ultra 9 386Hは仕様上、最大ターボパワーが80Wだが、本製品のACアダプタは65Wだ。電力チューンはされていると思われる。ここはノートPCであれば厚み、重さ、バッテリー駆動時間などとのバランス、つまりは製品の方向性である。
次にPCMark 10のExtended。Overallは8204。ホーム用途を想定したEssentialsは10844ポイント、ビジネス用途を想定したProductivityが19601ポイント、コンテンツ制作を想定したDigital Content Creationが10579ポイント、Gamingは5443ポイントだった。GamingについてはCPUのキャラクター上仕方がない。そこを除けば軒並み10000ポイントを超えるので、ホーム&ビジネスについては快適そのもの。コンテンツ制作は、写真については問題なく、映像については長さや編集の程度によっては対応できる。CADや3DCGについてはディスクリートGPU搭載モデルのほうがよいだろう。
GPU性能については3DMarkとファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークの結果を参考程度に掲載しておく。激重でなければ中画質程度でプレイできるものもあるといった程度で、基本的には標準的な統合GPU性能だ。
もうひとつの注目はAI性能。UL Procyonの3つのAIベンチマークのスコアを紹介しておこう。
AI Computer Vision 2.0 Benchmark。NPUを利用したInt8では1521ポイント、GPUを利用したfp16では851ポイントだった。
画像生成のAI Image Generation Benchmark。まずスコアから紹介していくと、Stable Diffusion 1.5は228ポイント、Stable Diffusion 1.5 LightはNPUとGPU両方を使う設定で5266ポイント、Stable Diffusion XLは212ポイントだった。
テキストチャットのAI Text Generation Benchmark。GPUを利用する設定だ。PHI 3.5が1072ポイント、MISTRAL 7Bが1044ポイント、LLAMA 3.1が982ポイント、LLAMA 2が907ポイントだった。
AI性能についてはディスクリートGPUのほうが性能は高いとして、一方で統合GPU・NPUはメインメモリをシェアするためにメモリ容量が拡大しやすく、結果として(ディスクリートGPU比で)低コストでありながら多くのテスト項目で実行可能だ。Stable Diffusion XLやLLAMA 2 13Bなどがその例と言える。その上で、統合GPUとNPU、どちらも世代が更新されるごとに性能向上を果たしており、Stable Diffusion 1.5 Lightの例のようにローカルAIの実用性は高まっている。
最後にバッテリー駆動時間をPCMark 10のバッテリーベンチマーク「Modern Office」シナリオで見てみよう。電源設定はMSI Centerの「AI Engine」に任せている。モニター輝度も最大のままとしている。駆動時間は23時間16分、ほぼ1日だ。そしてスコア(性能)は7617ポイントだった。
トータルでコスパのよさが魅力。フリップによるビジネスシーンの変革、AIも使える
メモリ、ストレージを中心としたPC価格高騰が起きている現在、PCを買いづらいと感じる方も多いだろう。しかし今、ノートPCは飛躍的に性能が向上しており、AIといった次の波も来ており、業務効率改善といった視点で見れば買い替え時でもある。
そんな状況でのPrestige 14 Flip AI+ D3Mだ。まず価格について説明したい。執筆時点での価格だが、今回の構成で27万9800円だ。Core Ultra 9を搭載し、32GBのメモリを搭載し、AIも活用でき、フリップスタイルでこの価格なら意外と安いと感じる方が多いだろう。実際のところ、Core Ultra X7やX9のように高性能統合GPUを搭載する(AI性能も高い)CPUや、最近では64GBのメモリを搭載するモデルも出ている。それらは40万円、50万円とするわけだ。投資に見合った性能という観点からすると、AIを含めまずしっかり使えることと、それが現実的な予算規模内に収まること、この2つを満たすビジネスノートPCを探すと、Prestige 14 Flip AI+ D3Mは有力候補に挙がるモデルだろう。
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