「誰か」と一番簡単につながれるのがゲーム
子どもがよく使うデジタルガジェットとセキュリティ&プライバシーにまつわる、さまざまな心配事についてASCII.jp執筆陣の生の声をメインにご紹介するこの連載。第3回は「子どもたちとオンラインゲーム!」です。
今回も、保護者目線でITと家族の関係について解説する「親なら知っておきたい人気スマホアプリの裏側と安全設定」を週刊連載中のITジャーナリスト・成蹊大学客員教授の高橋暁子さん、そしてペアレンタルコントロールを含むセキュリティ対策製品のレビューを多数ご寄稿いただいているライターの二瓶朗さんです。
ゲームしながらLINEで音声通話
―― まずはご家族がどのようなゲーム体験をされていらっしゃるのか教えてください。高橋さんのご子息はあまりゲームをプレイされていないとのことですので、二瓶さんからお願いします。
二瓶 息子がプレイしているオンラインゲームは「Apex Legends」と「スプラトゥーン3」、そして「マインクラフト」です。マイクラはMinecraft Realmsというマルチプレイ用のレンタルサーバーのような有料サービスも使っています。
最大10人ぐらいまで集まれるサーバーなのですが、それを息子含め数名の友だちがそれぞれ契約していまして、友達のワールドを行き来しながらオンラインで遊んでいるかたちですね。
―― おお、本格的!
二瓶 とは言え、中学3年生なので自由にプレイというわけにもいかず、休みの日でも一日4時間ぐらいにゲームの制限をかけています。
あと実は「フォートナイト」も長年遊んでいたのですが、規約変更があった際にユーザー登録の紐づけがおかしくなっちゃって、今まで貯めていたアイテムなどが消えてしまい、そのタイミングで離れたようです。もう2年ぐらいプレイしていないのでは。
ちなみに、その前後で興味深い変化が起きまして。
Nintendo Switch版のフォートナイトはゲーム単体で音声通話が可能でした。ヘッドセットなどをつなげば、ほかのプレイヤーと話せたんです。ところが、現在Switchでプレイしているタイトルは、ゲーム単体で音声コミュニケーションができないんです。
そこで息子たちが編み出した解決策は……LINEでした。中学生になって各々がスマホを持つようになったので、友だちとLINEで音声通話をしながらプレイしているんですよ。
―― スマホがスピーカー兼マイク代わりなんですね。
二瓶 この方法になったことで1つ良かった点は、息子がヘッドホンをしなくなったので、先方の声も聞こえることです。何を話しているのかよくわかるんですよ、昔と比べると。
ちなみに、妻は出社が週1~2回で週末も自宅作業なんですが、仕事部屋は息子の勉強部屋も兼ねているため、息子が友だちとギャーギャーLINEで喋っている裏でウェブ会議をしていたりします(笑)
でも妻は、そんな環境のほうが(親としては)安心できると言ってました。コロナ禍で友だちと会えない時期が続いたものの、直接会えないことで生まれてしまう溝をオンラインゲームでのコミュニケーションが埋めたのでは、と。
―― 親御さんにとっては子どもの声が多少うるさくても、何をやってるのかわかるほうがよっぽどありがたいし、セキュリティ的に安心できますよね。
実は直球の個人情報漏えい事件(?)が起きていた
―― ここまでとても順調と言いますか、ある意味理想的なゲームとの付き合い方だなと思いました。では逆に、ヒヤリハットの経験はありますか?
二瓶 息子が小学3年生ぐらいのときかな。夜中に、子ども部屋から急にゲームを始めた音が聞こえたんですよ。その頃はまだフォートナイトをやっていたかな。
「目が覚めてゲームしたくなったから、してみた」って淡々と本人は言うんですけど、僕はびっくりしちゃって。当時はまだSwitchのペアレンタルコントロール機能を設定していなかったので、その出来事を機に夜中はプレイできないよう制限をかけるようになりました。
あとやはり小学3年生ぐらいでフォートナイトを始めたばかりの頃、音声チャットで知らない人とマッチングしたときに、「自分の小学校は●小だよ」みたいな話をしてるのを聞きまして。「なんで小学校の名前を言ってるの?」と聞いたら、「向こうが聞いてきた」って言うんっですよ。慌てて、「それは聞かれても絶対に話しちゃダメだよ、それは個人情報といってね……」と教えました。
―― そこまで直球な出来事が……。しかもある意味、現場を押さえられたから具体的に注意できたわけですよね。普通は「それはダメだよ」の「それ」に立ち会うチャンス自体がないんだから。
二瓶 そうなんですよ。親が知らないだけで、実は子どもって危うい橋を渡っちゃってる可能性が結構高いんじゃないの? って思いました。
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