伝統と決別? デジタル化されたコックピット
911 GTSの室内を見てみましょう。ちなみに試乗車にはオプションのフルカーボンバケットシート(80万2000円)が装着されていました。前後は手動ですが高さ調整は電動で、乗降性は悪いですが、シートに納まればクッションは厚くて座り心地は上々。写真は左ハンドルの2人乗りですが、右ハンドルもありますし、無料で4座にもできるとのこと。
ちなみに、フルカーボンバケットシートを取り付けた状態で後席に乗るのは、至難の業でしょう。
運転席周りの大きな変更点は2つ。まずメーターパネルがフル液晶化し、指針式タコメーターがなくなったこと。タコメーターは外周側がエンジン、内周側がモーターの動作を表示します。そして、911というと5連メーターが伝統だったのですが、911 GTSは3連表示に。文字サイズが大きくなり見やすくなりましたが、ちょっと寂しい気持ちにも。
そしてエンジンスタートスイッチが、捻るスイッチからボタン式へと変更。キーレスになっても、かたくなにこだわっていたポイントがなくなったのは残念です。
そのほかは変更がない、というよりハイブリッド車にありがちな「エコモード」や「チャージモード」といったものがなく、センターコンソールを見回してもハイブリッドであることを意識しそうな操作類は一切ありません。
強いて挙げるなら、インフォテインメントディスプレイのパワー表示に、E-BOOSTというハイブリッド動作状態を示すものがある程度です。
ASCII.jpらしくスマホ対応をチェック。Android AUTOとApple CarPlayに対応しますが、ワイヤレス接続は非対応の模様。スマホトレイはセンターのアームレスト内にあり、ワイヤレス充電のほかUSB Type-Cを2系統備えていました。
フロントのラゲッジ容量は135リットルとほかの911と変わりません。機内持ち込みサイズのトランクなどは入りそうです。
街乗りで実感する「最新」の滑らかさ
スタートボタンを押下した途端、爆発的なエンジン音に驚き。コールドスタートのフラット6で、ここまで大きな音を聴いたことはなく、最初何が起きたのかと。ちなみに音は段々小さくなり、普通の911の排気音レベルにまで下がります。
街乗りで気づくのは、とても滑らかなエンジンとミッションフィールであるということ。911を街乗りすると、低速時にギクシャクするような動作をみせることがあり、それが911の味だと思う一方、渋滞時ではストレスを感じる時も。
ですがハイブリッド化して、モーターアシストが加わったためか、このようなギクシャク感はなく、普通のクルマの低速フィールになりました。最新のポルシェが最良のポルシェ、という言葉は、普段乗りでも当てはまるのかと。
伝統のトラクションとV8のような太いトルク
続いて気づくのが、ハイブリッドであることをまったく意識しないフィールであること。既存のツインターボのフラット6では感じることのなかった、アメリカンV8のような太いトルクに、気持ちのよい回転がついてくるという印象。早い話がブン回したい衝動に駆られるエンジンで、パドルシフトを駆使し、意図的にギアを何段も下げて踏みたくなること間違いナシ!
そして、踏んだ瞬間に背中を蹴り飛ばされたかのような、911特有のトラクションを体験すると「やっぱり911はリアエンジン・リアドライブだよな!」と、顔をひきつらせながらも、心はニッコリ。
走行モードはWET、NORMAL、SPORT、SPORT+の4種類。ステアリングホイールに設けられたダイヤルで変更できます。中央には15秒間フルパワーが出るボタンも用意されていました。
【まとめ】やはりポルシェは最新こそが最良だった!
筆者の知る限り、911史上もっとも重厚で安定感/安心感を覚えるフィールが堪能できます。すべての操作にズッシリとした手応えがあり、それでいて911らしい精緻さもあり。これが992.2型に共通するフィールなのか、911 GTS特有なのかは分かりませんが、好感を抱きました。
911がハイブリッド化したと聞いて「ポルシェ終わったな」と思ったことを大反省。すべては走りのための電動化だったことを実感したのでした。そして「最良の~」という言葉は活きているとともに、911のSDGs(持続可能な未来)はエコではなく速さ。そして走りであることを思ったのでした。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります


















