Microsoft 365 Copilotに公式AIエージェントを搭載 神Excelは分析できるのか? 早速使ってみた
2025年10月10日 09時00分更新
本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第31回は「Microsoft 365 Copilot」に導入された「Agent Mode(エージェントモード)」について解説する。
「Microsoft 365 Copilot」に搭載された「Agent Mode(エージェントモード)」の実力は?
9月29日、「Microsoft 365 Copilot」に「Agent Mode(エージェントモード)」および「Office Agent(オフィスエージェント)」を導入し、「vibe working(バイブワーキング)」という新たな働き方のコンセプトを発表した。
ソフトウェア開発における「vibe coding(バイブコーディング)」が開発手法を変革したのと同様に、Copilotがエージェントとして生産性を向上させてくれるようになる。
これまで、Excelで使えるCopilotの性能はイマイチで、あまり活用が広まっていなかった。性能向上ではなく、新機能として登場するAgent Modeの実力やいかに。
これらの新機能は、Microsoft 365 Copilotのライセンスを持つユーザーとMicrosoft 365 PersonalやFamilyといった個人向けサービスの加入者向けに、「Frontier program」を通じて提供が開始される。Agent ModeはまずWeb版のExcelおよびWordで利用可能となり、デスクトップ版も順次対応する予定だ。
まずは、ウェブ版のExcelを開き、「アドイン」から「Excel Labs」をインストールする。「Excel Labs」を開いたら、「Agent Mode」の「Open」をクリックすればいい。「Make default」にチェックを入れておくとExcel Labsを開いた時に、自動でAgent Modeが表示されるようになる。
ExcelのAgent Modeを試してみる
早速、日本の悪癖である神Excelの分析をお願いしてみよう。神Excelとは、セルの結合や罫線を多用し、見た目を整えることを優先して、データの再利用や集計、分析が困難なファイルのことだ。
Agent Modeを開いたら、プロンプトを入力し、分析してもらおう。プロンプトは日本語でもOK。すぐに、AIが作業を開始してくれる。通常のCopilotであれば、グラフの描画は断念し、いくつかの表の要約を提示してくれる程度だった。
しかし、Agent Modeは粘り強い。このシートには27枚ものタブがあり、大量のデータが入っているのだが、値を上げずに分析を続けている。数分後、「ダッシュボード」というタブが追加され、医療費トップ10や総額の推移などのグラフが作成されていた。文字化けもしていない。
■プロンプト
医療費についての統計データを分析して、重要なインサイトを視覚化してください
既存の表を分析するだけでなく、特定の目的に合わせたミニアプリを作ってもらうこともできる。例えば、ローンの金額や利率、返済期間を入力すると、返済額や利息、残高、グラフなどを自動的に出力してくれる表を作ってみよう。
新規シートでAgent Modeを開き、プロンプトを入力するだけで、すぐに表が完成。数値を入力するとリアルタイムで、表やグラフが再計算される。欲しいと思ったときに、欲しい機能をピンポイントで搭載する表を作成できるのはすごく便利だ。データをクラウドに送信して漏洩を心配することもない。
■プロンプト
ユーザーがローン金額、年利率、返済期間(年数)を入力すると、月々の返済額を計算するローン計算機を作成してください。あわせて、月ごとの返済額、元金、利息、ローン残高が一覧でわかる返済スケジュールを、見やすい表形式で出力してください。
他にもOpenAIのウェブサイトで公開されていたサンプルプロンプトを試してみたが、問題なく動作した。
Agent Mode in Copilot for ExcelはExcel in Copilotよりも明らかに賢い。日本語の指示をきちんと理解し、できるだけ対応しようとしてくれる。一発出しだけでなく、チャットで修正依頼なども行える。
■簡易家計簿のプロンプト
月々の収支を管理するための家計管理シートを作成して。シートの項目には「家賃」「食費」「光熱費」「娯楽費」「交通費」「貯金」といったカテゴリーを設定し、各項目で予算と実際の支出を入力できるようにし、予算に対する達成率(%)に応じてセルの色が変わる条件付き書式や、進捗が視覚的にわかるデータバーを適用してください。また、シートの最上部には、全体の予算と実績を比較できるサマリー欄を設け、支出の内訳がひと目でわかるドーナツグラフも追加してください。
ちょっと気になる利用回数制限
気になるのは利用回数制限だ。筆者はMicrosoft 365 Business StandardとMicrosoft 365 Copilotを契約しているのだが、本記事の作成中にあっという間に利用制限に引っかかってしまった。30回もエージェントを動かしていないのだが、「The maximum number of requests has been reached. Try again in a little while.」と表示され、使えなくなってしまったのだ。
24時間経つとまた使えるようになったが、試行錯誤が必要なことを考えると、この回数はちょっと少なく感じた。マイクロソフトは正確な利用可能回数を公開していないので詳しいことはわからないが、正式ローンチする際には回数の拡大と正確な情報公開を期待したい。
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