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【密着レポ】ANAのパイロット訓練、実はフロリダでやってた!

2025年10月08日 07時30分更新

文● 中山智 編集●こーのス/ASCII

●2つの資格をまとめて取れる!最新の訓練プログラム

 従来はCPL課程を経たのちにIR課程へと進むスキームでしたが、近年ではこのCPLとIRを統合したスキームが開発されています。訓練期間を約数ヵ月短縮できるということもあり、各エアラインで主流となっているのです。日本でも国交省と日本のエアラインが導入に向けてルールを策定。2024年10月の通達改正により、日本国内でもIntegrated CPL/IR訓練方式によるライセンス発給が可能となったことで、ANAは自社養成パイロットの訓練をサンフォードで実施しているわけです。

アクロンの訓練生による初フライトの記念が天井には張られていました

●訓練は約2年間! どんなスケジュール?

 ちなみにANAの自社養成訓練は、約800時間の学科訓練と約180時間のフライト訓練で構成されていて、約20ヵ月(移動・学科試験期間含む)でCPL/IRの両ライセンス取得を目指します。またアクロンの訓練プログラムを活用しつつ、ANA独自の「ANA Phase」という課程もあり、これにより日本の指定養成としての認可を取得する仕組みが国交省により認められています。

国交省からの認可証です

●特殊メガネで視界ゼロ!? IFR訓練ってこういうこと

 取材時には、ANAの訓練生が、2つのエンジンを搭載した航空機「双発機」を使ったIFR(計器飛行方式による飛行)の訓練を実施していました。この訓練はVFR(有視界飛行方式による飛行)ではないので、周りが見えず下だけ見える特殊なメガネを装着して操縦します。大型旅客機ではIFRでの運航が前提のため、重要な訓練です。

フライトプランなどを教官と確認

こちらが当日のフライトプラン

タブレットで運航ルートをチェック!

IFR訓練のための特殊なメガネで計器以外はぼやけて見えるようになっています

 さらにその過酷な状況下で、教官の判断により、突然片側のエンジンの推力をアイドルにするなど、実際の運航で発生しうる緊急事態への対応能力を試すマニューバ(maneuver)訓練も組み込まれています。単に離陸・着陸させて上空を飛べればいいというわけではないんですね。

双発機に乗り込んで訓練をスタート

訓練中の機内の様子。先ほどの曇ったメガネを装着して計器だけを見て操縦している!

 教官とブリーフィングしたのち、最終確認の場となるディスパッチルームでフライトプランなどを確定。そのあとは実機の点検をしたあと、飛行機に乗り込んで実際のフライト訓練を開始します。このようにアクロンの訓練施設では、実際に旅客機を運航する動きを同時に学べるわけです。

出発前にフライトプランなどを最終的に確認・決定するディスパッチルーム

出発前の機体チェックを念入りにします

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