●直線と曲線とで使い方を練習してみた
ブレードを材料に当てると勝手に回転し、いい感じの角度になるというのが、回転式ブレードをもつバリ取り工具のいいところ。
……なのですが、勝手にブレードが回るというのに慣れにくく、最初はコツをつかむのが結構大変。削りやすいアクリル板を使って直線のバリ取りを色々試したところ、ブレードの根本側と削る対象が平行になる角度で当てるのが、比較的やりやすく感じました。ハンドル基準でいうと、材料に対して大体45度くらいです。
1度に削れる量は、材料に押し付ける力の加減で調整できます。また、ハンドルを寝かし気味にして、下方向に力を入れる感じにすると角度が浅く、ハンドルを少し立てて材料方向に押し付けるようにすると角度が深く削れるようです。なお、角度がおかしいと刃が材料に食い込み、ガッガッといった感触とともに少し欠け、ガタガタな仕上がりになってしまいます。
あくまでこれは私が試してみた感想なので、もっといい方法がありそう。どう扱うといいのか、しっくりする方法を見つけるまで、とにかく試してみるしかないと感じました。
続いて、同じ直線でも材料をブリキの薄板に変えてみました。使い方のコツはアクリルとほぼ変わりませんが、ハンドルを立て気味にすると引っ掛かることが多いように感じました。これは、薄板というのが影響していそうです。
また、力を入れると板がたわんでしまい、うまく削れないことも。このあたり、素材や材料の厚みの違いを考慮して、うまく調整しないと難しいですね。
1度で大きく削ろうとはせず、軽く削るのを複数回行なうのがいいかもしれません。
次は曲線を試そうと、内径約20mmの塩ビパイプと、たまたま手元にあった塩ビの雨どい部品を用意。回転式ブレードのバリ取り工具でよく見るのが、パイプ内側のバリ取りですから、これを試してみました。
まずは内径20mmの塩ビパイプでチャレンジ。先ほど直線のバリ取りで習得したコツを応用しようとするも、だいぶ勝手が違い、ガタガタになってしまいます。内径が小さ目となるため、削りやすい角度にするのがかなり難しいためです。
比較的マシになったのが、ブレードの先の方を使い、ハンドルはあまり角度をつけずに軽く削っていくという方法。削りカスが細かく出てしまいますが、多少マシな仕上がりになりました。
なお、内径49mmのパイプ部分のある雨どい部品で同様に試したところ、径が大きいためか驚くほどキレイに削れました。ただし、この場合もハンドルはあまり角度を付けない方がいいようです。
まとめると、パイプ内側のバリ取りでは、穴の方向に対してハンドルはほぼ垂直に持ち、進行方向と外側にやや傾ける感じで使うのがやりやすかったです。
なお、バリ取りできるのはパイプに限らず、曲線もいけます。先の雨どい部品であれば、中央に段差のある楕円の方も比較的楽にバリ取りできます。
ただし、内側のバリ取りは得意ですが、外側は不得意。ブレードが回転してすぐに刃が逃げてしまうからです。頑張れば削れなくもないですが、普通のカッターを持ち出すほうが断然楽。曲線の場合は、あくまで内側のバリ取り用だと割り切った方がいいでしょう。
●ハンドルの違いはあるものの、個人の好みが強そう
練習を始めた時は、重要なのは刃の動きをどう制御するかであって、ハンドルにそんな違いはなさそう……と思っていました。ですが、とっかえひっかえしつつ練習していくうち、わずかな差ですが、使いやすいと感じるハンドルがありました。
それが、細身で重量のある「RB1000」。細身ということからブレードを延長して握っているという感覚があること、そして重心が手にしているハンドル側にあることから、微妙な角度コントロールがしやすいよう感じました。とくに径の小さいパイプでは扱いやすかったです。
ではほかのハンドルがダメかというと、そんなことはありません。とくに「NG1000」はその太さから握りやすく、それでいて首の近くは細いので親指と人差し指とでホールドするのがラクに感じました。直線を削るなら、RB1000よりむしろこちらの方が使いやすかったくらいです。
「NB1100」はハンドルの凹凸が手にフィットしないぶん、NG1000より見劣りしてしまいますが、工具としての機能は問題なし。フツーに使えます。
なんだかんだ好き放題書きましたが、最終的には個人の好み。とりあえず気になるものを1つ試してみて、しっくりこなければ別の形状へと乗り換えるのがいいでしょう。
材料を切ったときはもちろんですが、3Dプリンターのビルドプレートとの接触面は、バリのような尖った部分ができやすいです。こういった尖った部分を削るのに、バリ取り工具を使ってみるのもよさそうですね。
●お気に入りポイント●
・ブレードが勝手に回転していい感じの角度になる
・角度がキマると気持ちよく削れる
・個人的には細身のRB1000が使いやすかった
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