第87回
クリアまでプレイした上で評価!
求めよ、さらば与えられん――『終天教団』伏線が1つに収束するカタルシスは唯一無二の面白さ!【PCゲームレビュー】
2025年09月03日 18時00分更新
推理ADV、恋愛ADV、ステルスアクションホラーなど「5つのゲームジャンル」を楽しめるマルチジャンルADV『終天教団』。その挑戦的な作風と、小高和剛氏率いるTookyo Gamesのメンバーがシナリオを手掛ける作品ということで、気になっている人は多いのではないだろうか。
本稿では、2025年9月5日にDMM GAMESが発売するNintendo Switch/PC(Steam/DMM GAMES)用ソフト『終天教団』のプレイレビューをお届け。メーカーよりSteam版のコードを受領したので、先行プレイをさせていただいた。
ネタバレに配慮しつつ、本作がどう面白いのか、その魅力について紹介していきたい。
【目次】
●謎めいた物語に考察が止まらない【ストーリー紹介】
●“ミニゲームの集合”ではない大ボリューム【システム紹介】
●さよなら終天教団【クリア後感想】
●謎めいた物語に考察が止まらない
物語の本筋は宗教国家「終天教国」の教祖が殺害された事件を調べること。プレイヤーは天使によって仮の身体を与えられた記憶喪失の元教祖「下辺 零(しもべ れい)」となり、自らを殺した犯人を“神の力”を駆使して見つけ出さなければならない。
冒頭でお伝えしたように、本作は「5つのゲームジャンル」を楽しめるのが特徴のマルチジャンルADV。最初に5つのルートから選択して好きな順番で挑む形式で、ルートごとにまったく異なる物語とゲームシステムが展開する。そのジャンルは以下の通り。
・推理アドベンチャー
・極限脱出アドベンチャー
・マルチ視点ザッピングノベル
・恋愛アドベンチャー(?)
・ステルスアクションホラー
それぞれ同じ国の別々の場所を舞台としており、直接交わることはない。ただ、各ルートの中で別ルートのお話が漏れ聞こえてくることがあり、「推理アドベンチャー」ルートのあとに「ステルスアクションホラー」ルートをやるとお話の理解が深まるといった仕掛けが用意されていた。
プレイしている最中にも「むむ、これはあのときの…」「それ知ってる!」といった情報がちらほら見受けられたのはおもしろい。別ルートの体験がプレイヤーにとって知見となり、「これは重要な情報だな」と印象付け、物語の理解度を深めていく。
そこから「教祖殺害事件」の真相を考察し、怪しいのは誰だ……とプレイしていると、ドンドン感情移入している自分に気付く。主人公・下辺 零は記憶喪失でなにもわからないがゆえに、プレイヤーの自己像を投影しやすいキャラクター。数々の選択のその末に見つけ出す真実は、プレイヤーごとに形が異なるものになっているのかもしれない。
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