PDFファイル右上の「AIアシスタント」ボタンは何ができる? Officeファイルもまとめて処理できる「Acrobat AIアシスタント」の使い方
2025年08月01日 09時00分更新
本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第25回はAcrobatに搭載された「AIアシスタント」の機能や使い方について解説する。
Acrobatに搭載された「AIアシスタント」ボタンを押してみよう
生成AIはChatGPTやGeminiのような単独のサービスとして利用されるだけでなく、今後は日常的に使う無数のアプリケーションやウェブサービスに標準搭載されるようになる。AIを使っている、と意識しなくてもAIを利用した便利な機能を使うようになっていくだろう。今、電気を使っている、とかネットに接続している、などと意識せずにスマホアプリを使っているのと同じことだ。
すでに、このトレンドは始まっていて、WordやExcelにはMicrosoft 365 Copilot、EdgeブラウザにはMicrosoft Copilot in Edge、GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントにはGeminiが組み込まれている。今回は、その中から、PDF閲覧・編集ソフトのAdobe Acrobatに搭載されたAIアシスタントについて紹介しよう。
Adobeは2024年4月に生成AI機能の一般提供を開始し、2025年2月に「Acrobat AI アシスタント」の日本語版を正式リリースしている。AcrobatとAcrobat Readerのデスクトップ版、webアプリ、モバイル版アプリ、ブラウザ拡張機能で利用できる。AIをビジネス利用する場合、情報の扱いが気になるところだが、入出力データは学習に使われない設計になっているので安心だ。
使い方は簡単。ファイルを開いた状態で、「AIアシスタント」ボタンをクリックするだけ。画面右側にチャット欄が開き、概要が表示される。質問候補が表示されているのでクリックしてもいいし、「この文書について質問」と表示されている入力フォームにプロンプトを入力してもいい。
「AIアシスタント」なら手軽に文書を要約でき、複数文書も扱える
ここでは、AdobeのプレスリリースのPDFを読み込ませてみた。「5つの最も重要なポイントの箇条書きを作成」というプロンプトを選んだところ、少し考えたあと、5つの要点をきっちり教えてくれた。それぞれの項目には引用箇所がリンクされているのでファクトチェックするのも簡単だ。基本的にPDFの中身から回答を生成するので、ハルシネーション(幻覚)を起こす可能性が低いのも特徴だ。
AIアシスタントでは文書の要約生成や質問応答、コンテンツ作成などが行える。特に、契約書に電子サインする際は、必ず中身をチェックしておくことをお勧めする。日本人だとあまり気にしない人も多いが、最近はフリーランスを契約書で詐欺にかける手口も流行っている。何か一方的に不利な条項があるのか質問しておくと安心だ。
複数文書にも対応する。最大10ファイルまでアップロードし、横断的に情報を抽出したり、比較したりできる。ファイル形式はPDF以外にもWord(.docx)、PowerPoint(.pptx)、テキストファイル(.txt、.rtf)などをサポート。自動でPDF化し、AIで分析してくれる。
最新のChatGPTやGeminiにPDFをアップロードし、同じようなことができる。しかし、PDF文書を閲覧中に何か知りたいことがあった時に、その場で質問できるのは便利だ。アプリやウィンドウを切り替えずに利用できる方が手間がかからない。
また、社内のセキュリティルールで、一般的なクラウドのチャットAI利用を禁止している企業も多い。そんな時も、すでに導入済みのAcrobatであれば、安全にAIを活用する手段の一つとして、利用しやすいということもあるだろう。
気になる価格だが、Acrobat Readerの無償版や各Acrobat製品でも、無料で「AIアシスタント」を試すことは可能。ただし、利用機能は主要機能の一部だ。それ以上利用するなら、追加のサブスクリプションを契約する必要がある。料金は月額680円(年払い)、月額980円(月払い)。まずは、手持ちの文書をアップロードして、要約精度を試してみることをお勧めする。
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日本の生成AI活用率が3倍になるものの依然世界では低水準
7月8日、総務省は、令和7年「情報通信に関する現状報告」(令和7年版情報通信白書)を公表。何らかの生成AIサービスを使っているかどうかの調査結果がアップデートされていた。2023年度調査では9.1%だったが、2024年度調査では26.7%となり、大幅に増加した。20代に限れば44.7%に達し、若年層が牽引している。しかし、増加はしたものの、とても低い水準であることは変わりがない。米国は46.3%から68.8%、ドイツは34.6%から59.2%、中国は56.3%からなんと81.2%へ上昇し、世界中で生成AIが活用されるようになった。
日本のAI未利用者が挙げる理由は「必要ない」「使い方がわからない」「魅力的なサービスがない」などであり、依然として利用障壁が存在する。調べものや要約・翻訳への利用意向は高く、前回調査と同様の傾向が確認された。AI活用で出遅れたら、企業もビジネスパーソンも淘汰されることは必至なのでAI活用は絶対に必要。ChatGPTでもGeminiでもいいので、まずは触ってみるところから始めてほしい。
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