週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

動画作成が思いのまま! Midjourneyの動画生成AIモデル「V1」でプロモーション動画を作ってみた

2025年07月22日 11時30分更新

 本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第22回はMidjourneyの動画生成AIモデル「V1」でプロモーション動画を作成する方法について解説する。

Midjourneyが待望の「V1 Video Model」を正式リリース

 2025年6月18日、画像生成AIの世界で不動の地位を築いてきたMidjourneyが、待望のAI動画生成モデル「V1 Video Model」を正式にリリースした。美的センスと高品質な画像生成能力で知られるMidjourneyが、動画生成の分野に参入したことで、AI動画市場に大きなインパクトを与えている。

 V1は、初のバージョンながら、Midjourneyらしい美しさと使いやすさを兼ね備えている。CEOのDavid Holz氏は、V1は単なる新機能ではなく、同社が最終目標として掲げる「リアルタイムのオープンワールド・シミュレーション」を実現するための構成要素の一つとして位置づけているという。

Midjourneyから「V1 Video Model」がリリースされた

 Midjourneyらしく、「Image-to-Video(画像から動画へ)」がメインとなっている。起点となる画像をアップロードし、そこに動きを付けるのだ。初回は5秒の動画を生成し、その後4回まで4秒の延長が可能。最大21秒の動画を生成できるというわけだ。しかも、1回の処理で4つの動画を生成し、いい感じの出力を選べるのが嬉しいところ。

1回の指示で4つの動画が生成される

 現在はDiscordではなく、Webインターフェースから利用できる。日本語のプロンプトも利用できるし、一般的な映像であれば破綻も少ない。人物の写真をアップロードして、動かすことも可能だ。

 フェルトの花畑を飛ぶガラスの蜂や海で暴れる金属のクラーケン、巨大な雀に乗ってヨーロッパの上空を飛び回る少女、微笑する美女など大量の動画を生成してみたが、簡単にクオリティの高い動画が生成できるのはとても楽しい。

プロモーション動画を作ってみた

 そこで、次はビジネスシーンで使える動画にチャレンジしてみよう。今回は、「海底熟成ウイスキー」という製品のプロモーション動画を作ってみた。

 まずは起点となる製品写真をアップロードし、いい感じのCMにしてもらう。ボトルとグラスが回転し、ゆっくりとブランドロゴが現れるように指示してみた。設定画面では、動きの強弱を選択できるので、ここでは「High」にしてみた。

 生成速度を「Turbo」や「Fast」にすると、すぐに生成してくれる。しかし、これはプランごとに付与された生成時間を消費してしまう。「Pro」プラン以上であれば、「Relax」を選択することで、生成速度は遅くなるが生成時間を消費しなくなる。つまり、無制限に生成できるのだ。

画像をアップロードし、プロンプトを入力する

 しばらく待つと、4つの動画が生成される。マウスカーソルを合わせると、4つの動画が同時にプレビュー再生されるのが壮観だ。サムネイルをクリックすると大きく表示される。

 どれも指示した通りにボトルとグラスが回転し、ロゴが現れた。回転しているのに製品画像が破綻していないのは○。しかし、スペルミスがあったり、ロゴが2つ登場したりと生成AIっぽいミスもある。さらには書いていないのに、液面が揺れていた。これはボトルとグラスが回転すると指示したためだ。きちんと物理現象を反映しているのが凄い。

 実際、カメラの視点を動かすようにプロンプトを修正すると、液面の動きはなくなった。意図通りの動画が生成できたら、右上の矢印アイコンからダウンロードできる。ファイル形式はMP4で、解像度は1080pと高かった。この動画はGIFアニメに変換し、販売サイトをリニューアルする時に実際に使おうと思う。

海底に沈むウイスキーボトルのイメージ動画もこの通り

 次は、元画像からMidjourneyで生成し、イメージ動画を作ってみた。海上の画像を生成したら「Animate Image」メニューから動画を生成する。AIが動画の内容を見て、それっぽく続けるオートモードと、プロンプトで動きを指示するマニュアルモードが用意されている。基本的には、プロンプトを使う方が狙った動画になる。

 動画が生成されたら、延長してみよう。4つの出力から続きを生成したい動画を選び、「Extend Video」のマニュアルモードで動きを指示すると、4秒間の動画が追加される。

 これを繰り返して、脳内にあるイメージを動画として仕立て上げていくのだ。明確に作りたい映像があり、プロンプトでがちがちに指示すると意図しない動画になる可能性が高まる。色々なプロンプトでたくさん生成し、いい動画が出るまでガチャを繰り返し引くという作業が必要になるだろう。

 20~30回、動画を作成したり延長したりして、百数十本を生成。最終的に、海上の画像を元にして、カメラが海に沈み、マンタが泳ぐ横を海底に潜り、ウイスキーの瓶を見つけるという、5秒プラス、4秒を3回追加した17秒の動画ができた。

画像を生成したら「Animate Image」で動画を生成

「Extend Video」で動画を延長する

 Midjourneyの動画生成コストは格安だ。1動画のコストは8枚分の画像コストとなるという。月額10ドルのベーシックプランだと、月に動画を生成できるのは20回程度となるだろう。とはいえ、それぞれ4本ずつ生成するのでコスパは高い。しかも、月額60ドルのプロプランやそれ以上のプランであればリラックスモードが使えるので、実質無制限に動画生成できるようになる。

 まったく破綻していない長尺の動画を生成するには試行錯誤が必要になるが、無制限であれば存分に試せる。Midjourneyで動画を楽しむなら、プロププランの契約が必要になるだろう。消費税込みで約1万円/月は安くはないが、その分とても楽しいので、まずは1ヵ月だけでも試してみることをお勧めする。

AIで何とかしたい業務を大募集!

「簡単すぎて驚く生成AIの使い方」で取り上げてほしいAIの使い方を大募集。「この作業をAIで時短したい」「こういうことがしたいけどプロンプトはどう書けばいい?」など、お困りのことを解決します。

AIで何とかしたい業務を大募集!

応募はハッシュタグ「 #ASCIIAI連載ネタ 」を付けてXでポストするだけ。ハッシュタグ「 #ASCIIAI連載ネタ 」がついたポストは編集部で随時チェックし、連載記事で取り上げます。高度な内容である必要はないのでお気軽にどんどんポストしてください。

注目の最新AIニュース

Anthropic、AIアプリの試作を「会話」で実現。Claude「Artifacts」機能強化

AnthropicがClaudeのArtifacts機能を強化したと発表した。AIを搭載したアプリケーションのプロトタイプを簡単に作成できるのが特徴だ。これまでは専門的なプログラミング知識や複雑な開発環境を必要としたAIアプリ開発の初期段階を、Claudeとの自然な対話を通じて実行できるようになる。新しいArtifacts機能では、APIキーの管理やサーバーの設定といった技術的なハードルがない。「○○ができるツールを作って」と指示するだけで、あっという間に動作するアーティファクト(アプリケーションの雛形)が生成される。

作成したアーティファクトは他のユーザーと共有できるのもポイント。共有された側がそれを改変しても、元のバージョンには影響せず、新たなコピーとして保存されるようになっている。他の人のアイデアをベースに、気兼ねなく独自の実験や機能追加を行えるのは楽しい。Anthropic社は、この機能はあくまでアイデア検証のためのプロトタイピング用だと位置付けている。実用レベルの堅牢なアプリケーションを運用するには、従来通りの開発プロセスが必要となるが、誰もが直感的にAI開発の第一歩を踏み出せるようになったことの意義は大きいと言える。

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事