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製品情報からプレスリリースを生成AIで作成し、短縮した時間をブラッシュアップに使おう

2025年04月04日 09時00分更新

 本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第12回は製品情報からプレスリリースを生成し、さらにブラッシュアップするためにWordで編集できるようにする方法について解説する。

手間のかかるプレスリリースのベースをサクッと作成

 プレスリリースは新製品の発表やサービスの開始、組織変更など、企業からメディアや顧客へ重要な情報を伝える公式文書として、その重要性が年々高まっている。しかし、プレスリリースの作成は手間がかかり、担当者の負担は大きい。

 プレスリリースは通常、製品開発やサービス準備が佳境を迎える中で作成されることが多く、担当者は限られた時間内に完璧な文書を仕上げねばならないからだ。また、プレスリリースには特有の形式や表現があり、適切な文章を書くスキルが必要になる。見出しの付け方、リード文の構成、引用の挿入方法など、一定のフォーマットに従いながらも、自社や製品の魅力を最大限に伝える表現力が求められるのだ。

 さらに、メディアに取り上げられるためには、ニュース価値のある情報を簡潔かつ魅力的に伝える必要がある。技術的な詳細や業界特有の専門用語を、一般の読者にも理解しやすい言葉に置き換えるのは知識がないと難しい。加えて、グローバル展開を行う企業では、複数言語でのプレスリリース作成も課題となっている。

 そこで、活躍するのが生成AIだ。プレスリリース作成のドラフトを数分で作成でき、担当者はより高度な編集や戦略的な内容の検討に時間を割くことができる。複数の表現パターンを短時間で生成できるため、より効果的な表現の選択肢が広がる。

 とはいえ、「プレスリリースを書いて」といったプロンプトではビジネスで使える文書は生成できない。必要な情報を適切に指示することで、一貫性のある構造と表現を持つプレスリリースが作れるのだ。

 生成AIでプレスリリースを作成する際は、「製品情報」に加え、「プレスリリースの書き方」を指示する必要がある。プロンプトに構成のテンプレを入れてもいいのだが、文書にまとめておいて、生成AIにアップロードするほうが手間がかからない。製品情報は企画や製造の担当からもらったものをそのまま使えばいい。

製品情報はもらった情報をそのままアップロードしてOK

 プレスリリースの書き方は既存の文書があるならそれを使えばいい。ないのであれば、作る必要があるが、これもChatGPTに作ってもらってOK。その後、内容を取捨選択し、自社独自の要素を追加すればいい。

 例えば、タイトルは選びたいので3つ出して、と指示してもいいし、リード文に入れ込む社長の名前、金額表記、会社情報、問い合わせ先といった情報をいれ込んでおくと、後で修正する手間が省ける。

プレスリリースの作り方を指示する

自社独自の情報も追記しておく

 2つのファイルをドラッグ&ドロップし、プロンプトは「書き方を参考に新製品のリリースを作成してください。掲載できそうな要素はすべて入れて、詳細で具体的に書いてください」とだけ入れればいいだろう。要素をすべて入れ、とあえて指示したのは多めに書いてもらい、削除するほうが楽だからだ。

書き方と製品情報のファイルをアップロードし、リリースを作成させる

【メインタイトル案】
①【新発売】スマホからノートPCまで急速充電、20000mAh・320gの軽量モバイルバッテリー「トゥールビヨンA2025」発売
②【20000mAhで320g】USB-C PD30W搭載、パススルー充電可能な「トゥールビヨンA2025」登場
③【急速充電30分で50%】大容量20000mAhながら重量わずか320gのモバイルバッテリー「トゥールビヨンA2025」新発売

【サブタイトル】
USB-C急速充電・パススルー対応・自動電流最適化機能で外出先でも安心

【リード文】
株式会社トゥールビヨン(代表取締役 社長執行役員 CEO:柳谷智宣、本社所在地:東京都町田市)は、大容量20000mAhを備えながら約320gの軽量設計を実現したモバイルバッテリー「トゥールビヨンA2025」を2025年4月15日(火)より、トゥールビヨンドットコム(ECサイト)にて発売いたします。USB-Cポート搭載で30Wの高速充電に対応し、スマートフォンを約30分で50%充電可能な高機能モデルです。

【メインビジュアル画像】
※ここに製品画像を挿入

【本文】
「トゥールビヨンA2025」は、スマートフォンからノートPCまで、あらゆるデバイスを快適に充電可能な次世代モバイルバッテリーです。大容量ながら毎日の持ち運びを考えた軽量・コンパクト設計が特徴。最新のUSB-C Power Delivery(最大30W)とQuick Charge 3.0対応のUSB-Aポートを備え、急速かつ効率的な充電を可能にします。

【主な特長】
●大容量20000mAh、スマホを約4回、タブレットを約2回フル充電可能
●重量はわずか320gの軽量コンパクトボディ
●最大30WのUSB-C PD搭載、最新のiPhoneを約30分で50%以上充電
●スマートパススルー充電対応、本体充電とデバイス給電を同時に実現
●自動電流最適化機能で、接続デバイスに最適な充電環境を自動調整

~略

生成されたベースをWord文書にして編集してクオリティアップ

 もちろん、出力は人の手でブラッシュアップする必要があるので、Wordファイルを作成させてもいい。PDFを作ることもできるが、編集するならWordがお勧めだ。

「Wordにしてください」でWordファイルをダウンロードできる

 今回は、モバイルバッテリーの新製品という想定で製品情報を創作し、プレスリリースを作らせてみた。製品名や社長名などはばっちり入っているうえ、キャッチコピーもリード文も問題なく生成できている。

 製品の概要や特徴、スペック表もきちんと網羅され、転記ミスもなし。人間よりもクオリティが高いくらいだ。今回の出力にはなかったが、リリースを生成していると、勝手に「顧客の声」といった創作をしてくることがある。不要であれば削除すればいいし、絶対に入れたくないなら文書で指定すればいい。

 生成AIを活用するコツは、利用する度に気になるポイントを次のプロンプトもしくはアップロードするファイルに反映させること。秘伝のたれのようにAIに渡すテキストを作りこんでほしい。

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