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シグマの「BF」はシンプルでカッコいいだけでなく猫撮りにもいいし、心なしか猫の表情もいい

「90mm F2.8」のレンズをつけて、顎を撫でながら片手取り。めっちゃ気持ちよさそう。2025年3月 シグマ BF

 この春、一番ホットなカメラといえばシグマの「BF」。なんとボディはアルミ削り出しで、冬に素手で持つとひんやり冷たいという、ホットだけどクールなカメラだ。

 それ、モックアップですか? と聞かれるくらいシンプルで、文字表示も「SIGMA」と「BF」という以外は何もない。

「90mm F2.8 DG」を装着したシグマ「BF」。徹底的にそぎ落としたアルミ削り出しボディはシンプルでカッコいい。

 とことんピュアなカメラで、ファインダーもアクセサリシューもメディアスロットもない。そして、とことんそぎ落としたモノのみが持つ美しさがあるのである。

 この連載は、カメラの美しさをたたえたり、スペックや機能をどうこう言ったりするものじゃない。大事なのは、それで猫を撮れるか、だ。

 そして、使ってみると、猫撮りに不必要な機能はすべて省きました、というカメラと言っても過言ではないのだった(いや過言だけど)。

 記事執筆用のBFが届いて、まず、うちの猫で試し撮りすると、大あくびをした瞬間をさくっと撮ってくれたのである。これはいい。しかも、大きめのシャッターボタンを押したときの感触が、すごく軽くて気持ちいい。

「50mm F2 DG」を装着して撮ったうちの黒猫ミル。あくびをした瞬間をうまく捉えてくれた。この歯でよく甘噛みするので痛い。2025年3月 シグマ BF

 撮影モードダイヤルがないなど操作系もすごく独特なので、コツをつかむにはちょっと手間取るかもしれないけど、わかっちゃえば話は簡単。

 シャッタースピードと絞りをマニュアルにして(Iシリーズのレンズをつければ、絞りはレンズ側で、シャッタースピードはボディのダイヤルで調整)、ISO感度はオートにして、動物優先AFを使えばOK。ボディ内手ブレ補正はないので、シャッタースピードを速めにセットするのが大事。

 こんなふうに、猫の瞳もちゃんと捉えてくれる。

ぐぐっと寄って撮影中。瞳を捉えているのがわかる。背面の操作系にも文字はないけど、シンプルなのでわかっちゃえば迷わない。

 装着したレンズは猫撮りに超おすすめの「90mm F2.8 DG」。うちの黒猫は50mmで撮ったけど、ほかの猫はみな90mmだ。程良い距離感で姿形をきれいに撮れる焦点距離なのだ。ポートレート向きだけど、ポートレート向きレンズは猫にもいいのである。

 冒頭の1枚は、右手にカメラを持ち、左手で猫の顎を撫でながら撮ったもの。実に気持ちよさそうである。

 次は、きょとんとした正面顔。カラーモードは「T&O」(ティール&オレンジ)。このT&Oがけっこう好きなので、つい使ってしまう。

キジトラやチャトラを撮るときは「T&O」がいい。このレンズ、キリッと撮れるし背景のボケも柔らかいしで、猫撮りにおすすめ。2025年3月 シグマ BF

 この日は、正面からの顔をけっこう撮ったので、正面顔シリーズいきます。

 このキジトラはまだあまり人に慣れてなくて、さっきのキジシロと比べると、にらみ顔に力が入ってるのだった。こちらもT&Oで。

キジトラさんに、にらまれてしまったの図。2025年3月 シグマ BF

 保護猫シェルターにはさまざまな保護猫が保護されてくるので、人に慣れている猫も人が大好きな猫もいれば、人が怖いという猫もいる。そこが普通の猫カフェと違うところ。

 そして、次のキジシロはまだ人に慣れておらず、ふとカメラを向けたらシャーッと威嚇されたのだった。レンズを向けたとたん威嚇されたので、とっさにシャッターを切ったのがこれ。

慌てて撮ったので、フォーカスが瞳じゃなくて鼻にきちゃったけど、決定的瞬間を逃さないのだ。2025年3月 シグマ BF

 余談だけど、この猫、人は怖がるけど、掻いてもらうのは好きだそうで、「使ってみますか?」と渡されたのが伸縮式の孫の手。

 1ヵ月前にiPhoneで撮ったものだけど……これをそっと差し出すと威嚇することもなく、気持ちよさそうに撫でられてくれるのだった。面白いもんである。

人は怖がるけど、遠くから孫の手で掻いてあげると、このようにおとなしく気持ちよさそうになるのであった。2025年2月 アップル iPhone 16 Pro

 話は戻って、シグマBF。カラーモードで楽しんだ猫写真を2枚いこう。

 ひとつはモノクロ。ケージに入っていた黒猫。ちょうど西の窓から日差しが入る時間帯で、黒猫にケージの影がくっきりと出ていたのである。その格子状の影をはっきり見せようと、モノクロで撮ってみた。

ケージの影を生かすべく、モノクロで撮った黒猫。シマシマ。2025年3月 シグマ BF

 最後は、とあるお寺の猫。もう年寄りでヨレヨレなんだけど、人懐こくて、ときどき参拝客らの真ん中にひょっこり出てきて、撫でられたり膝に乗ったりしている。

 その猫が、ひょっこり出てきてベンチの上にちょんと飛び乗ったので、カラーモード「パウダーブルー」で明るく爽やかにしてみた。

お寺のヨレヨレ猫。「パウダーブルー」だと明るくクールに撮れるのだ。かなりミニマムなので万人向けではないけれども。2025年3月 シグマ BF

 ソリッドで斬新なデザインと、ミニマムなコンセプトが話題のシグマBFだけれども、使ってみると、猫撮りに必要な機能はちゃんとあり、なかなかいいのである。

 そして、なぜだかわからないけど、心なしか猫の表情もいいのである。最近、似たようなカメラばかりとお嘆きの方、一度これを触ってみると「ああ、まだこんなカメラを創造してくれる会社があるんだ」とうれしくなると思う。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

 
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