日本人じゃなくても習字で漢字が書ける!
コノキューが仕掛けるXRの未来
XR(VR、AR、MR)に関するサービスやテクノロジーを取り扱うNTT QONOQとNTT コノキューデバイス。MWC Barcelona 2025のドコモブース内で、XRグラス「MiRZA」を使って習字を教えるというデモンストレーションを行なっていた。書いたものはキーボルダーにしてもらえるというお楽しみもあり、さらに習字という日本独自の文化を体験できるだけあって、さまざまな国籍の来場者が楽しんでいた。
昨年もドコモブースでデモンストレーションを行なっていたコノキュー。あれから1年経って、MiRZAの初号機が発売され、XRはどのように進化したのか、そして今回展示されていたコマーシャルプロトタイプ(商用試作品)について、NTTコノキュー 代表取締役社長 丸山誠治氏に聞いた。
──この1年で変化のあったことを教えてください。
丸山誠治社長(以下、丸山氏) まず、MiRZAの初号機が発売されまして、開発が順調に進んでおります。開発会社の方々に購入いただいて、みなさんからのフィードバックを活かした製品改良で、今回のコマーシャルプロトタイプが完成しました。あと、やはりこの1年で弊社だけでなく他社の同様の製品も売れているみたいですし、AR市場の成長と注目度の高まりを感じています。
──それではコマーシャルプロトタイプの特徴を教えてください。
丸山氏 まずは大幅な軽量化でしょうか。前モデルは100g以上あったので、メガネにしてはちょっと重かったのですが、この2号機は約60gと一般的なメガネに近い重量になっています。このように軽量化しつつ、駆動時間は前モデルより伸びました。デザインもウェリントン型のグラス形状を採用することで、より一般的なメガネと区別がつきにくくなっています。発売は今年の夏以降を予定しています。
Ray-Ban Metaの成功で業界が活性化
売れるとイノベーション速度も早まる
──先ほど見せていただきましたが、カラバリも含めかなり普通のメガネに近づいたと思いました。これで度を入れれば、日常生活でMiRZAを付けて過ごすのもまったく問題なさそうです。この業界はかなり賑やかになっていると思いますが、最近のXRの市場動向をどうお考えですか?
丸山 メタ社の「Ray-Ban Meta」が成功したことで、業界全体が活性化したように思います。業界的には突破口になってまして、おそらく200万台くらい売れてるんじゃないか? って言われています。そのおかげでベンダーさんとかパーツ屋さんとかも来てくれましたし。売れるとそれだけいろんなデータが集まってきて、イノベーションのスピードが加速するようになるんですね。
──今後の展開を教えてください。
丸山 今までどおり、法人向けソリューションの開発に注力していきます。もちろんエンドユーザーに向けた開発もありますが、XR技術の進化と市場の成長に合わせて、製品ラインナップの拡充と用途開発を進めていく方針です。たとえば、遠隔支援や産業用途での活用は非常に期待されています。今回の習字のデモも、日本人は当たり前に漢字がかけますけど、それ以外の方たちは遠隔支援によって漢字をかけるようになる。だから何か問題が発生して専門家でない人が現地で修復作業とかやらないといけない場合でも、遠隔で教えてもらって知識がなくても修理できるようになるんです。これなら「トラブルが発生したけど、現場に専門家がいない!」なんて状況でもなんとかできます。
──たしかに今回のMiRZAのデモは、書道体験を通じて海外の方に日本文化の紹介と、XRグラスの実用性をアピールできていますね。
丸山 法人向けソリューションって、1~2年は普通に開発時間がかかかるので、しっかり向き合いながらやっていきたいと思います。
──ありがとうございました。
お話を聞いたのはMWC初日の午前中だったので、書道デモに関する反応はまだ不明という状態だったが、多くの来場者が楽しそうに一生懸命漢字を書いていたのを筆者は見ている。きっとこういったデバイスの有用性を、書道を通じて感じただろう。
日本では夏くらいに新製品もリリースされるとのことで、そちらも取材していく予定だ。
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