本連載は生成AIをこれから活用しようとしている方たちのために、生成AIの基本やコピペしてそのまま使えるプロンプトなどを紹介。兎にも角にも生成AIに触り始めることで、AIに対する理解を深め、AIスキルを身に着けて欲しい。第9回は新規顧客獲得に重要な提案書を生成AIで作成する方法について解説する。
顧客に合わせた提案書の作成は生成AIが大活躍
新規顧客を開拓する際、提案書を作成する必要がある。その際は、顧客の業種や企業規模、さらには抱える課題に合わせたカスタマイズが求められる。これまでは、各案件ごとに個別対応しており、資料の構成、文章表現、数値データの提示など、多岐にわたる作業を手作業で行うしかなかった。その結果、営業担当者は限られた時間内で複数の案件に対応することが難しく、優先順位の判断に迷うこともある。
さらに、作成した提案書の品質や統一感にばらつきが生じやすく、社内でのレビューやフィードバックの工程が重なることで、最終的に利用できるようになるまで余計な工数がかかる場合もある。こんな課題もChatGPTを使えば改善できるのだ。
生成AIは特定の業界特有の専門用語や事例を踏まえた文章を生成するのが得意だ。顧客の業種や直面する課題、過去の取引実績などの情報を入力することで、個別案件に最適化された文章を出力できる。
たとえば、ある営業担当者が大手部品メーカーへの提案書作成に取り組むケースを想定してみよう。まずは、提案先の企業や業界の情報を入手しよう。もちろん、これも生成AIで対応できる。ChatGPTやGeminiはウェブ検索機能も備えているので、そのまま質問すればいい。なお、生成AI御三家のもう一つClaudeは今のところウェブ検索機能を備えていない。
■プロンプト
角川アスキー総合研究所のアスキー編集部に営業に行きます。業界について、企業について包括的な調査を行ってください。
次に、新規取引先への提案書の構成案を考える。会社でフォーマットが決まっているならそれを使えばいいし、ないならChatGPTに聞いてみよう。
■プロンプト
新規取引先への提案書のプレゼン資料を作成するので、ページの構成案を具体的に作ってください。
最後に、準備した情報を全部入れ込み、提案書を生成してもらおう。構成案と提案先情報、商材の情報を貼り付け、説得力とリアリティのある資料を作成するように指示すればいい。
すると、あっという間に12枚のスライドの内容が生成された。構成案に従って、商材の内容も入れ込みつつ、箇条書きの内容が過不足なく網羅されている。きちんと、提案先の業界動向や想定される課題なども入っている。
たたき台として十分というか、もうほぼ使える内容になっている。「国内企業のDX導入率」や「成功事例・実績」などの詳細データは追加するように指示されているので、従えばいい。0→1のたたき台があるので、資料作成にかかるトータルの作業時間は大幅に削減できるだろう。
■プロンプト
###構成案に従って、###提案先情報を参考にして、###商材の提案書を作成してください。日本のビジネスシーンに合わせたリアリティのある内容で、特になぜ、先方にこの商材が必要なのかを説得力あるように書いてください。必要な統計データや調査結果が必要な場合は、提案書に入れ込んでおき、私が後で調査できるように注釈を入れておいてください。
###構成案
※生成した構成案を貼り付ける
###商材
※提案する商材の情報を貼り付ける
###提案先情報
※調査した業界、企業情報を貼り付ける
さらに説得力を高める推論モデル「o1」
ChatGPTの無料プランで利用できるAIモデルでは、各スライドは箇条書きがメインで、具体的にどんな内容なのかわからない、という人もいるかもしれない。もっと詳細な資料が欲しかったり、トークスクリプトを作るヒントが欲しいというなら、有料のPlusプランで利用できる「o1」モデルを利用してみよう。推論能力の高いAIモデルで、生成に数分かかるものの、ユーザーが望む出力を返してくれる可能性が高くなるのだ。
実際にChatGPT o1に同じプロンプトを入力したところ、スライドは同じく12枚だが、さらに詳細な内容を生成してくれた。情報量が多すぎるようにも感じるが、説得力は格段に上がっている。これなら、少ない手間で、良い提案書が作れることだろう。
以上のように、提案書作成において求められるのは、顧客ごとに異なるニーズや課題に対応した柔軟な文章生成と、迅速なアウトプットとなる。ChatGPTは、幅広い業界知識を持っているため、専門性の高い内容にも対応でき、営業担当者が頭を悩ませる専門用語や業界特有の事例を自然な文章に落とし込むことができる。
従来の定型文作成ツールでは、画一的な文章しか生成できなかったが、ChatGPTは対話形式で担当者の要求を細かく反映しながら、段階的に文章を改善していける。フィードバックと修正のプロセスを高速回転できるのも大きなメリットといえる。
さらに、ChatGPTは複数のバリエーションを提示できるため、担当者はその中から最も適切な表現や構成を選択することができ、結果として提案書全体のクオリティが向上する。加えて、時間や労力の面でも、従来の手作業に比べ大幅な工数削減が実現できるため、担当者はより戦略的な業務に集中し、より付加価値を生み出すことができるようになるだろう。
もはや、あまり考える必要のない作業はAIの方がはるかにうまくさばいてくれるので、使わない手はない。まずは、コピペでいいのでプロンプトをChatGPTに入れてみて、出力を見てほしい。
AIで何とかしたい業務を大募集!
「簡単すぎて驚く生成AIの使い方」で取り上げてほしいAIの使い方を大募集。「この作業をAIで時短したい」「こういうことがしたいけどプロンプトはどう書けばいい?」など、お困りのことを解決します。
応募はハッシュタグ「 #ASCIIAI連載ネタ 」を付けてXでポストするだけ。ハッシュタグ「 #ASCIIAI連載ネタ 」がついたポストは編集部で随時チェックし、連載記事で取り上げます。高度な内容である必要はないのでお気軽にどんどんポストしてください。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります