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サムスンディスプレイ製パネル採用ウルトラワイド「JN-QOLC49G144DQ-HSC9L」の魅力に迫る

サムスンディスプレイ製QD-OLEDパネルは何がスゴイ? ポイントは白なしRGBのみで色を再現している点

2025年02月08日 11時00分更新

JAPANNEXTの49型ウルトラワイドディスプレー「JN-QOLC49G144DQ-HSC9L」

 JAPANNEXTは、量子ドットテクノロジー採用の有機ELパネル(以下、QD-OLED)を用いた49型ウルトラワイドディスプレー「JN-QOLC49G144DQ-HSC9L」を発売した。同社によると、このモデルはサムスンディスプレイ製有機ELパネルを採用しているとのことなのだが、どういった特徴があるのだろうか。そこで、日本サムスンの金 相勲(キム サンフン)氏、高橋一揮氏、そして小此木勇太氏、山本真明氏に話を伺った。

写真左から順に日本サムスンの高橋一揮氏、山本真明氏、小此木勇太氏、金 相勲氏。JAPANNEXTのオフィスでインタビューを実施した

JN-QOLC49G144DQ-HSC9Lは、サムスンディスプレイ製で量子ドットテクノロジー採用の有機ELパネル(QD-OLED)を採用している

ゲーミング分野でJAPANNEXTと協力
かなり難しい技術を採用したQD-OLED

──今日はよろしくお願いします。まずは、御社とJAPANNEXTの関係性について教えていただけますか?

小此木勇太氏(以下、小此木氏):まず、サムスンディスプレイの事業部について説明させていただくと、取り扱う製品サイズによって、大型事業部と中小型事業部の、大きく2つの事業部に分かれています。中小型事業部が、スマートフォンやタブレットなどの小さいサイズの有機ELディスプレーを手掛けていまして、今回のQD-OLEDはモニターサイズということで、大型事業部の管轄となっています。大型事業部では、今回のモニター向けのほかに、テレビ向けの製品も扱っています。そして、昨今ハイエンドモニター市場の拡大が顕著なこともあり、大型事業部では現在モニター向け、その中でもゲーミングモニター向けビジネスに注力しています。今回のQD-OLEDとは直接関係ないのですが、サムスングループとして東京ゲームショウ2024に出展した際、JAPANNEXTさんのモニターを使わせていただきました。そのほか、JAPANNEXTさんのモバイルディスプレーにはサムスンディスプレイ製有機ELパネルを採用していただいているということもあり、両者は良好な関係を築けていると思っています。

QD-OLEDではモニター向け、とくにゲーミング向けモデルに注力している話す小此木氏

──御社のQD-OLEDの取り組みについて教えていただけますか?

高橋一揮氏(以下、高橋氏):弊社は2022年ごろからQD-OLED製品を手掛けています。2023年から34型のQHD+や49型のDQHDといった製品を量産していまして、2024年には27型のQHDや31.5型のUHDをワールドワイドのお客様に販売している状況です。今年(2025年)は、新たに27型のUHD製品をこれから発売する予定です。PPIが技術的にも高解像度に対応でき、そういった製品も増えてきていまして、ゲーミングモニターという観点では高リフレッシュレートのモデル、UHDですと240Hz、QHDですと2025年では500Hzまで対応できる製品を準備しています。さらに、QD-OLEDとしては、材料における技術的進化に取り組んでいまして、2022年から3代目となる新しい材料を用いた製品が今年中から出てくると形です。今年は27型のUHDで160ppiを発売する予定なのですが、将来的にはさらに高解像度化を進める形で、2028年ごろには220ppiの製品をプランニングしています。

金 相勲氏(以下、金氏):QD-OLEDは、QD層(量子ドット層)をインクジェット方式で製造します。高解像度化のために、インクジェット技術は非常に重要であり、同時に非常に難しい工程です。極小の的に目がけてインクを滴下するその精度は、人間大で例えると、約2500万のバスケットゴールすべてに1つあたり3~6発のシュートを成功させるような精度に匹敵します。それを連続で、しかも高速で行ない続けるわけですから、想像もつかない難しさであることがわかると思います。

※UHDの画素が3840×2160、1画素あたりのピクセル数は3つ、つまり3840×2160×3で25000000ピクセルに対して3~6滴のインクを滴下することになる

山本氏:弊社のQD-OLEDは、各Sub pixelにQD材料などを動かしながら入れていく難しい技術を実現したディスプレーといえます。

高橋氏によると2025年には27型のUHDモデルも予定しているとのこと

──新しい材料という話が出てきましたが、どのような恩恵があるのでしょうか?

高橋氏:弊社では、この新しい材料を”2025 New EL”と呼んでおりまして、より高効率な新しい有機EL材料となります。弊社が今年発売するUHDの27型モデルは、この材料を使うことで、HDRの高解像度を実現しています。有機ELパネル向けの規格として、VESAさんが策定する「DisplayHDR True Black」があり、この27型モデルも対応しています。2026年以降には、Trune Black 500に対応したモデルの開発も計画しています。あとは新しい材料を使うことによってパネルの長寿命化も実現します。こういった高解像度化と長寿命化が、新しい材料によってもたらされる恩恵といっていいでしょう。

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