NVIDIAがRTX 5070とRTX 4090は同性能と主張する理由はここにある
RTX 50シリーズのDLSS 4でフレームレートが爆増!? マルチフレーム生成と従来DLSSの強化を解説
2025年01月21日 10時00分更新
DLSS MFGは発売時点で75本のゲームやアプリで使える
DLSS MFGはFGと同様、ゲーム側の対応が必要な機能だが、設定は「NVIDIA App」でタイトルごとに設定を行う。ゲーム側では、同機能を有効にするだけだ。DLSS FG対応タイトルであれば、軽微な修正でDLSS MFGも利用できるように設計されていると考えられる。
なお、NVIDIAはRTX 50の発売日時点では、少なくとも75本のゲームやアプリが対応すると表明している。これは、DLSS MFGとFGの互換性がかなり高いことを示唆している。
【2025年1月22日追記】:DLSS MFGを利用するためには、まず大前提としてゲーム側がDLSS FG(DLSS 3)に対応している必要がある。NVIDIAによれば、NVIDIA Appでの“オーバーライド”はゲーム側が利用するDLSSのDLLに介入し、NVIDIA Appが持つDLLに置換してしまうことだ。
すなわち、DLSS FGに対応していれば、「原則として」DLSS MFGは動くことになる。このやり方でも正しくDLSS MFGで処理できると確認できているのが、「対応ゲームやアプリがDay 0で75本」という記述の真意のようだ。
つまり、DLSS MFGの対応リストに入っていないゲームでも、RTX 50シリーズを使えば、フレームレートがさらに伸びる可能性はある。この設定のオーバーライドは、RTX 50シリーズ発売後のドライバーに含まれるNVIDIA Appでアンロックされれば、ゲーム側で利用できるようになるという仕組みになっている。
ただし、DLLの処理に介入するということは、eSports性の強いゲームでは“チート行為”と見なされかねない。そのため、NVIDIAはゲーム開発側と連携して実装しているという(報告・連絡・相談は大事なのである)。
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NVIDIA AppでDLSS MFGを効かせたいゲームの設定を開き、そこで「DLSS Frame Generation Override」の項目を変更する。「x4」なら元のフレームレートの4倍、つまり、中間フレームが3つ生成されるという意味になる。「Use the 3D application……」という設定なら、これまでのDLSS FGと同じ挙動になる
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DLSS MFGに対応するゲームやアプリは発売時点(Day 0)で75本とNVIDIAは公表している。DLSS FGも立ち上がりは相当難産だったが、DLSS MFGは買ってすぐ試せる状況を作り上げている努力は賞賛したい
DLSS 4は従来のRTXシリーズにも恩恵がある
DLSSが登場してから早6年。その間、NVIDIAはスーパーコンピューターを回し続けてDLSSに利用するAIモデルを改良し続けてきた。その結果、DLSS 4では従来のDLSSも強化された。
すなわち、DLSS FG、DLSS RR(Ray Reconstruction:レイ再構成)、DLSS SR(Super Resolutuon:超解像あるいはアップスケーラー)、DLAA(Deep Learning Anti-Aliasing:AIを利用したアンチエイリアス)に最新の学習モデルが適用される。
これらについてもNVIDIA App上でゲーム側のDLSS設定を上書き(オーバードライブ)する形になるため、ゲーム側の対応は特に必要ない。
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NVIDIAは6年にわたり、DLSSのAIを自社の誇るスーパーコンピューターを利用して学習させ続けた。DLSSの処理で生じた不完全な結果があれば、それをAIに学習させ、その結果を数百本のゲームで動かして検証。さらに、分析して学習というサイクルを6年間続けてきたのだ。電気代がどれだけかかったのか気になるところ
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新旧GeForceとDLSS技術の対応表。DLSS 4では既存のDLSS技術も“強化された(Enhanced)”。DLSS RRからEnhanced DLAAまでの3つについては、RTX 20シリーズでも利用できる。DLSS FGはその性質上、RTX 40シリーズ以降の対応であることは変わりない。ちなみに、速報や動画配信では頭に“Enhanced”が付くと報じたが、これは誤りである。というか、この表の書き方が実にまぎらわしい
DLSS 4におけるDLSSで使用される学習モデルは、DLSS登場時より使用されていたCNN(Convolution Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)からTransformerに変更された。
CNNとTransformerの詳細については本稿では解説しないが、CNNを利用したDLSSが画像を小さな領域で分析し局所的な特徴を掴んで処理する手法だ。それに対し、Transformerでは画像をより大局的に分析し特徴をより精度よく把握するという手法である。
つまり、Transformerを採用することで、画質や解像感の向上とチラつきを大きく軽減した。また、DLSS FGではVRAMの使用量も減るというメリットもあるとNVIDIAは主張している。
ただし、Transformerの採用で処理時のパラメーターは2倍、推論コストは4倍になるため、既存のRTXシリーズではパフォーマンスが出にくくなる可能性もある。このあたりは後日ベンチマークで明らかにするとしよう。
【2025年1月22日追記】:TransformerベースのDLSSについても、DLSS MFGと同様にオーバーライドすることで、DLLを強制的に入れ替えられる。つまり、これはすでにDLSSに対応しているゲームの挙動を強化するものであり、未実装のDLSSが追加されるわけではない。
すなわち、DLSS SRしか対応していないゲームにオーバーライドすれば、DLSS RRやDLSS FGに対応できる、というわけではない。このオーバーライド機能もRTX 50シリーズ発売後に、NVIDIA Appと最新ドライバーを導入することでアンロックできるようになるという。
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