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NVIDIAがRTX 5070とRTX 4090は同性能と主張する理由はここにある

RTX 50シリーズのDLSS 4でフレームレートが爆増!? マルチフレーム生成と従来DLSSの強化を解説

2025年01月21日 10時00分更新

DLSS MFGがRTX 50シリーズ専用である理由

 フレーム生成の基本的な流れは、今レンダリングした映像と1フレーム前の映像を比較し、その中間の映像を推測して生成するというもの。アニメーションの中割りのように、レンダリングしたフレームの中間の映像を作り出しているわけだ。

 NVIDIAのDLSS FGはOFA(Optical Flow Accelerator)を利用して、2つのフレームから“動かしてはいけない部分”を判別し、より破綻の少ない画像を生成する。

 Optical Flowの処理工程は、AMDのFSR 3やインテルのXeSS FGにも存在する。一方で、RTX 40シリーズのDLSS FGはOptical Flowを専用回路で処理しているという特徴がある。

RTX 50シリーズのDLSS 4でフレームレートが爆増!? マルチフレーム生成と従来DLSSの強化を解説

DLSS 3で登場したDLSS FGの処理の流れ。左のDLSS SR(アップスケーラー)で処理された画像がDLSS FGに入り、そこでAIはOFAと連携して中間のフレームを生成する。OFAのアイコンが回路っぽく描かれている点に注目

 対して、DLSS MFGは挿入するフレームを2フレームないし3フレームに増やせる。DLSS FGがフレーム1と2からフレーム1.5を生成するなら、DLSS MFGはフレーム1と2からフレーム1.25/1.5/1.75を作るイメージだ。それぞれの中間フレームごとにOptical Flowが入るわけだが、DLSS MFGではOFAよりも推測精度の高いAIを通じて処理される。

 1フレームから3フレームを生成する場合、全部で5つのAI(DLSSのアップスケール用に1つ、フレーム生成用に1つ、中間フレーム1つごとに1つずつ)が動くことになる。

 これだけAIの処理を走らせているのだから、RTX 50シリーズではAI性能がさらに重要となる。RTX 50シリーズの発表で、CUDAコアの性能向上よりもAI TOPSの向上をアピールしていたのはこのためだろう。

RTX 50シリーズのDLSS 4でフレームレートが爆増!? マルチフレーム生成と従来DLSSの強化を解説

DLSS 4におけるDLSS MFGの処理の流れ。左のDLSS SR部分は同じ(厳密には違うが、理由は後述する)だが、ここから最大3フレーム生成できる。この処理におけるOptical FlowはOFAではなくTensorコアで実行される

 DLSS MFGはAIを最大限利用する実装なので、TensorコアのあるGeForceであれば実行可能のように思える。しかし、今のところ、RTX 50シリーズのみの対応となる。ただ中間フレームを生成しただけでは快適なゲーミング体験にはならないからだ。

 GPUでレンダリングしたフレームと生成したフレームには処理時間に大きな差が生まれる。そのため、細かなカクつき、すなわちマイクロスタッターが発生する。フレームレートが増えても、それが視覚的スムーズさに反映されなくては意味がない、これがNVIDIAの主張だ。

 マイクロスタッターのない安定したフレームレート、つまりフレームペーシングをしっかり行うにはGPUとCPUの協調が必要だが、純粋なソフトウェア的アプローチには限界がある。そこで、NVIDIAはRTX 50シリーズに「Blackwell Flip Metering」なる機能を追加した。

 どんな理屈の機能なのか詳細はまだ不明だが、ハードウェアの力で生成したフレームを均等な間隔になるように調整するためのものだ。画質に対するNVIDIAのポリシー(画質・応答性・滑らかさの3要素を重視する)を考えれば、Blackwell Flip Meteringの投入はごく自然な流れと言える。

【2025年1月22日追記】:なお、Blackwell Flip Meteringは、かつてSLI環境で発生していたフレームペーシングの問題に対応するため、実装した「Flip Metering」の再臨と言うべき機能である。この機能はRTX 50シリーズのディスプレーエンジンに実装されている。

RTX 50シリーズのDLSS 4でフレームレートが爆増!? マルチフレーム生成と従来DLSSの強化を解説

Blackwell Flip Meteringを使わない状態(グレー)のフレームタイムは非常にバラつきやすいが、Flip Meteringを使う(緑)とより安定したペースで処理されるようになる

RTX 50シリーズのDLSS 4でフレームレートが爆増!? マルチフレーム生成と従来DLSSの強化を解説

Cyberpunk 2077の4K&パストレーシング設定におけるフレームレート比較(GPUはRTX 5090)。DLSSを使わない状態ではRTX 5090でも30fpsに届かないが、DLSS 2(DLSS SR)では70fpsを超え、DLSS 3.5(DLSS SR+FG+RR)では140fpsに。さらに、DLSS 4(DLSS SR+MFG+RR)になると240fpsを超えるという

RTX 50シリーズのDLSS 4でフレームレートが爆増!? マルチフレーム生成と従来DLSSの強化を解説

DLSSがGPUパワーをいかに節約しているか、という話。DLSS SRのPerformance設定では、1画面の1/4をGPUで実際にレンダリングし、残り3/4の領域はAIで生成している

RTX 50シリーズのDLSS 4でフレームレートが爆増!? マルチフレーム生成と従来DLSSの強化を解説

DLSS FGになると、完全にAIによって生成されるフレームが1つおきに出現する。4フレームという枠で見ると、全体の7/8がAIによるものとなる

RTX 50シリーズのDLSS 4でフレームレートが爆増!? マルチフレーム生成と従来DLSSの強化を解説

さらに、DLSS MFGではGPUが実際に描画するピクセルは全体の1/16のみで、残りの15/16はAIが生成していることになる

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