AMD、CES 2025にて「Ryzen 9 9950X3D」「Radeon RX 9000シリーズ」の概要を発表
最大50TOPSのAI性能を誇る「Ryzen AI Max」シリーズ
(2025年第1四半期~第2四半期発売)
最後の大物は究極のAI搭載ノートを構築するためのRyzen AI Maxシリーズだ。これは既存のRyzen AI 300シリーズの上位に位置付けられるが、Ryzen AI 9の上であるため「Ryzen AI Max+」「Ryzen AI Max」というネーミングになる。
そしておのおのにビジネス向けのラインとして「Ryzen AI Max+ PRO」と「Ryzen AI Max PRO」も用意される。アップル製品のようなネーミングになったのはなんとも残念だ。
フラッグシップであるRyzen AI Max+ 395はZen 5ベースのCPUコアを16基、RAND 3.5ベースのCU(GPUコア)を40基した「Raden 8060S」、さらに50TOPSに到達するXDMA 2ベースのNPUを搭載するスペックを誇る。
それと同時に内蔵GPUやNPUのために帯域幅の非常に広い新メモリーインターフェースも組み込んでいるという。これにより世界で初めて70兆パラメーター(70B)のLLMをRyzen AI Maxシリーズだけで動かすことを可能にしている。
「LM Studio」を利用した検証では、RTX 4090よりも2.2倍高速であり、かつTDPもRTX 4090の半分以下(87%)と省エネであることをアピールしている。
またRyzen AI MAX+ 395はAI処理以外においても既存のCPUを圧倒するとAMDは主張する。「Core Ultra 9 288V」に対してはクリエイティブ系アプリで平均2.6倍、グラフィック描画処理では平均1.4倍上回る。ゲームにおけるパフォーマンス情報は未公開だが、内蔵GPUのみを利用する構成であれば、GPUが強力なぶんRyzen 9 9955HX3Dをも上回る性能が期待できるだろう。
AMDの勢いは感じられるが、そこに“虎の威”を借りてしまうのはなぜ?
AMDのCES 2025における発表内容は、全体的に漠然(特にRadeon)としているものの、AMDの攻めの姿勢が十分感じられるものだった。Ryzen 9 9950X3Dのように“性能はある程度想像がつく”製品もあるが、RX 9000シリーズやモバイル向けの3D V-Cache搭載CPUやZ2など、1日も早く検証してみたい製品が多く、非常に期待できる内容であった(注:これはリサ・スーCEOではなく、AMDの広報による素っ気ないプレゼンを見た上での感想だ)。
しかしAMDのネーミングセンスは最悪だ。新Radeonの型番ルールを、なぜGeForceと誤認しやすくいものに変更してしまったのだろうか? 自社技術の粋を満載したモバイル向け最強CPUに「AI Max」という既視感のある名前をつけ、どんなアイデンティティを確立しようとしているのか?
AMDは業界を牽引するプロダクトを排出しているトップランナーであることに疑いの余地はないが、発表された新製品のネーミングからはAMDがシェアを奪いとる気迫が感じられない。AMDは製品が売れるなら既視感なんて上等だという考えなのかもしれないが……。
新年早々、老害の説教みたいな〆になってしまったが、製品の出来に対する期待が高いがゆえに言いたくなった次第だ。今回AMDが発表した製品に対しレビューの機会が巡ってくるとは断言できないが、可能な限りレビューできるよう筆者もがんばっていきたい。
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