第800回
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU
大量の電線を引っ張り出すよりスマートで内部の配線も楽
しかも消費電力も低く抑えられる
前ページの写真を見るとTomahawk 5が物々しいメタルフレームに囲まれているが、実際のパッケージが下の画像である。
この中身を示したのが下の画像だ。左側がパッケージの透過図で、中央にある濃いピンク色がTomahawk 5のSwitch用のチップ。その周囲にあるU2~U9までがCPOであり、スイッチとの間はインターポーザーで接続されるチップレット構成である。
個々のCPOには、専用のアタッチメント付きの光ケーブルを経由する形で外部に光信号を引っ張り出せる。
おのおののCPOは6.4Tbps、つまり400Gの光信号を16対扱えるため、これが8つで128ポート分の400Gの光信号を無理なくスイッチから引っ張り出せるわけだ。少なくとも電線を4096本引っ張り出すよりはずっとスマートで内部の配線も楽だし、消費電力も低く抑えられることになる。
長期的な話としては、XPU(それこそAI向けプロセッサーがその最右翼だろう)から直接光イーサネットを出すということも可能であることを示した。
現在でもイーサネットを直接出すプロセッサーはいろいろある。インテルのGaudi 2やGaudi 3もそうだし、TenstorrentのWormholeもそうだ。チップというよりもシステムで言えばCelebrasのWSEもやはりイーサネットベースである。
こうした製品は、今はとりあえず電気の形で50~100Gbpsの信号を出し、その先にトランシーバーモジュールをつないでいるが、この先より広帯域かつ多チャネルのニーズが高まると、スイッチと同様に配線の問題や消費電力の多さなどが問題になってくる可能性が高く、こうした場面ではCPOを使って直接プロセッサーから光イーサネットの信号を出すことが効果的になるかもしれない。
ただ現状のレベルではコストに見合わないというか、まだ従来のトランシーバーでなんとかなるため、こうした統合はもっと先の話であるというのがBroadcomの見方であり、まずは直近のスイッチ向けを先行することを今回説明した格好だ。堅実で非常に納得のできる実装であることがわかる発表であった。
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