2024年11月7日に開催された「Cybozu Days 2024」では、kintoneのカスタマイズを競う「kintone show+case Unlimited」が行なわれた。昨年のチャンピオンを含めた全7組は、6分間のショーケースに魂を込め、kintoneカスタム王の座を争った。
過去最大規模の予選を突破した6組+1 kintoneのカスタマイズ技を競う
Cybozu Days 2024初日を締めるイベントとして開催された恒例のkintone show+case Unlimited。多くの参加者が待ち受ける幕張メッセ会場の巨大なステージにはMCさんとしんしんさんが登壇し、イベントについて説明した。
kintone show+case Unlimitedは、kintoneのカスタマイズを競うプレゼンコンテスト。kintoneイベントに登壇経験のある多くのkintoneのプロフェッショナルたちが、kintoneを俺流に作り直し、見やすく、使いやすく、楽しくしていく。
今回、登壇するのは6組のファイナリスト。9月に予選が行なわれたが、今年の予選は過去最大規模になったという。しんしんさんは、「今年はチームでの参加が多く、アイデア、カスタマイズの実装、資料作り、デザイン、盛り上げ担当など、それぞれ役割分担していたのが印象的だった」と語る。また、今年度からは前年度チャンピオンがシードとして本選に参加できるようになり、連覇も可能になった。
各チームの持ち時間は6分で、時間が過ぎると強制終了。それぞれのショーケースが終了した後、参加者に配布されたペンライトを用いて会場で採点していく。7組のうちもっとも得点を挙げたチームが最後にわかるというルールになる。
昨年チャンピオンが挑む会場参加型のショーケース(TEAM K.F.C.)
1組目はファミコンからkintoneを操作するというネタで初出場・初優勝を遂げたTEAM K.F.C.。アナウンス役の稲澤康博さんは「このショーケースでは、みなさまにスマートフォンを使ったカスタマイズに参加してもらいます」とQRコードを案内し、早くも聴衆参加型であることを匂わせる。
kintoneを愛する稲澤さん、森田諭さん、石際健一郎というおじさま3人で構成されたTEAM K.F.C.は劇場型のコント、もといショーケースが得意。今回も壇上では森田さんと石際さんはとある職場で仕事にいそしんでいる。石際さんが「先日から申請している件なんですけど、承認してもらわないと仕事が進みません」と訴えると、森田さんは「あの数字がポンポン来るヤツね。あれ、無理。いっぱい来てもう収拾つかないから、承認しないということにした」とまさかの業務放棄。
しかし、石際さんは「そんなことだろうと思って、スマホを振るだけで承認できる『フルフル承認機能を作っておきました」と利用を促す。森田さんがスマホを振ると、kintone上での承認が次々と進んで、申請者にも見えるようになっている。「これはお互いに楽しそうですね」と稲澤さんがコメントする。
でも、「Cybozu Daysに行きたい」という申請は却下。「だって、俺1人で決められるわけないじゃん。どうせあとでいろんな人に却下って言われるので、会場中の人にOKって言ってもらわないと承認できません」(森田さん)。これを聞いた石際さんは、「それって会場中の人が応援してくれるようなオーディエンス機能があればいいってことですよね。実装してみたのでよいでしょうか?」と提案する。
すかさず「説明しよう!」とカットインした稲澤さんは、オーディエンス機能について「音楽に合わせて1分間スマホを振るだけで、みんなの応援をkintoneに集めることができてしまうのだあーーーー」と説明。会場にビートが流れ始め、冒頭のQRコードを読み込んだ参加者たちが、スマホのセンサーやライトを許可するとオーディエンス機能の応援がスタートする。
「まずは軽ーく横に振ってみてください!」「次は前後に振ってください!」「最後はフルフルしてください」と稲澤さんも会場をアジテート。「さあ、みんなの応援をフルフルポイントに集めて、石際さんの申請を助けてあげてください」と1分間の応援タイムがスタートする。初音ミクにによるオリジナル曲「Love kintone」が大音量で流れ、アイドルのライブよろしく、会場全体がスマホのライトで埋まり始める。
「17万ポイントを超えました!」これなら森田さんも承認してもらえますね」と稲澤さんが確認すると、盛り上がり過ぎた森田さんは「みんなが……これだけ応援してくれるなら……、安心して行ってこれるね……。よし、行ってこい!」と息も絶え絶えにコメント。「みなさんの応援のおかげで、石際さんもCybozu Daysに来られました。ありがとうございました!」と稲澤さんは6分のショーケースを締めた。
会場の集計が終了すると、しんしんさんは「昨年はファミコンからkintoneを操作したのですが、今年まさかこう来るとはという感じでしたね。みなさんがスマホを使ってもらって、一体感を持たせるアイデアがとてもよかった」とコメント。得点は496アンリミテッドとなり、まずは暫定トップになった。
ユーザーとkintoneをつなぐ「結モバイル」(kintone東北の勇)
2番手の「kintone東北の勇」は、畠山成光さんと千葉操さんのかけあいでプレゼンをスタート。今回紹介する「結(ゆう)モバイル」は、kintoneをもっと使ってほしいという思いから生まれたプラグイン。「kintoneはまずデータを集めることが重要ですよね。特に現場の情報は業務改善に欠かせません」と千葉さんは語る。
そこで2人は、「どうすればkintoneをもっと使ってもらえるか」を現場に聞いた。そうすると、現場からは「kintoneのモバイル版は縦に長い。見た目ももうちょっと変えたい」という要望がたくさん出てきたという。そこで作ったのがモバイル版のレイアウトを変えるプラグインの結モバイルだ。2人は「現場が使ってくれるようになれば、kintone途中であきらめる人、減らせると思いませんか?」「現場ユーザーのための企画と言うことですね。素敵です」とアピールする。
プラグインを読み込めば、横設定の準備は完了。設定も簡単なので、「作業日報もシャキーン、有休申請もシャキーン」とすぐに使えるという。結モバイルは、PC版を参考に作られており、横に多く並んだフィールドは改行。テーブルフィールドは改行することも、横に伸ばして表示することも可能だ。
レイアウト変更のほかにも、プラグイン適用の判断がしやすい背景色の変更、文字サイズの変更も可能。「うちの職員さん喜びますよ」。設定では紹介された機能を自由に組み合わせることができ、今使っている画面からレイアウトのオンとオフを切り替えることも可能だ。
もちろん、通常のモバイル版もリスペクトしている。「モバイル版が縦に長いのは、kintoneを使用するデバイスが変わっても、動作を安定させるためと考えています。kintoneはリスクを最小限に、利用者と開発者を考えたシステムなんです」と千葉さんは語る。一方で、結モバイルはアップデートで干渉する可能性が高い。「そこでサイボウズさんにお願いがあります。モバイル版の表示方法について、今後も追求してほしい」と語る。
最後はアプリに付けられた「結(ゆう)」の意味。「プラグインメーカーでもない私たちができることとして、結モバイルを通して、現場の声とサイボウズさんを結ぶと言うことに挑戦してみました」と語る。「そして共感してください。モバイル版から拡がるkintoneの可能性を。全員でkintoneを盛り上げていきましょう」と畠山さんは、ショーケースを終えた。
しんしんさんは「kintoneは便利ですが、導入しても使っていただかないと費用対効果も得られません。実際のユーザーの声を元に改善しているのがとてもよいと思いました。日々kintoneを使っている方の着眼点」とコメント。得点は500アンリミテッドで、暫定一位に躍り出た。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう