G-Master Spear Z890をレビュー
Core Ultra 7 265K&RTX 4070 Ti SUPER搭載ゲーミングPC、空冷クーラーでも本当に大丈夫?
Core Ultra 200SシリーズってどんなCPU?
G-Master Spear Z890を詳しく見ていく前に、軽くCPUについて触れておこう。Core Ultra 200Sシリーズの最大の特徴は、PコアのSMT(ハイパー・スレッディング)がないこと。SMTは1つのコアで同時に2つのスレッドを処理することでCPUの使用率を高め、性能を上げる機能だ。つまり、従来はPコア数×2+Eコア数が、CPUが処理可能なスレッド数となっていたわけだ。
これに対し、Core Ultra 200SシリーズのPコアのSMTが廃止され、物理コア=論理コアという仕様になった。これには色々な理由が考えられるが、イチバンの理由はCPUのメニーコア化が進み、SMTの効果が薄くなったからだろう。
ゲームを含め一般用途では、物理コアすら使いきれていないことがほとんどで、SMTがなくても性能がほぼ変わらない。また、SMTの実装に必要な回路規模は大きく、トランジスター数や消費電力の増加が性能向上の割に合わなくなってきた。それなら、SMTを廃止してしまったほうがいろいろと効率のいいCPUになるわけだ。
一般的に、CGレンダリングや動画エンコード、学術計算といったCPUのコアをフルに動作させる用途では、SMTの廃止は性能面で不利になりやすい。ただし、Core Ultra 200SシリーズではPコアのIPC(サイクルあたりの命令実行数)が9%ほど、EコアのIPCが32%ほど強化している。さらに、電力効率も改善しているため、同じTDPならより高いクロックでの動作が期待できる。これらを総合的に考えると、SMTがなくても性能面で大きな不利にならなそうだ。
また、性能はあまり高くないとはいえ、NPUを搭載している点も大きな特徴の1つ。CPUやGPUに負荷をかけることなく、Webカメラの合成、音声からのノイズ除去といった軽めのAI処理が行える。将来的に活躍の場はどんどん広がると目されており、新世代CPUにふさわしいトピックだろう。
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