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わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU

2024年11月11日 12時00分更新

テンソル縮約に特化した内部構造

 さて第1世代のWarboyでは公開されなかったNPUの中身である。RNGDではTCP(Tensor Contraction Processor)と呼んでいるが、そもそも畳み込みニューラルネットワークなどでは計算の大半がテンソル縮約(Tensor Contraction)の計算に費やされている。

左は実際の処理の中でテンソル縮約が使われる箇所、右はBERTを実施する際の処理の比率で、もうとにかく大半がテンソル縮約であることがわかる

 このテンソル縮約は要するに行列積(Matmul)であって、世の中に多く存在するテンソル演算用のアクセラレーター(例えばNVIDIAのGPUに搭載されるTensor Core)はこの行列積を高速に実行するための機構を搭載しているのだが、テンソル縮約≠行列積ではない、とFuriosaAIは主張する。

大抵の行列積の演算は、行列のサイズが決め打ちであり、大規模なテンソル演算の場合には行列を分解して処理をする

 要するに扱うべき行列のサイズは、大抵の行列積演算ユニットのものよりはるかに大きいので、固定サイズの行列積演算ユニットを使うのは不効率、というわけだ。RNGDはこれをどうしたかというと、行列のサイズに合わせて行列積の計算に使うコンピュートユニットの数をダイナミックに変更しながら、目的のサイズの行列積を一発で行なえる、というところが異なるとする。

赤と青はそれぞれ積の対象となる行列の要素が入り、緑に演算結果が入る。赤のデータをすべてのコンピュートユニットにマルチキャストする機能が入っているのがポイント

 下の画像左側がそのRNGDの構成で、1個あたり64TOPS/32TFlopsの演算性能と32MBのSRAMを搭載するTensor Unitが8つ搭載されている。右側はその個々のTensor Unitの構成で、内部的には8つのプロセッサー・エレメントが配される。

普通は個々のプロセッサー・エレメント内のメモリーと演算ユニットが密結合されており、間にスイッチが入るのはかなり珍しいというか、独特である

 ここでFetch/Commit Sequencerと、テンソル縮約を行うContraction EngineやVector Engine/Transpose Engine/Commit Engineの間にスイッチが入っているのがミソで、大規模な行列に対してすべてのContraction Engine類が協調する形で処理できるようになっている。また個々のTensor Unitの間は非常に高速なNoCでつながっており、HBM3の帯域をすべてのTensor Unitで使い切れるような構成になっている。

このネットワークは単にHBMとのやり取りだけでなく、Tensor Unit同士での接続にも使える模様。例えば1つのTensor Unitでは収まりきらないような大規模な行列の場合、複数個のTensor Unitで連携して処理できるようだ。それにしてもPCIeのI/Fがずいぶん変なところにある気がする

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