調査会社であるガートナーが、今注目すべき「戦略的テクノロジのトップ・トレンド」を発表している(関連記事:10年後の波に乗るための、いま知るべき先進テクノロジー10選 ガートナー発表)。「AIの最重要課題とリスク」「コンピューティングのニュー・フロンティア」「人間とマシンの相乗効果」という3つの領域において、注目のテクノロジーが10選されており、読者の注目度も高かった。
この手のテクノロジー予測はよくニュースになるが、セレクトによってはピンと来ないことも多い。その点、今回のガートナーの予測は、派手さはないが、地に足の付いた印象を受けた。「エージェント型AI」や「AIガバナンス」はすでに関心を持っているユーザーも多いし、「空間コンピューティング」や「エネルギー効率の高いコンピューティング」なんぞは、もう少し手前で需要が高まりそうな気もする。一方で、昔に比べて意外性がなくなってきているのは、ちょっと寂しい。「えっ? そんなの来ますかね」「その横文字、全然わかりません」みたいなSF感があったのは「神経系の拡張」くらいかなと。
古今東西、次のテクノロジーのメインストリームは失敗の繰り返しによって、生まれ続ける。AIブームは3回目と言われているし、クラウドコンピューティングにあたる概念なんて、四半世紀(それどころじゃない?)以上前からずっと「来る、来る」と言われていたはず。だから、個人的には「なぜ来なかったか?」の方が興味がある。NFTや音声SNSを引き合いに出すつもりはないが、テクノロジー予測は楽しい。それが当ろうが、当らなかろうが……。
文:大谷イビサ
ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。
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